第十二幕 ベルガマスク舞曲
「はい、もういいですよ☆」
うん。うん。うん。うん・・・・。
「ソレル?ソレル?大丈夫ですか?もう終わっていますよ?」
うん。うん・・・・
「お、おおおおおっ!!よっしゃあああああ!!!」
解放じゃ!!解放!!お人形終わったー!!!
「いっつも思うんだけどさ。ノアの能力でパパパッ!てやっちゃだめなの?」
あ、今日は舞踏会の日ね。それで私はさっきまでノアのお人形になってたわけ。うん。ドレス辛い。メイクやだ。アクセサリーじゃらじゃらしてる。髪色々やられるの面倒。ヒロインとノアをくっつける・・・?なんのことですかねぇ・・・?・・・無理に決まってんだろ!そもそもヒロインちゃんと話したことすらねえわ!
「駄目ですよ!」
「なぜ!?」
「駄目だからです!」
「うぎゃあ!」
「駄目です!」
・・・へいへい。そんな拘る気持ちが私にはまったくわからんね。
と、そんなこだわりのあるノアは、
「ブルジョワ風。」
なんか、前世映画の中で見た仮面舞踏会に貴族がつけてくる仮面みたいなのをノアは着けている。いや、大体いつもブルジョワ風の仮面だし、実際にノアはブルジョワなんだけど・・・・豪華さが増してるというか・・・。あ、隠してるのはいつもと同じで、顔の半分から上だけね。
「ええ!そうですとも!今日のテーマは仮面舞踏会!いつもよりも華やかに仕上げてみました!」
あ、あたってた。仮面舞踏会。・・・・まぁ、いつものような気はするけど。
「今回は公演の宣伝はするの?」
「いえ、今回はなしです!」
「マジで?」
これまで舞踏会のたびに必ずやってきたじゃん。
「なんでさ?」
「・・・・そんなことよりももっと大切な用事があるのです。」
「へぇ・・・。」
なんだろ?公演の準備がまだ終わってないとか?・・・いや、ノアに限ってそんなことはありえないだろう。
「ねぇ、そろそろ会場にいかない?」
「ええ、そうですね☆」
* * * *
「ノア―ルローズさん、少しお願いがあるのですが・・・・。」
私が他の友人も交えて、ロゼと話しているとフィアーノが訪ねてきた。
「なんでしょう?」
さりげなくノアは私の前へと周り、フィアーノから私の姿を隠した。流石に気づくとは思えないが、私があのときの人形()と気づかれないようにしてくれたのだろう。
「ちょっと・・・・。」
フィアーノはちらりと目配せした。恐らく、人気の少ないところに行こうということだろう。
「わかりました☆」
ロゼとフィアーノは二人してどこかへと立ち去って行った。
・・・・それにしてもフィアーノ、色っぽいな・・・。
「フィアーノさん、いったいどうしたんだろう?」
「さぁ?」
ノアの能力が解けちゃったとか・・・?そうとはあんまり思えないんだけどね。
* * * *
「ただいま戻りました☆」
ノアがいなくなってからすぐに友人たちはどこかへと去っていき、気が付けば私の周りには誰もいなくなっていた。・・・あれ?アイツら本当に私の友達か?ただのロゼのファンじゃ?
「おかえり。」
いや・・・そう考えると、私は友達のいないボッチに・・・。よし、アイツらは少し薄情なだけだ!!うん!トモダチ!!
「いったいどんな用件だったの?フィアーノさん。」
「フィアーノさんと親しいお方への伝言をお願いされました!」
「え、フィアーノさんって友だ・・・・親しいコミニュケーションとってる人いるの?」
「いますよ!フィアーノさんは、よくあの方のことを親友だといっていますね☆どうやら、友情以外の感情もだいぶまざっているようですが☆」
「へぇー・・・・。」
フィアーノさんと親友・・・?いったいどんな強者なんだろ・・・・?
「あの方、たぶん・・・
「たぶん?」
「・・・いえ☆なんでもありません☆」
ふーん・・・・?
「・・・・さて、大分夜も更けてきましたし、部屋に戻りましょうか☆」
「そうだね。」
空には妖しく、そして不気味に明星が煌いていた。
次が最終話です。




