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其ノ零 前書き
青年の言葉は言霊となり人生を変えた。
男の心は人魂となり人生を終えた。
別れた枝の先に実るものは何か。
怨み、恨まれ、行違う。
思い、想われ、生きたがる。
死して人は変わるのか、生きれば変えずに逝けるのか。
電車に揺られる中、男は想いに耽る。
「なんで憑いて来る?」
「お前でなければ出来ない事がある」
青年に問われ、男は答える。衣食住に捕らわれる訳ではないなら自由に動く。男は縛られるのが嫌いだ。
新地を目指すは、逃避か、挑戦か。生と死、それぞれに居る男の運命が変わるのは、今から遠くない先の事だ。但し、それは関わっていく中では至極小さな歯車だろう。
街中を翔け回る少女が一人。彼女は一般人には見えない。
「敵対波の観測地点に到達。これより敵性魔導体への接触を試みる」
己の正義に基づき、味方の敵へとその身を投じる。それを眺める女性の姿があった。
「――――」
言葉を聞くのは自分だけ。一室に一人で硝子越し、少女の姿と映る自身の顔だけを覚えていた。