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佐藤邦明の場合 6

 ――2月初旬


「よし! 第一志望通ったぞ」


 僕は公立高校の合格発表を見て大声を上げた。

 担任の先生に報告しに行くと(ねぎら)ってくれた。


「良かったな佐藤。やったな」

「ありがとうございます」

「佐藤も色々あったからな……」


 この担任は前期の担任とは別の先生だ。前期の担任は夏休みが明けると突然転任していて学年主任が担任となった。

 確かに色々あったな。



 あの集会があった後、処分が下された。

 全員出席停止処分。

 僕の家は伊井島と日永田の治療費を出したが、親は伊井島達の家から慰謝料みたいなのを貰ったらしい。そして、大事にはしない約束をしたみたいだ。

 ……ちなみに千木良さんは何故か僕の家に出入りを繰り返し、各家庭から出た慰謝料の一部を貰ったようだ。更に更に、伊井島の母親から暴力を振るわれたとかでそちらからもいくらか貰ったらしい。


 ――あいつはいじめっ子といじめられっ子に(たか)ってる底辺の弁護士だ


 と、言うのが僕の千木良さんに対しての結論だ。

 二度とあいつのお世話にはならないと心に決めた。


 ――少し。ほんの少しだけは感謝してるけどね


 それで、僕に対するいじめはなくなった。伊井島達は一切僕に近寄ってこなくなった。周りのクラスメート達も色々噂をして僕に絡んで来なくなったけど。

 それから、隙を見せないように勉強に打ち込んだ。どうせ話しかけてくる人もいなかったしね。

 伊井島はあまり学校に来る姿を見かけなくなった。クラスのひそひそ話を聞くと親と仲が良くなく、夜にフラフラと繁華街を歩いていて補導されたりしてるみたいだ。




「先生。 ……その、伊井島達は」


 先生は明確に答えてはくれなかったが、その顔を窺うとあまり結果は芳しくなかったようだ。


 高校に上がったら何をしようか。

 やっぱり友達が欲しいな。一人ぼっちはやはり堪えるし。

 この中学からも何人か一緒に行くかもしれないから噂は伝わるかもしれないけど……


 千木良さんも言っていた。


 (自分が変われば環境も変わる)



― 佐藤邦明の場合 おわり ―

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