恋は盲目
報われない、切ない恋の話を目指していました。
なぜかこうなる。
ある日の下校途中、通りすがりのイケメンさんに「あなたが好きだ」と告白されました。
……ちっとも嬉しくありません。
だって、彼の視線は私を捉えてはいません。……ずっと私の頭上に定まっています。
彼は……私の背後の人に告白をしているのです。
「君が好きだ」
……可哀相です。この人、イケメンなのに何もない空中を見つめて告白してます。
私の頭から二十センチくらい上を見ています。
……端から見たら、変態です。私がそこを見上げても、なにも見えません。
私は悲しくなってきました。早く帰りたいです。
今日は荷物が多いので、カバンが肩に負担を掛けているのです。
……仕方がありません、勇気を出しましょう。
「……あ、あの」
「黙れ、彼女の声が聞こえなくなる」
と言って私の口を塞ぎました。
……ああ、余計にひどいことになりました。
もう、私は素直に泣くしかありませんでした。
そして……。
「お巡りさんっ、さっきからあの高校生が小学生の女の子に告白してッ!」
「何か言おうとした子の口を手で塞いで、どこかに連れていこうとしてて!」
……パトカーにイケメンさんは連れていかれました。
恋は盲目って言いますが、やはり客観的に見るのは大事だと思います。恋って怖いなあ。
普通の恋愛を書こうとした、最初からコレ。
自分でもダメだなあと思います。