#よん#
あれから何日か経った。
平日には普通に授業もあり、部活で部長をしている私としてはそれなりに忙しい日々だった。
そのこともあって、最近は誰ともメールをしていなかった。
もちろん明浩くんともメールしていない。
実のところ、私は明浩くんのことを気にもかけていなかった。
特別格好良かったわけでも、性格が良かったわけでも、気が利いていたわけでもなかった、
私たちが会ったあの日。
私は少し期待をしていた。
3ヶ月前に彼氏と別れて、まわりの友だちにはどんどん彼氏ができて、自分では焦っているつもりなんて
みじんもなかったのに、いつの間にか寂しさを覚えていたようだ。
だからと言って、私は男がいないと何もできないへろへろ女とは違う。
部活は充実している。
友だちからの信頼もそれなりにあつい。
でも何かが物足りない。
なんというか・・・・隣に誰かがいるって、すごく気持ちの良いことだから。
誰でもいい、ぎゅっと抱きしめられる快感が欲しかった。
誰でもいいとは言え、親に抱きしめてもらうのは小学校の低学年ですでに卒業している。
友だちとはよくじゃれながらきゃぁきゃぁやっているけれど、いつものことで特別感が無い。
となると”付き合っている人”という存在が少しだけ恋しくなってくる。
でもこれと言って好きな人がいるわけでもない。
探すつもりもない。
だってほら、恋って一生懸命探して頑張るものでもないでしょ?
本当に頑張るのって、きっと付き合いだして彼のことを考えるようになってからだと思うの。
それか、大好きな彼を振り向かせるときとか。
でも、とにかくまだ私はそんな段階にさえいない。
〜〜〜〜♪
ケータイの着メロが鳴り、メールが届いた。
【こんちはぁ〜 何してる?】
明浩くんからだ。あの日会って以来初めてのメール。
【部活から帰ってきたところ】
【お疲れ様です!!】
【なんで敬語なの?】
【いや、なんとなくです、はい】
【変なの・・・・】
【ひどいですよ〜 なんてね】
私は少しイライラしながら、
【ごめん、私今日疲れてるんだ。メール、切ってもいいかな?】
【あぁ〜!!ちょっと待ってくださいよ。アドレス教えたい人がいるんだけど?】
また敬語に戻った・・・・
【ふぅん?】
【いらない?それなら別にいいよ〜】
何それ。ちょっと嫌な感じ。引き止めたクセに。気になるじゃない。
【なにそれ?そう言われると気になる】
【○○○○.○○○○○396@yahoo・・・・・・・】
【これが今言ってた人のアドレス?】
【うん。男だよ】
【ふぅん。名前は?】
【町田 豊】
【わかった。ありがとう】
まだメールも送っていなかったけれど
これが私と彼の、初めての出会いだった。
読んでくださった方、ありがとうございます。