表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

#さん#

その日の夜、やっぱり私は部屋でぼうっとしていた。


明日も開校記念日かなんかで休みだから、だるい身体が余計に重い。


だってきっといつもと同じ毎日だから。


そんなことを思ってるとまたケータイが震えた。


「明浩くんから・・・・」


【こんばんは〜】


【こんばんは】


私はそれだけ打ち返すとケータイを枕の下に押し込んだ。


1分と経たないうちにまたケータイが震える。


【ってか、今度会えない?】




え・・・・




【え?】


【ごめん、嫌だったらいいんだけど】


私は少し考えて


【たぶん、平気だと思う。でも来週からいろいろ忙しいから、明日の午前・・・・かな】


という内容を送った。


【わかった。じゃぁ1時くらいに迎えに行く。住所は?】


【っていうかコンビニの近く】


【いや、わかんねぇよ。俺そこらへん住んでないから】


あそっか・・・・


【じゃぁ、○○駅で待ち合わせで】


【わかった。それじゃ明日】


【うん、ばいばい】


やりとりが終わってすぐ、私は眠った。


変な夢を見て夜中に起きてしまったけど、きつく目を閉じたら眠っていた。








次の日の朝は空が眩しい晴天だった。


そして私は例の駅で明浩くんを待っている。


もう10分遅れてる。


「あの人、時間にルーズなのかな」


独り言を言っていると、後ろから「しおりちゃん?」と声をかけられた。


振り向くと明浩くんらしき人。


「あの、明浩くん・・・・だったりして?」


「うん。始めまして〜」


「どうも」


会話が終わってしまった。


少し間があって、先に話し出したのは明浩くんのほうから。


「えっと、どうする?」


私は計画性のない人が好きじゃないから、少し声のトーンを落として


「どこでも。明浩くん、行きたいところは?」


私たち、別に付き合っているわけじゃないのにこんな言葉、まるでまだ付き合いたての


頃のカップルの会話にそっくりじゃない。


「あぁ、俺あと少ししたらテニス行かなきゃなんないからさ。1時間くらいしか遊べないわ」


遊ぶ、ねぇ。


「うん、大丈夫。とりあえず、あっちらへん行こう?にぎやかみたいだし」


「うん」




それから私たちはどこの店に入るわけでもなく、ただふらふらと商店街を歩いた。


つまんないな・・・・ひそかに心の中でつぶやいた。


そのうち長い1時間が経った。


「そんじゃぁ、今日は会えてよかった」


「あ、うん。ありがと」


「じゃぁ行くわ。またね」


「うん、気をつけて」


そして私たちは別々のホームへ降りていった。


私は歩きながらほっとしていた。「またね」か。たぶんもう直接会うことはないだろうな。





空をみると、まだ高いところにある太陽が、私の髪に黄色いカーテンを絡めていた。


読んでくださった方、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ