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飲み会優先の女神にPCだけ渡され追放された元球児、検索機能とジャイロボールで最強の兎耳美少女を救い、物理最強の成り上がり!  作者: 月神世一


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EP 2

リーシャの建築無双! 上水道と水洗トイレの衝撃

 ポポロ村での開拓生活、二日目の朝。

 高性能テントのふかふかベッドで目覚めた俺たちを待っていたのは、残酷な現実だった。

「……大地。トイレ、どこ?」

 寝癖のついた髪で、キャルルが切実な顔をして聞いてきた。

 この村は廃墟だ。当然、まともなトイレなど存在しない。あるのは崩れた石壁の影か、少し離れた森の中(青空個室)だけだ。

「……森に行ってこい、とは言いたくないな」

「嫌よ! 虫がいるし、お尻がスースーするもん!」

「私もパスよ。高貴なエルフが野外なんて、尊厳に関わるわ」

 リーシャも青ざめた顔で首を振る。

 クラウスに至っては、「き、騎士たるもの、極限状態では我慢も修行……うっ」と脂汗を流して震えている。限界そうだ。

「よし、決まりだ。今日の最優先ミッションは『トイレ』を作る」

 俺はPCを開き、高らかに宣言した。

 スローライフを楽しむには、清潔な水回りが不可欠だ。

 俺たちが目指すのは、中世レベルの生活じゃない。現代日本レベルの「ウォシュレット完備」の生活だ!

 †

「いいかリーシャ、これが設計図だ」

 俺はPCの画面に『上下水道システム』と『水洗トイレ構造図』を表示させた。

「はあ? なによこの複雑な管の迷路は……。たかが排泄するだけの穴に、ここまで魔力(労力)をかける必要ある?」

「ある! 断じてある! 臭くない、汚くない、虫が湧かない。これが文明の証だ!」

 俺は熱弁を振るいながら、役割を指示した。

水源確保:

地下水脈まで井戸を掘り、そこに俺がアイテムボックスから出した『水精霊の魔石ウォーター・クリスタル』を設置。これで半永久的に清水が湧き出るポンプを作る。

配管工事:

リーシャの土魔法で、石材を変形させてパイプを作り、地中に埋設する。

排水処理:

汚水は村の遥か下流にある『浄化槽(スライムを放り込んで分解させる予定)』へと流す。

「……わかったわよ。あなたのその無駄な熱意に負けたわ」

 リーシャが杖を振るう。

 天才魔導師の本気を見る時が来た。

「『アース・モデリング(土壌変形)』! ……配管形成、接続! 表面硬化処理セラミック・コーティング!」

 ゴゴゴゴ……ッ!

 魔法制御された土が、まるで生き物のようにパイプの形になり、地下へと潜っていく。

 PCのCADデータとリンクしているため、水漏れ一つない完璧な精度だ。

「次は便器だ! この美しい曲線! 汚れが付着しない滑らかな表面! 再現してくれ!」

「注文が多いわね! ……こう!?」

 リーシャが白く輝く岩石を削り出し、見事な洋式便器を作り上げた。

 さらに、タンクの中に『水流制御の魔石』を組み込む。

「完成だ……!」

 俺たちは、村の広場の隅に設置された、真新しい白い個室(公衆トイレ)の前に立った。

 一番手は、限界寸前のクラウスだ。

「ク、クラウス・アルヴィン、突入する!」

 悲壮な決意で個室に入ったクラウス。

 数分後。

 ジャーーーーーッ……(心地よい水流音)

 ガチャリ。

 扉が開くと、そこには憑き物が落ちたような、清々しい顔のクラウスが立っていた。

「……奇跡だ」

「どうだった?」

「座り心地、清潔感、そして何より……あのレバーをひねった瞬間、全てが水と共に異空間へ消え去る魔法! あれは『王の椅子』だ! 我が領地の城にも導入したい!」

 大絶賛だ。

 続いてキャルルとリーシャも体験し、「すごーい! 全然臭くない!」「水の渦を作る魔法……興味深いわ」と感動して出てきた。

 †

「トイレができたら、次はこれだ」

 俺は余った配管を分岐させ、もう一つの小屋へと繋いだ。

 地下から湧き出る温泉の熱を利用した『熱交換器』を通し、適温になったお湯をシャワーヘッドから噴出させる。

「異世界初、全自動温水シャワールームだ」

 この世界では、お湯を浴びるというのは薪で水を沸かす重労働だ。

 だが、ここでは蛇口をひねるだけでいい。

「うそ……お湯が、雨みたいに降ってくるの?」

「キャルル、一番風呂行ってこい」

 目を輝かせたキャルルがタオルを持って飛び込み、続いてリーシャも入っていった。

 ――数十分後。

 湯上がりで頬を紅潮させ、濡れた髪を拭きながら出てきた二人の美少女は、もはや別人のように輝いていた。

「はぁ〜……生き返ったぁ……」

「信じられないわ……。王宮の浴場より快適じゃない。水圧も完璧、温度も一定……」

 キャルルが俺の腕に抱きつき、うっとりした目で言った。

「ねえ大地、私もう決めた。一生ここから離れない。森の生活には戻れない体になっちゃった」

「私もよ。……悔しいけど、この『文明』を知ってしまったら、エルフの里の生活が原始時代に思えるわ」

 リーシャも降参したように肩をすくめる。

 どうやら、現代日本の水回りは、異世界の美女たちを完全に陥落させたようだ。

「よし。生活基盤ライフラインは整ったな」

 俺はPCを閉じ、満足げに村を見渡した。

 水とトイレがあれば、人は文化的な生活ができる。

「次は『食』だ。……この肥沃な大地を使って、最高に美味いメシを作るぞ!」

 ポポロ村開拓計画、フェーズ2へ移行。

 だがその前に、俺もシャワーを浴びてくるとしよう。

 労働の後のひとっ風呂は、何にも代えがたいからな。

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