第五話 梨子
「梨子に、ちゃんと言わなあかん事があんねんけどなぁ〜」
「何よ」
「俺の彼女になってくんね?!」
「えっ、何言ってんの?! それ今言う?!ずっと友達やってたくせに」
授業の始まる五分前か、そこらの間に、梨子に告白した。梨子は少しムッとしていたが、少し顔が赤くなっていた。
男より、女の子の方がしっかりしているとは言え、隆はもう二十歳だ。十七歳になったばかりの梨子は、隆からみたら、まだ少し幼く見えた。
「でも俺は、二十歳過ぎてるから、淫行になって捕まら無いかなぁ〜」笑笑
「馬鹿ね!!高校生同士でしょ」と梨子はビンタする真似をした。先生が入って来て、
「そこの尼の夫婦、静かにしろ」と怒られた。
授業が始まると、数学だったので、隆は寝ていた。眼を瞑っていても聞いて何となくわかるからだ。
授業中、微分積分が全くわかっていない生徒がいたので、先生が、
「おい隆!!宇宙人でも分かるようにわかりやすく説明してやれ!」と言った。
公式だけ憶えて全くわかって無い生徒は多い。
「宇宙人の方がわかるだろ!!」と言うと、大爆笑になったが、隆は、
「所謂、はじきと同じに考えたらいい、時間、距離、スピードで考えればわかりやすいし、高校生の問題なら中学と違ってスピードが変化するから、キョリが極端に上がるというだけ、
それに国語的に言うなら、原因から結果(キョリ、面積)を導くのが積分で、結果から原因(変化の元)を探るのが、微分かなぁ〜」、
「隆、それぢゃあ、逆にわかりにくくないか?!」
「ん〜でも、区分求積法も大事やけど、わかりにくくないっすか?!、つーか、要らんと思うけど、笑笑、神が公式をくれたと言うか、誰か適当にやったら公式が出て来たわけで、笑笑 例えば中学みたいに、平均の時速2kmで走るのではなく、2エックスkmで走るのだから、変化する瞬間のポテンシャルを探すのは、面倒いので、神がくれた公式を使かえばいいんぢゃねと言うか〜?!」、
「もういい隆、寝とけ」皆んな爆笑
「まあ、でも、スピードの変化すら今まで全く考えた事もなかったわ〜」と、その微積がわからない子が言ってくれた。実は結構そんなものなのだ。
隆の耳元で、怪物が囁いて来た。
「梨子に告って良かったなぁ〜、え〜っ、数学の大先生よ〜」
「うるせえ」、
「今夜、移動して貰うぜ、東京だ!!、帰りに歌舞伎町寄ってもイイぜ」笑笑
「やかましい、わかった、でも仕事はするぜ!!」
そのまま隆は、寝入ってしまった。
夕方梨子と、一緒に帰りながら、
「やっぱ淫行は良くないなぁ〜、一応親同士に言っとくか?!」、
「馬鹿ねぇ〜と、梨子にカバンで、殴られた。
続く〜