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第7話 全世界に配信されてましたぁ!?

そりゃあ誰だって焦るよね。

 千世はダンジョンの外へ出る。

 私有地のダンジョンなので誰かが入ってくるわけではないけれど、モンスターがいつ、何処から飛び出してくるかは分からないので常に慎重に行動していた。


「もう、スライムはいないよね?」


 剣も折れてしまった。もう戦う術はない。

 千世はほぼ無防備で、今できるのは全力で走ることだけだった。


「えーっと、さっきはこの辺で……良かった、何もいない」


 帰り道は安全が確保されていた。

 ホッと一安心をつき、千世はダンジョンの中を進む。

 その手の中にはさっき手に入れた加工済みのクリスタル。キラキラ光っていて、透明度が高い。だけど光に翳すと何色にも色が変化する。屈折を利用しているのようで、その現象から知世は勝手にプリズム・クリスタルと呼んでいた。


「ちょっとカッコつけすぎかな」


 頬を掻きながら、千世は自分のネーミングセンスを恥ずかしむ。

 だけど誰もツッコミを入れないので、虚しくなる。

 知世は「早く出よう」と思い、ダンジョンの出入り口を目指すと、外からの光が入って明るくなっていた。


「ようやく外だ!」


 知世は嬉しくなって少しだけ足早になる。

 ダンジョンの外に出ると、特に変わって様子はない誰もいない森だった。それも当然、何度も言うがここは立ち入り禁止の私有地なのだ。


 千世は外に出ると、葉の間から差し込む光に手を伸ばす。

 全身が固まっていたので伸びをすると、少しだけ柔らかくなる。


「やったあー! 怪我しなくてすんだぁー!」


 千世の心の声が叫びを上げる。

 まさかこんなに声が出るなんて、千世は自分でもびっくり。狭いダンジョンの中だったせいで声の加減が分からなくなり、耳がキンキンする。


「い、痛い」


 耳に人差し指を突っ込んだ。

 だけどまだ耳がキンキンする。慣れないなと感じつつ、千世は帰る前に一つ確認することがあった。


「そうだ映像。ちゃんと撮れてるかな?」


 一体何に使うのかは分からない。

 だけど一応調査結果的な映像証拠を睨めっこする。

 地面に置いていたカメラドローンを拾い上げ、スマホを介して撮影した映像を観てみることにした。


「撮れてるかな?」


 スマホの映像を観てみる。

 しかし千世は「あれ?」と首を捻った。

 映像の端にコメント的な(・・・・・・)ものが流れていたのだ(・・・・・・・・・・)


「何でコメントみたいなのが流れてるのかな?」


 もしかしてスマホのOSをアップデートしてないせいで、バグが発生してしまったのかな?

 はたまたカメラドローンの設定を間違えちゃったのかな?

 千世は頭パニックになるものの、じっくり映像を確認する。しっかり撮れていて、流石は最新仕様と感心する。


「映像はよく撮れてるけど、何でかな?」


 やっぱりコメントが気になる。

 チラチラ視線を奪われると、“全部躱してる!?”とか“めっちゃスゲェ!”とか嬉しいプロコメントが多かった。


「本当にコメントみたい。でも私配信なんてした覚え……ん!?」


 スマホの履歴を見てみると、何故か配信された形跡がある。

 誰かに勝手にコントロールされたわけではなく、如何やら自分で押してしまったらしい。


「ど、何処で押したの?」


 千世は目を回す。

 記憶を遡り、何処で変なことをしたのか思い起こすと、二つ可能性が出てくる。


 一つ目は台座が動いた時。

 もう一つはミノタウロスからカメラドローンを守った時。

 この二つが可能性を高めているけど、どうせ配信してしまったんだ。どっちを考えても気にしてはいけない。


「って、そんな簡単には行かないよ! 何で、何で配信なんて……しかも私が映っちゃってる」


 ダンジョンの中だけなら良かった。

 だけど、自分の姿が映っていることが恥ずかしくて仕方ない。千世は自分のキャラを知っているから、こんなことを率先してするはずがないのだ。


「で、でも……コメントは結構多い?」


 如何して何だろう。

 何もSNSで告知をしていない超初心者の自分がこんなに伸びてるんだろうかと、千世は思い悩む。しかもこの配信サイトは良く千世が動画や配信を観ているサイトな上に全世界を範囲にしていた。


「ぬなぁー」


 全身が負のオーラで覆われて気分がどんよりしてくるものの、このまま座り尽くしていても変わらないので、一旦家に帰ることにする。


 とは言えその前に一つ。

 千世は心の底から溜息を吐き出す。


「何でこんなことになるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 千世の絶叫が森の中を駆け抜ける。

 初めてのダンジョン探索と謎のミスによる配信の二つに板挟みにされた千世の感情はどっちに転んだらいいのか分からず混乱の海に溺れるのだった。

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