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第18話 ゴブリンすらも駆け抜ける

【危険予知】の能力が詳細になります。

 千鳥とシュヴァルはダンジョンの奥に向かう。

 その最中、シュヴァルは千鳥に尋ねる。


「千鳥、千鳥の能力ってなに?」

「の、能力?」

「そう、能力」


 能力とは、ダンジョン探索者が得られる特別な力だ。

 市役所で飲んだ薬の影響で細胞の一部が変化している。その影響はダンジョン内限定で身体能力を高め、生存能力を高めるだけじゃない。それぞれの内側に潜んでいる個性を開放し、能力としてその身に宿す。そうすることで、ダンジョンでも何かしら役に立つ……と言われていた。


「千鳥の能力ってやっぱりあれ? 回避系?」

「か、回避系って?」

「だ・か・ら、千鳥の能力。あんなに早くスライムの攻撃を事前に予知して回避できるなんて、正直普通じゃないよ」


 グサリと胸に突き刺さる。

 確かに頭の中に文字だけが出てくるけれど、それが能力って……何だか私らしいけど、アバウトだよと、千鳥は自分で自分の能力を卑下した。


「もしかしていわゆる未来予知ってやつ?」

「み、未来予知じゃないと思うよ。多分、私限定の危険予知(・・・・・・・・)と思うけど(・・・・・)


 千鳥の能力はかなり特殊だ。

 自分で能力を自覚したことで、ようやく落とし込むことができた。


 千鳥の佐鳥千世の能力は【危険予知】。

 [自分にのみ(・・)降り掛かる災いを起こる五秒()文字として予知し(・・・・・・・・)頭の中に表示する]のだ。


「そっか、これが私の能力なんだ」

「そうみたいだねー。あーあ、私の能力も早く活躍させたいなー」


 シュヴァルは不服そうにしていた。

 シュヴァルの能力ってなんだろうと思いつつ、ダンジョンの奥へと進んでいく。


 すると千鳥は嫌な予感がした。

 能力ではなく直感的に嫌な予感がしたので一瞬立ち止まった。


「如何したの千鳥?」


 シュヴァルは何かあったのかと思い尋ねた。

 するとこの先で何かが歩くような、ズシッズシッと音がした。


「何かいるよ、シュヴァル」

「そうだね。何かいるね」


 千鳥とシュヴァルは警戒する。

 全身をピリリと魔力が突き抜けた。


「ど、如何しよう。もしも強いモンスターだったら……」

「大丈夫だよ。その時は速攻勝利を決めればいいんだから……って、見えて来たよ」


 薄暗いダンジョンの奥。千鳥達からしたら陰になっていた。

 そこに映り込む小さな人影。だけどただの人じゃなくて、頭に小さな角が見えた。


 薄暗いせいで良くは見えない。だけど確信したのはモンスターだと言うことだ。

 まず体の色は緑色。腰蓑を付けてセンシティブに配慮してくれていた。

 だけど物騒な武器、多分棍棒を持っている上に、ジロリと目が光ってこっちを見ていた。


「千鳥、アレはゴブリンだよ」

「ゴブリン?」


 流石に千鳥も知っていた。

 ゴブリンはRPGでは定番の悪役モンスターで、集団になると厄介なモンスター。色んな作品で女性や子供を襲うとされる怖くて畜生なモンスター代表格と言われていた。


「こ、怖い」

「一匹だけだけ。こっちに気付いてる」


 明らかにゴブリンは千鳥達を狙っていた。

 棍棒を地面に付けて歩いていたのだがピタリと止まり、普段は見ない侵入者である千鳥達へとゆっくり近付く。


「こ、こっちに来た!」

「しかも走って来たねー」


 ゴブリンは急に走り出した。

 千鳥達を狙って棍棒を振るい上げると、「ゴブゥー!」と発狂していた。


 千鳥の頭の中に危険を知らせる文字列が並ぶ。

 [前から来るよ]と分かりきっていた。



“おいおい来るぞ!”


“如何するの!”


“頑張れ、倒せ!”


“千鳥さん、いつもみたいに避けないと”



 千鳥は言われなくても避ける気でいた。

 だけど右に避けようとする千鳥だったが、突然何かが背後から駆け抜けた。


「うわぁ!」


 風が起きた。風圧で押されて逃げられなくなると、目の前にゴブリンの姿があった。

 流石に避けきれない。

 回避特化の能力のはずなのに逃げ道を塞がれて絶体絶命……かと思ったのは、ほんの一瞬だった。


「おりゃあ!」


 ズドン!


 ゴブリンの左頬に強烈なパンチが繰り出された。綺麗な右ストレートが決まると、ゴブリンの顔がグシャリと凹み、カメラには収まらなかったけど弾け飛んだ。


「えっ?」


 目の前には代わりにシュヴァルが立っていた。

 突き出した右ストレートの感触に満足したのかニヒルな笑みを浮かべていた。


「シュヴァル?」

「大丈夫千鳥! 怪我とかしてない?」


 シュヴァルはすぐさま気を取り直した。

 千鳥の肩を抱き、心配してくれた。

 それに答えるように千鳥は「うん」と頷き返すと、「良かった」とホッと胸を撫で下ろした。


「怪我とかしてなくて安心安全! やっぱり前もった行動は余裕がないと駄目だね」

「本当に助かったよ。それにしてもいつの間に?」

「今だよ。私の能力、無事に使えたみたいで安心したよ!」


 圧倒的だった。まさしく瞬殺だった。

 当然背後を駆け抜けて目の前に現れるなんてまるで瞬間移動したみたいで千鳥はびっくりした。

 だけど実際は違うようで、シュヴァルは能力を「ちょっとシンプルなのに難しいかも」と口ごもった。


 兎にも角にもシュヴァルは的確だった。

 あれだけ攻撃力があればなと、千鳥は自分が不甲斐ないなと感じてしまった。

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