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第16話 ちゃんとした配信始めました

シーカーアバターって設定は面白いと個人的に思ってます。

「千世、それじゃあ始まるよ。準備して」

「じ、準備って?」

「とりあえずダンジョンの影響はこの辺まで伝わっているみたいだから、着替えちゃおっか」

「は、はい?」


 着替えるって何? 千世は取り残される。

 すると師走は頭の中で念じた。真剣に目を閉じて何かをイメージすると、突然千世の目の前で師走の姿が変化した。何の前触れもなく、顔立ちは同じなのに、髪の色も目の色も、格好さえ変わってしまう。


「なになになになに!? 急に、ファンタジー?」


 千世は目を丸くする。

 しかし師走は「うーん、完璧?」と少ししっくり来ていない。


「師走、何やってるの?」

「何って、シーカーアバターだけど?」

「し、シーカーアバター? そんなの聞いてないけど」

「何言ってるの。市役所で専門用語聞いたでしょ? ダンジョンに入る時は、イメージがその姿を書き換えて、ダンジョンでも安全に活動できる体を形成する仕組みだって」

「そ、そう言えば?」


 千世はいまいちピンと来ていない。

 もしかしたら緊張と高熱のあまり、その記憶が吹き飛んでいたのかもと錯覚する。と言うか、思い込むしかなかった。


「ほら、千世も早くチェンジチェンジ!」

「チェ、チェンジって言われてもやったことないし……」


 千世は全くと言っていいほどさっぱり。

 だけど師走は首を捻る。


「何言ってるのさー、この間の配信でやってたでしょ?」

「やってだって何を?」

「だからアバターだよ。ほとんどリアルの姿と同じだったから、イメージが固まってないのかなって思ったけど、瞳の色が少しオレンジで、髪と一部だけメッシュを入れたのかなってくらい薄いオレンジが入ってたよ?」


 知らなかった。まさかそんなことになっていたなんて。千世は驚きで言葉を失う。

 しかし自分でアーカイブを確認した時はそんなことちっとも気が付かなかった。


「千世は自分よりも周りを見てたからじゃない?」

「そ、そうなのかな?」

「そうだよ! ほらほら、早くチェンジチェンジ。ゲームのキャラメイクみたいに、自分を作って!」


 急に言われても難しい。

 だけどまだ固まっていないうちにやらないといけないらしく急かされる。

 千世は困り顔を浮かべてしまうが、師走に教えてもらった特徴をもとに自分をキャラメイクする。とにかく自分を残しつつ、MMORPGのように薄っすらとしたキャラメイクをした。

 

 すると突然体が光り出して、一瞬にして姿形が変化する。

 もちろんほとんど自分だけど、格好は冒険者っぽさとカジュアルさを残した不思議な格好に様変わりした。と言うよりも……


「これってお母さんに服を着させられた時の私?」


 完全にそれだった。

 黒髪に薄らとオレンジの筋が入りつつ、瞳の色にもややオレンジ味が掛かる。

 その上着ている服装も前回とあまり変わらない。

 オレンジに白のラインが入るカジュアルなカーディガンをちゃんと羽織りつつ、足元は動きやすさと着心地重視の黒いパンツ。革製のベルトをドテッと巻かれて、何だかカッコつけようとしている感が異様に強い。千世は恥ずかしくて顔が真っ赤になる。


「は、恥ずかしい……」


 そう答える千世とは対照的に、師走は首を捻る。渋い表情を浮かべると、千世に伝えた。


「何だか控えめ? ほとんど千世のお母さんが千世に着させたがる格好じゃないのー?」


 確かにと思ってしまった。

 千世は困り顔を浮かべてしまうが、まさかこれが自分のアバターになるなんてと、今更ながらにちゃんと考えるべきだったと後悔する。


「もっと前もって知ってたら……」

「まあいいでしょ? それより配信開始するよ!」


 師走は千世に伝えた。

 SNSアプリを開きURLを貼ると早速告知した。果たして観に来てくれるいるのかなと思いスマホを見てみると、何と待機待ちの人が百人くらいいた。


「な、何で!?」

「何でも何も千世人気に決まってるでしょ?」

「わ、私人気ってなに!? 私なんて……」

「だってほら。千世のアーカイブのURLを引っ張って来てるんだよ? 観に来てくれる人だってたくさんいるに決まっているよ!」


 勝手なことをされていた。だけど千世は怒るどころか恥ずかしさがより極まる。

 ポワーンとしてしまう千世の方をポンと叩き、気合を注入する。


「はいはい千世、リラックスリラックス!」

「う、うん。えっと、始まるんだよね?」

「そうだよ千鳥。ってか、はい、三、二、一。スタート!」


 待機画面が外れた。配信が始まったようで、カメラドローンが目に前で回る。

 いつの間に脚を取っていたのか音も無く宙に浮き上がり、千世こと千鳥と師走ことシュヴァルを映し取った。


「え、ええっ! 始まってるの!」

「始まってるって。えーっと、こんにちは。世界地ZOOの赤馬、シュヴァルと……」

「……あっ、えっと、千鳥です!」

「今日は観に来てくれてありがとう。早速今日の企画は、見ての通りダンジョン探索だよ!」


 シュヴァルは丁寧でコミカルな口調を適宜放つ。

 千鳥はその姿に圧倒される中、コメント欄を凝視。するとたくさんのファンコメントが届いていた。



“千鳥さんのダンジョン配信だぁ!”


“隣の子誰?”


“真っ赤なお馬さん?”


“明るい子じゃん。良い友達的な?”


“ダンジョン配信は観るっきゃなねぇ!”


“危険なことはすんなよぉー”



 たくさんの人達に観て貰えている。

 恥ずかしいけど何だか嬉しい。千鳥はポワッと心があったかくなるのを感じ取った。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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