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2.2つの戦争

戦争がはじまります。

でも、この話で終結します。(あれっ)

2.2つの戦争


国王の指示を受けて、各部局が動き出す。

どれと私も動こうとしたとき、父上から声がかけられた。

「リルリアーナよ。重い業を背負わせて申し訳ない。せめて、無事にもどってきておくれ。」

見ると、父上も母上も涙を浮かべている。

「私は私の居場所と、好きな人々を守るために戦うのです。大丈夫ですよ。」

と答える。戦争は、リルちゃんの自由を奪おうとする卑劣な行為である。決して許さない。

「では、行ってきます。」

といって、会議室を出る。

行先は、騎士団、魔導師団合同チームの集合場所だ。

普段は外敵の侵入を防ぐため、城内でのテレポートは許されていない。ただし、緊急事態の時に限り、人員や物資を運ぶため、一部空間でのみテレポートが許される。今回は戦争という緊急事態が発令されたので、この空間のみテレポートが許されるのだ。

すでに騎士団長、魔導師団長がおり、各人に指示を与えている

「騎士団長、魔導師団長。私はすぐに北の砦に向かいます。終わったらすぐに西に向かいます。西で会いましょう。」

「わかった。次は西でな。」と騎士団長。合わせてうなずく魔導師団長。

すぐにテレポートを発動し、北に向かった。


北とのルートは1か所。とても細い街道である。北の国がケチっており、拡張工事は全く行われていない。

櫓の騎士に声を掛ける。

「国王の命をうけてきました。第一王女リルリアーナです。」

びっくりされたが先に連絡が入っていたのだろう、櫓に上らせてくれた。

「あちらに見えるのが北の国の騎士たちです。あと30分程度で到着するでしょう。間に合ってよかったのですが、本当にあなた一人なのですか?」

「ご心配なさらず。私一人で十分です。」

そういいながら遠見の術を発動する。思ったより人数が多いな。この道を通り抜けさえすればなんとかなると思っているのかな?

さらによく見てみると、一番前には輿に乗ったデブがいる。戦争で輿?そしてデブ?馬車でもないのか。

「輿に乗ったデブは誰?」歯にもの着せずに騎士に尋ねる。

騎士は笑いを抑えながら、

「あれはおそらく第一王子ではないでしょうか。今回は簡単に土地を奪えると思い、先陣を買って出たのかもしれません。」

相手の事情は問題ない。リルちゃんの自由を奪うものは許されない。デブよ、お前の命運は尽きた。

「では、私は国境門より先で対応します。門は閉鎖したままでお願いします。」

といい、門の先にテレポートする。


しばらく待っていると、敵が見えてきた。こちらが一人とみて、まったく速度を落とさないので、こちらから声を掛ける。

「そこでとまれ。これ以上近づくことはゆるさない。」

ついでに足元に軽く火球を叩き込む。慌てて止まる敵陣。

「おい、小娘、お前何者だ?」とデブ。話しかけたくはないがしょうがない、手っ取り早く終わそう。

「私は国王の命を受けてやってきた。お前らの運命はこれで尽きる。」

「たかが小娘一人に何ができる。轢き殺せ!」

頭に血が上るのが早いな。まあ、それはそれで助かるけど。

さきほどより速度を上げて突っ込んでくるバカ一同。ある程度距離を開けておいてよかった。

十分近づいてきたところで術を発動させる。

「土壁!」

高さ3メートルほどの土壁ができる。急にできた土壁に対処できず、そのままの勢いで土壁に突っ込むデブ。そして、後ろの騎士たちも急には止まれない。これだけで阿鼻叫喚の図の完成だ。壁の向こうなので、直接見ていないけれど。

さらにこの土壁はリルちゃん特製である。そう簡単には壊れない。


空中浮遊の術を使い、土壁の上に出た。

土壁の向こう側は予想通りの光景だった。

「おのれ小娘め~」

まだ生きてた。でも、その方が私としては助かる。どれ、これから引導を渡すこととしよう。

某有名RPGに、核爆発の呪文がある。別空間で核分裂を行い、破壊力だけをこの世に具現化するものである。

でも、じゃあ核分裂したものは?と考えると恐ろしい。核はだめ、絶対。

よし、爆発力を高めた爆炎球にしよう。イメージしやすいし、アレンジしやすいし。

何も答えずに右手を挙げてとても大きな爆炎球を作る。えっとびっくりするデブ。

そして隊の後ろの方を左手で指さす。

デブが指の先を見たのを確認してから爆炎球を指さしたところに打ち込む。

結構遠いところにしたので、反応に時間がかかる。よし、着弾した。

ドカーンという音がこちらに届く。よく見ると、爆風によって人が飛び散っている。真っ青になるデブ。

近くの騎士が思い出したかのように矢を放ってくる。魔導師は様々な術を放ってくる。

しかし、リルちゃん特製の防御結界に阻まれる。お前らの攻撃なんてくらわねーよ!

もう一回、少し手前側に同様のことを行う。さらに青ざめるデブ。

奥に落としておかないと、ヤバさが伝わってくれない。少なくとも2か所、離して落としたことで、後ろでもヤバさが伝わるだろう。

「小娘、おまえは…」とデブ。そろそろ終わりにしよう。

「では、あなたに引導を与えるわ。」

と言って同じ爆炎球を作り、落とす。

爆音と爆風があたりを震わせるが、私は防護結界で無事である。土壁も問題ない。

爆風が収まった時、そこにあったのはデブや騎士たちの黒焦げ死体だった。

「おい、そこの騎士たち。」と爆風を受けなかった騎士たちに声を掛ける。このためある程度近い騎士を残したのだ。

「死体等を全て持ち、国へ帰れ。国王は、侵略を認めない。もしまた来たときは容赦しない。必ず全滅させると伝えよ。さあ、急げ!」

今までのことで恐怖を感じたのだろう。てきぱきと動いて死体を回収し、死にたくないとばかりに逃げ帰っていく。

途中途中伝令しながら帰るのだろう。だいだい、第1王子が今回の隊長である。隊長が戦死では戦争できない。

逃げ帰っていくのを確認してから、私は櫓にテレポートする。


「終わりました。」と櫓の騎士に伝える。

「お疲れさまでした、姫様。こちらで見てましたがすごい破壊力でしたね。初めて見ました。」

そりゃそうだろう。こんなことができるのは私だけのはずである。

「時間が惜しいので、私は次の場所に向かいます。ほかの方々によろしくと伝えてください。」

「わかりました。ご武運を!」

私は手を振り、西へとテレポートする。午後からは西の貴族たちが攻めてくる。時間がない。



テレポートで西に来た。位置は邪魔にならないよう、少し離れたところにした。

騎士団や魔導師団はどこにいるのかな、と探していると、テントを見つけた。おそらく指令室だ。

近づくとやっぱりそうだ。入口の騎士に話しかけ、中に入れてもらう。

「失礼します。リルリアーナです。北の件にケリをつけこちらにやってきました。」

びっくりする騎士団長と魔導師団長。そうだろうね。別れてから1時間とはたっていない。

「して、どうなった?」と騎士団長。

「それなりの人数を爆風で吹き飛ばし、第一王子のデブを黒こげにしました。」

デブに反応して吹き出すお2人。わかる~。

「姫様が言うから真実なのはわかるが、末恐ろしいな。」

と、騎士団長。ぷーっと膨れる私。リルちゃんは戦闘狂じゃないやい。緊急事態だから強力な術をつかっているのだい。

「ところで、こちらの状況はどうなの?」

「一触即発モードだ。テレポートで集まってきたのを見て、敵も動きを活発にしている。こちらの準備が整う前に川を渡ってこようとしている。今は川の水も少ない。簡単に渡ることができるだろう。」

「わかりました。では、指示を出します。私一人、川岸にて術を行使します。私の術は爆発を伴います。川岸から少なくとも100メートル離れたところに騎士たちを待機させてください。魔術師団には、防御結界をお願いします。」

「それでいいのか?」と騎士団長。

「はい。今回は私一人で対応します。騎士たちは相手への威圧です。間違っても戦わせてはいけません。」

「騎士たちが納得するだろうか。

「納得させてください。今回の目標は、こちらは無血での完全勝利です。何が何でも納得させてください。」

「姫様にそこまで言われたらな。わかった。私が直接説明をし、納得させよう。」

「よろしくお願いします。ところでですが、あとどれくらいで敵は動き始めるのでしょうか。」

「おそらく後30分。」

「なら、すぐに説明し、15分で配置を完了させてください。お願いします。」

そういうと、うなずいてテントから出ていく2人。必ず納得させてください。


少しだけ呼吸を整えるように休息をとってから(体感5分)、テントを出る。

騎士も移動を始めている。ぶつぶつと言っているのがいるが、新米騎士だ。

「我々って戦ってなんぼだろ?戦うなってどういうことなんだ?」

すぐさま注意をする先輩騎士。

「死なないのが一番なんだよ。抑止力になるのも我々の仕事だ。配置に着くぞ。」

さすが先輩騎士。わかってらっしゃる。

それを見て、私は私の役割を果たそうと川岸に足を向けた。


川岸に到着すると、向こう岸の動きが活発になっているのが見えた。たしかに、いつ来てもおかしくない。

今回使う術はすでに決めてある。

眼をつむり、空のかなたに意識を向ける。空よりももっともっと上の世界。前世では「宇宙」という。

そこで、程よい大きさの岩を探す。自分なりなので、大きすぎたらごめんなさい。

まずは1個、離れたところに3個。

その岩に魔力の線をつないだところで準備完了。

深呼吸し、目を開けたところ、私に向かって敵陣から矢が放たれていた。

矢文みだろうと素手でキャッチする。やはり矢文だった。すぐに読む。

「準備ができたので、これから攻め込ませてもらう」といった内容だ。

手紙をポケットにしまい、私は後ろに声を掛ける。

「敵が攻めてきます。ですが皆さんは絶対に動かないでください。」

「あい分かった。」と騎士団長。騎士団長がそう答えた以上、軍隊の規則で指示は絶対である。


すぐさま空の岩に集中する。まずは1個。どの程度の破壊力なのか試しである。

繊細に魔力をそそぎ、着地地点まで岩を誘導する。敵は鬨の声をあげ、こちらに向かってくる。

敵陣が川の中央を過ぎたあたりで、一つ目を着弾させる。ドカーン!

すごい爆熱と爆風があたりを包み込む。飛び散る敵兵。直撃者は形も残っていないかもしれない。

川は広いので、横につながるように残り3個をタイムラグを生じて落とす。

ドカーン!ドカーン!!ドカーン!!!


ヤバいのを感じ、生きている敵兵が向こう岸へと戻る。

しばらくして、白旗が上がった。戦闘終了だ。


振り向いて騎士団長のもとへ向かう。そばに魔導師団長もいる。

「終わりました。後処理をお願いします。私は先に城に向かい、国王に報告します。」

「あいわかった。姫よ、ご苦労様でした。」と騎士団長。

魔導師団長はいまだに放心している。そりゃあね。すごい破壊力なのにイメージが全くわかないんだもん。

この世界の人は無理だよ。これは異世界転生人の特権だから。

失礼しますと声を掛け、私は王城にテレポートした。


皆さん、勘違いしないでくださいね。

リルちゃんは14歳の女の子ですからね。

無敵少女ではないのです。

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