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11.第一王女、スキルを知る。

11.第一王女、スキルを知る。


今日はいよいよスキルを調べる日。どんな結果が出るかな?

誕生日は、生まれた時間がまちまちなので、チェックができない。必ず次の日以降に検査する。

貴族は王宮魔導師団が行うが、庶民は町の教会で検査するようになっている。


弟のレイモンドが、今まで全く自力では起き上がれなかったため、レイモンドの寝室で一緒にスキルチェックだ。面倒なので同じ場所で2人チェックする。

レイモンドの部屋に入れてもらい、寝室に向かう。

「久しぶり、レイ。元気してた?」

「お久しぶりです、姉上。元気ですよ、頭は。この身体が恨めしいです。」

「そういわないの。必ずあなたは丈夫になって立ち上がれる。そんなこといわないの。」

レイと会話をしている間に、関係者が集まった。父上と母上、そして検査員は魔導師団長。


「よろしくお願いいたします。」

「では、姫様から検査しましょう。姫様、この球に手を当ててください。」

高さのある台座の上に置かれた検査球。小さい子が立ったまま触れられる高さ。

触れると輝き出す球。なにがでるだろう、わくわく。

「もういいですよ、姫様。」手を放す私。

「姫様のスキルは、『自由』。自由?」

首をかしげる魔導師団長。この世界になかったものか?父上も母上も首をかしげている。

「姫様、何か力は感じますか?」

目をつむり、体内の力を呼び起こそうとする。私の力よ、もしあるなら出てきて。

でも逆に内側から訴えてくる。汝、自由であれ。汝が求む自由であれ、と。

どうも私の中は、私を自由でいいよ、といっているようだ。しかも、自分の考える自由だよ、と。それって、前世の時に信念にしていた自由と同じ?

もしかして、スキルって心と関係してる?

まずは今回のを終わらせよう。

「いえ、何も力を感じません。」

「そうか、何かすごい力を発揮するかと思ったんだが。」残念がる魔導師団長。

もう一度整理する。私の理念は自由。自分の自由を侵害するものは許さない。ただし、何でもない人の自由を奪ってはならない。お互いが自由。うん、わかった。私、自分の自由を守るために強くなる。


「では王子、この球に手を当ててください。」ぴかっ

「こ、これは『博愛』。ということは、力がどんどん外に抜けて行ってしまってます。今後立ち上がれる見込みは少ない。むしろ寿命の方が…」

あれ、周りの雰囲気が変だぞ。心の中に向いていた意識を浮上させ、確認する。

魔導師団長が呆然としている。父上と母上は顔を青ざめてる。

そして、レイモンドは絶望して叫んでる。「わああああああ~」

まずい、精神崩壊する。急いで対応しなきゃ!

「レイモンド!」叫びながらレイモンドの所に行き、肩をつかんで揺さぶる。

「レイモンド、まだ絶望するんじゃない!あなたは生きれる!あなたは長生きできるの!!」

一生懸命肩を揺さぶる。絶望の中から戻ってらっしゃい!

「まだあなたは生きてる。だからあなたは長生きできる。立ち上がることもできる。何も問題ないのよ!力が外に抜けて行っているのなら、それを止める方法を探すのよ。力の放出が止められれば、あなたは普通に生きられる。普通に生きられるのよ!」

「お姉ちゃん、それほんと?長生きできる?」戻ってきた!

「本当よ、力の放出が止められれば、あなたは立ち上がれるようになる。そしてたくさんの孫に囲まれるようになるまで長生きするの。長生きできるのよ!」

「信じていいの?」

「信じていいのよ。お姉ちゃんがついてる。お姉ちゃんが必ず守る。だから、信じなさい!」

「わかったよ、お姉ちゃん。」

よし、目に光が戻った。もう大丈夫だ!

見ると、父上と母上が涙ぐんでいる。魔導師団長は、「そうか、そんな方法があったのか。放出を止める方法を探さなければ。」なんか気合を入れている。

「問題なければ、これで失礼しますね。」と言って退出する。「父上、母上。思い出したことがあります」とレイモンドが話していることに気づかぬまま…


その夜、目が覚めた。夜に起きることはあまりない。ゴロゴロしていたが、なかなか眠れないのであきらめて部屋を出る。夜なので、侍女たちはいない。必要であればベルで呼ぶ。

この王宮は、王城の離れにあり、王室関係者の建物だ。基本、3階は各人の部屋。私の部屋もここ。

2階は客人を呼んだり、イベントができる部屋があるところ。ダンスの練習もできる。あまり使ってないけど。

1階はリビング。皆が集まってお話しできるところ。でも、父上と母上が忙しくて使ったことがない。台所があるため、水を飲みに来たのだ。

あれ、人がいる。

「まさか、レイが異世界転生人だったなんて…」え、レイが異世界転生人?

「そうじゃな、あのパニック時に思い出したとは。しかも前世は壮絶な不幸人生とは。」

「現世ではいっぱい愛してやらないといけないわね。」

「…しかし、ここに異世界転生人が少なくても3人おる。」え、3人?誰?

「そうね、私とあなたとレイ。こんなにそろうとはね。」

「ええ~!」しまった、思わず声を張り上げてしまった。

こちらを向く2人。しまったといった顔。ええい、ままよ。

「父上、母上。聞いてほしいことがあります。」話すなら今しかない!

「リルちゃん、こっちへいらっしゃい。飲み物を用意するわ。」

「はい。」言われたとおりに来て、椅子に座る。

母上が奥に行った。しばらくして飲み物を持ってきた。父上は最近出回っているコーヒー。母上は紅茶。私はホットミルク。

「それで、リルよ。話とは何じゃ?」

「父上も母上も異世界転生人と聞きました。だから私も自分の秘密を言います。おそらく気づいていらっしゃったと思いますが、私も異世界転生人です。私は、地球という星の中の、日本という国の人です。私はOLをしていました。そして、俗にいうオタク。ゲームにラノベにアニメにと様々なジャンルのオタクでした。仕事の帰り、悪ガキに押されて道路に投げ出され、そこに来たトラックに轢かれました。それが私の前世です。」

眼を見開く父上。驚いて口に手を当てている母上。

ホットミルクを一口。そして話を続ける。

「次に生まれついたのがここです。実は、生まれたころから前世の記憶があります。弟が生まれたことも知っています。最初からおかしな子だと思ったことでしょう。会話がわかるのですから。」

うなずく母上。やっぱり気づいていたか。

「自分に力など何もないようだとわかった私は、どうしたらいいか悩みました。そして、とにかく力をつけることにしたのです。色々なことをやりました。たたし、この頃は、年齢相応に見えるよう、努力しました。普通の幼児に見えるように、です。しかし事件が起きました。あの右腕事件です。」

うなずく2人。表情をころころ変えている余裕はない。無表情に近い顔である。

「それから、私も吹っ切れました。予想できる短時間に近いスピードで、自分を鍛えようと。素をさらけ出し、私は必死になりました。もし同じようなことがあったら、自分を守れないからです。それで今日まで至りますので、今まであったことはわかるでしょう。」

うなずく2人。ここまで静かに聞いてくれた。

「わたしの話は以上になります。何かありますか?」

私の所にやってくる母上。ぎゅってされた。

「リルちゃん、大変だったのね。私、全然知らなかった、こんなに苦しんでいたなんて。」

「いいえ、母様は気づいていたはずです。そして、私を助けてくれています。だから、母上には素をさらけ出していました。ありがとう、母様。」

涙が出てくる。今の私があるのは、母様がいるからだ!


「それで、あなたのスキルは?」

「特別な力はありません。スキルは『自由』。これは自分の理念です。自分は自由でいること。自分の自由を邪魔する者は敵であること。制約もあります。人の自由を奪うことです。いくら自分が自由でも、勝手に人の自由を阻害してはならない。お互いが自由であり、干渉しないのが私の理念です。」

「私はあなたの自由を阻害していないの?」

「むしろ理解してくれていて、守ってくれています。私の自由は家族に守られています。だから、家族は敵ではありません。むしろ味方です。私の居場所は家族なのです。」

「そう、そうなのね。」


「リルが秘密を話してくれたんじゃ。儂らも話そう。儂の前世は日本の商社マン。世界を股にかけていたのじゃよ。」

「私は美人OL。課長職で事業の企画、運営を行っていたわ。プレゼンで戦うこともしばしばあったわね。そして、レイも日本人よ。例の過去は壮絶すぎてあなたには伝えられないわ。」

「十分ですよ。ありがとうございました。」

「なお、日本の異世界転生人が4人いることは、儂らしか知らない、4人の秘密じゃ。他に言わないよう、注意することじゃ。」

「わかりました。」

「では、夜も遅いのでな、解散して寝よう。」

「はいっ」

では、部屋に戻って寝ましょう。おやすみなさい。


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「リルも異世界転生人じゃったのう。しかも日本人。」

「そうだろうとは感じていたけれど、直接本人から聞くと、ちょっとね。」

「スキルが『自由』。どんな影響があるのか気になるのだが。」

「何も変わらないわよ。自分を強く鍛える。自分に降りかかる火の粉を払うってね。なにもかわってないでしょ。」

「オタクだったら、『俺、TUEEE』ってならないか?」

「そうならないのがリルちゃんよ。『過ぎたる力は己を破滅させる』ってね。あの子、魔術を学習した割に、ほとんど使わないし新しい魔術を練習しないのよ。強くなるのが目標ではないのよ。自分の身を守ることが優先ね。剣と魔術の両方で身を守れたら、最高じゃない?」

「なるほどのう。…夜ももう遅い。もう儂らも寝よう。」

「そうね。」


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夜が更けていく。


リルちゃんのスキルがわかりました。

リルちゃんは「力がない」と言いましたが、しっかりスキルは発動しています。

そのため、今まで子どもではありえない行動ができたのです。

詳しくは活動報告にて。

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