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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
最終章:世界を殺す、最後の暗殺者
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希望へと繋がる道しるべ


時刻は深夜2時

「4」と「1」が戦った場所から北へ真っすぐ

「13」はスカイツリーに向かって移動していた


もはや隠密行動を取る必要はない、道路の真ん中を走り抜ける「13」

見上げれば、暗闇の中で聳え立つ巨大な塔

スカイツリーまではもう目と鼻の距離


「ッ!?」


だがその時、大通りへ出た瞬間「13」が足を止める


都道453号

スカイツリーの手前、浅草から東へと繋がる道路

その中央で、男は静かに待っていた


「来たか。「13」」


そう言いながらその男、ナンバー・「1」は静かに閉じていた目を開く


「ナンバー・「1」・・・」


そう呟きながら、「13」はゆっくりと銃を抜き戦闘態勢に入る

だがそんな「13」とは対照的に、「1」は腕を組んだまま「13」に言った


「10年前・・・」

「・・・?」

「そう、10年前のゼロ・オリジンとの完全接続実験。その日全てが始まったのだ」


静かに語り続ける「1」に対し、「13」は銃を構えたまま無言でそれを聞き続ける


「あの実験で我ら9人の暗殺者は、オリジンへと繋がる資格を得た。そしてその中の選ばれた一人が、オリジンと完全接続を果たしこの世界を救う、それがこの戦いだった。しかし・・・」


その時、「1」は「13」に向かって蔑んだ様な視線を向けながら告げた


「まさか・・・その戦いがこんな結末を迎える事になるとはな。「13」、シングルでもなければ選ばれたわけでもない。お前の様なただのイレギュラーが最後まで生き残るなど・・・、全く残念だ」


不機嫌さを隠そうともせずそう言い放つ「1」

だがすぐに息をふうっと吐きだし気を取り直すと、「13」に向かって宣言する


「だが、過ぎた事は仕方あるまい。残った資格者は二人、この戦いの勝者がオリジンを手に入れる。では、最後の戦いを始めようか。この世界の救世主を選ぶ戦いを・・・!」


そう言いながら、静かに両手を広げる「1」。そして・・・


「・・・とは言え、私の負けなど万が一にもあり得ないがな」


不敵な笑みを浮かべながらそう呟いた


「・・・」


しかしそんな「1」に対し・・・


「勘違いするなよ・・・?」

「何・・・?」

「資格者だの世界だの救世主だの、俺にとっては全てどうでもいい」


「13」は冷めた視線を向けたままこう告げた


「お前はその力で暴虐の限りを尽くすただの「接続者コネクター」で、そして俺はそんな接続者共を狩る「暗殺者アサシン」だ。俺がお前を殺す理由はそれだけ。この街の治安を維持する、これはただの仕事だ」


そう冷酷に告げる「13」

それに対し「1」はますます苛立った様に吐き捨てる


「チッ・・・! やはり貴様はイレギュラーだ。資格を手に入れておきながら、世界を変えようとする意志を持たない。貴様はこの場の立つのに相応しくない男だ、早々にこの世界から消え去るがいい・・・!」


ゴォォォォォッ!!!!!


そして! 周囲一帯を包み込む様な怒気を発しながら力を解放した「1」!

だがそんな凄まじい圧力を前に、「13」はあくまで冷静に呟く


「標的、元暗殺者ナンバー・「1」。ナンバー・「13」、暗殺開始アサシネイションスタート・・・!」


そして二挺の拳銃を手に!

「13」は「1」へと挑むのだった!!!











「ッ!!!」


ダンッ!!!


「1」に向かって突撃しながら、弾丸を放つ「13」! しかし・・・!


「今更こんな攻撃が通用すると思っているのか?」


「1」の外部電脳デバイスが駆動音を立て、能力「斥力場アンチフィールド」を発動する!


至近距離からの散弾銃の一撃にすら耐える能力

「13」の放った弾丸はあっさりと弾かれてしまった


「・・・」


しかし「13」は動揺する事なく、続けて攻撃を仕掛ける!


右手の銃をホルスターに戻すと、腰の後ろから大型のマチェットを引き抜き「1」に向かっていく!


「・・・無駄な事を」


それに対し「1」はその場から動かず「13」を待ち受ける! そして・・・!


ブンッ!!!


至近距離まで踏み込んだ「13」が「1」に向かってマチェットを振り下ろした! だが・・・!


ギィンッ!!!


「チッ・・・!」


やはりその一撃も「1」の「斥力場」の前には何の効果もない!

その時、「1」が呟く


「やはり貴様はこの程度か「13」。意思もなく力もない。持ち合わせているのは、この私に対し無謀にも突っ込んでくる蛮勇のみ。だが・・・それは蟻が象に挑む様な愚かな行為だ!!!」


その時! 周囲の空気がパキパキと音を立てながら凝固する!

出来上がったのはつららだ! 空気中の水分を冷やして固めた氷の槍!


「消えろ! 「13」!!!」


ドガガガガガッ!!!!!


「1」の怒号と同時に一斉に放たれた氷の槍!

降り注いだ槍の雨によって、「1」の目の前のアスファルトが一瞬で粉々になる! しかし・・・!


「・・・逃げ足だけは速いな」


危機を察知した「13」は「1」から間合いを離し、これを回避していた!


「フウッ・・・」


軽く呼吸を整え、再び拳銃とマチェットを構える「13」

だがそんな「13」に対し、呆れた様な表情を見せると「1」は告げる


「愚かな・・・。勝ち目などない事がまだ分からないのか?」

「・・・」


だがそんな言葉にも「13」は無言

冷たい視線を向けたまま再度突撃! 攻撃を仕掛けていく!


「チッ・・・! 鬱陶しい! とっとと消えろ! イレギュラー!!!」


ドガガガガガッ!!!!!


氷の槍の他にも「4」に見せた「磁力制御マグネティック」や「雷撃ライトニング」など、強力な能力を惜しみなく連続で繰り出す「1」!

一撃で致命傷になりかねない攻撃の嵐を、「13」は紙一重で回避しつつ攻撃を繰り返す! だが・・・!


(やはりこちらの攻撃は全く通用しないか・・・)


一見無謀に見える攻撃を繰り返しながら、「13」は冷静に戦局を分析していた


(奴を倒す手はある・・・、だが今は無理だ。まずはあのフィールドをなんとかしなければ・・・)


「4」が用意してくれた「1」を殺す為の手

それを実行に移す為、冷静に機会を伺う「13」


(必ず殺す・・・。その瞬間を見逃すな・・・)


そして「13」は「1」が放つ能力のただ中に、自ら飛び込んでいくのだった・・・!











その頃・・・

「1」を殺す為スカイツリーに向かうもう一人の人物、霧生冬香の姿があった。しかし・・・


「くっ・・・ここまで戦線が広がっているなんて・・・!」


周囲で鳴り響く銃撃音

既に戦線は隅田川を超え、スカイツリーを北東から南東にかけて囲む様に広がっていた


「クソ・・・! 真っすぐスカイツリーに向かってきたのが仇になった・・・!」


「13」との通信の後

時間的猶予が残されていない事から迂回を諦め、北東に向かって真っすぐ進んできた冬香だったが

接続者達と多国籍軍の戦闘に巻き込まれ、身動きが取れずにいた


「迂闊に飛び出せば蜂の巣だ・・・! だがこの場に留まっていては・・・!」


動くに動けず焦燥する冬香。その時・・・!


「ッ!!! 敵か!?」

「なっ!?」


目の前から突然現れた人影!

接続者か多国籍軍、そのどちらかには違いないが・・・!


「撃て!!! 今周囲に近づいてくる奴は全て敵だ!!!」


相手は既に正気を保っておらず、冬香に対して銃口を向けた! そして・・・!


「冬香さん! 目を閉じて!!!」

「なっ!?」


カッ!!!


次の瞬間! 閃光が辺りを包んだかと思うと、冬香の手が勢いよく引っ張られた!


「走って!!!」

「あ、ああ!」


その声に従い、その場から走り去る冬香!

幸い敵は先程の閃光弾で視界を失い動けなくなっており、追撃を仕掛けてくる事はなかった


手を引かれながら全速で路地裏を走り抜ける冬香。その時・・・


「どうしてここに・・・!?」


そう言いながら、冬香は自分の手を引く人物に声をかける


「もちろん。冬香さんを助ける為です!」


そう答えた自分よりも二回り程小さい少女、それは暗殺課の前線基地に居たはずのアイリだった!


「吹連さん達は前線基地を放棄して撤退の準備をしていて、それで私も撤退する所だったんですけど。冬香さんを助ける為、抜け出してきたんです!」

「なっ!?」


そう朗らかに答える少女、その笑みはこの荒廃した東京に咲く一輪の花の様な笑顔だった。しかし・・・


「なんでそんな無茶を・・・!」


今、この場は戦場

アイリが接続者とは言え、一瞬の油断で命を落とす場所なのだ

そんな場所に彼女が飛び込んできてしまった事に、冬香は眉を潜め言葉を詰まらせる


だがそんな冬香に対し、アイリはその手を引きながら明るい声で言った


「これは恩返しなんです。冬香さんと「13」さんが居なかったら、私はずっと前に死んでいた。だから今度は私が二人を助けたい、私がそうしたいと思ったんです!」

「アイリ・・・」


アイリのその言葉に、冬香は悲しそうに微笑む

そんな冬香を安心させる様に、アイリは続けて言う


「それに! 冬香さん! 私の能力を忘れたんですか!?」

「能力・・・?」

「そう! 「索敵サーチ」です! 周囲の数キロの状況は全部手に取る様に見えてます!」

「・・・! そうか! そうだったな!」

「はい! ですから、敵に見つからないルートを通って移動するなんてお手の物です!」


そう言いながら、冬香の走る速度に合わせて走るアイリ


「次は右へ! その後二つ目の路地を左です!」

「ああ!」


アイリに先導され、暗闇の中を走り抜ける冬香!

その時、やや広い道に出た冬香が空を見上げた


「スカイツリーだ! あと少しで・・・!」


そこまで言った所で、冬香は足を止め後ろを振り返る


「どうした? アイリ」

「・・・」


今まで冬香の前を走っていたアイリ

しかし通りに出る直前に足を止め、その場に立ち止まっていたのだ


「アイリ・・・?」


その場から動こうとしないアイリに対し、心配そうにそう呼びかける冬香。しかし・・・


「あ、すみません。大丈夫です!」


アイリはすぐに笑顔を浮かべ、なんでもないと言った様子でそう答えた。そして・・・


「冬香さん、ここから先は一人で行って下さい。この道を真っ直ぐ行けば「13」さんに追いつけるはずです」


アイリは神妙な顔で冬香に向かってそう告げた


「何? アイリは一緒に来ないのか?」


そう尋ねる冬香に、アイリは答える


「こっちに何人か接近してくる敵が居るみたいなんです。私はここでその敵の足止めをします」

「なっ!? 危険だ! それなら私が!」


アイリの元へ戻ろうとする冬香に対し、アイリはそれを右手を真っすぐ突き出し制す


「いいえ。冬香さんは「13」さんの所へ行って下さい。「13」さんも冬香さんの到着を待っているはずです」

「だが・・・!」

「心配しないで下さい! 私には「索敵」がありますから! 決して無茶はしません! 足止めだけに専念します!」


そう笑顔を浮かべ答えるアイリに対し、冬香はゆっくり頷くと


「分かった・・・。だが決して無茶はするなよ!」

「はい!」


そう言って、アイリに背を向け走っていった











そして冬香の姿が見えなくなった頃・・・


「これで・・・私の役目も終わり・・・」


そう言ってアイリは近くの路地裏の壁に寄り掛かると、そのままドサリと・・・横に倒れ込んだ

それと同時にじんわりと、その腹部から赤い血がにじみ出していく


「・・・良かった、バレなくて・・・。冬香さんって割と抜けてる所・・・あるから・・・」


そう誰に聞かせるでもなく呟いて、ふふっと微笑むアイリ


そう、冬香の元にたどり着く前に

アイリはその腹部に流れ弾を受け負傷していたのだ


「これで少しは・・・恩返し出来たかな・・・?」


朦朧とする意識の中、満足そうな笑みを浮かべそう呟くアイリ


「きっと・・・お兄ちゃんも褒めてくれるよね・・・」


そして少女はゆっくりと


「ユウヤ・・・お兄ちゃん・・・」


眠る様にその目を閉じた・・・

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