収束する運命
「7」「8」との闘いからしばらくの時間が経過
「・・・よし。これでパーツの交換は完了だ、右腕の調子はどうだ? 「13」」
「13」の義手の調整を終えた冬香が「13」に向かって問いかける
「ああ・・・」
「13」は右腕の関節を肩から指先まで順に動かし、確かめていき・・・
「・・・問題ない」
と、一言呟いた
だがその答えに対し、冬香はやや表情を曇らせながら言う
「・・・現状、その義手の調整はこれが限界だ。私はダメになっていたパーツと予備のパーツを交換しただけ・・・。安栖研究主任の居ない今、その右腕を完全な状態に戻す事は出来ない・・・」
そう言いながら俯く冬香に対し、「13」は軽くその肩に手を置いて言った
「心配するな。確かに右腕の状態は万全とは言えないが、あと一戦ぐらいなら戦える」
万全には程遠い状態の右腕
今の状態ではもう「十字銃術」も使えないだろう
しかし、既に戦局は最終局面へと達している
「7」と「8」という主力の一角を失い、多国籍軍の侵攻に対する接続者達の動きも鈍い
もはや「1」の手元に残った戦力は少ないと見るべきだろう
「恐らく次で終わりだ。あとはあのナンバー・「1」を殺せば全て終わる・・・。それまで保てば十分だ」
冬香に向かってそう答えると、「13」は立ち上がり装備を整える。そして・・・
「カズヤ・・・借りるぞ」
カズヤの持っていた銃剣付きのハンドガンを1艇、ホルスターに差し込んだ
そして
「・・・行くぞ冬香。多国籍軍とかち合わない様に迂回しながらスカイツリーを目指す」
「・・・ああ。分かっ・・・」
だがその時、「13」に続こうとした冬香の身体がフラリとよろけ倒れる
「冬香!?」
すぐさま「13」は冬香の元に駆け寄るが、冬香は問題ないと言った様子で首を振ると言った
「済まない・・・どうやらまだ毒が身体に残っている様だ。しばらくは動けそうにない・・・」
そう言うと、冬香は近くの壁にもたれかけながら「13」に向かって続けて言う
「先に行け「13」。私も動ける様になったら後を追いかける」
「だが・・・」
ここはグラウンドゼロの内部、しかも現在多国籍軍と接続者達が争っている最中
やや戦線から離れているとは言え、決して安全とは言えない場所だ
冬香を一人残して行く事にはリスクが生じる
一人で先に進む事を躊躇う「13」に対し、冬香はフッと笑みを浮かべながら言う
「心配するな、父さんの仇を討つまで死ぬつもりはない。戦闘に巻き込まれない様、慎重に行動するさ。そして必ず追いつき、お前が「1」を殺す所を見届ける」
真っ直ぐな視線を向けながらそう告げる冬香
その言葉に対し「13」は、ゆっくりと頷くと立ち上がり・・・
「分かった、俺は先行する。・・・必ず来い、冬香」
「ああ、必ずだ・・・!」
そして「13」はその場に冬香を残し
「1」が居るであろうスカイツリーに向かって、暗闇の中を疾走するのだった
「13」が行動を再開した頃から、ほんの少し時間は遡り・・・
「・・・ふう、まあこれぐらいでいいじゃろ。後はこやつ自身の生命力に賭けるしかないのう」
軽く息を吐きながら立ち上がる女の姿
暗殺者ナンバー・「4」の姿があった
その時、「4」の耳元の通信機に通信が入る
「「4」、聞こえている?」
「双葉か。もちろん、感度良好じゃ」
それは「4」の監査官にして暗殺課のトップ、吹連双葉の声だ
「しばらく応答がなかったけれど、何をしていたの?」
「ん? なに、少し人命救助をな」
その「4」の言葉に怪訝な表情を見せる吹連
だがすぐに気持ちを切り替えると、「4」に向かって言う
「・・・まあいいわ。報告よ、「7」と「8」が死んだわ」
「何?」
「暗殺者達との闘いの後、反応が消えていたのだけれど。少し前に南東の両国の辺りで反応があったの」
「両国? 霧生監査官が居た場所か?」
「ええ。彼女の持っていた外部電脳搭載型の試作通信機、それを通して、「7」と「8」の位置をアイリちゃんが感知した。そしてしばらく交戦状態にあった様子だったのだけれど、反応が消失。戦闘に敗北して死亡したと見られるわ」
「なるほど・・・。ではまさか・・・「7」と「8」を倒したのは」
「「13」よ。どうやら生きていた様ね」
その言葉を聞いた「4」は思わずクックと笑みを浮かべる
「そうか・・・生きておったか・・・! まあ儂の弟見込んだ男、そんな簡単にくたばるとは思っておらんかったがな! クックックックッ・・・!!!」
笑い声を上げる「4」の様子に、吹連はあくまで落ち着いた様子で言う
「ともかく・・・。「4」、これで奇しくも状況は以前に想定した形通りとなったわ」
「ふむ・・・」
笑うのを止め、「4」は吹連の言葉に耳を傾ける
「どの組織の思惑からも外れ、単独で「1」の命を狙うイレギュラー「13」。「5」「7」「8」を失い、もはや自らが動かざるを得ない状況に追い詰められた「1」。それらに対し我々暗殺課は、「9」と裏切り者の「6」を失ったものの。「4」、貴方という最大の戦力を温存する事が出来た」
生き残った資格者は僅か3人
「1」「4」、そして「13」
「私達の目的である「1」の暗殺。それを確実に遂行する為、まずは「13」が「1」に仕掛けるのを待つ」
「・・・」
「その隙を付いて、貴方が「1」を仕留める。これが最も確実に任務を達成する作戦よ」
そう告げる吹連に対し、「4」は質問する
「「1」との闘いで「13」が生き残れると思うか?」
「まず無理ね。いくら「13」が「7」と「8」を倒せる程までに成長していたとしても、あの「1」を相手にして勝てるとは思えない。けれど、隙を作るぐらいは出来るはず・・・。貴方が狙うのはその瞬間よ」
その時、「4」は吹連に向かって静かに問いかけた
「・・・「13」を捨て駒に使えというのか?」
「・・・以前も言ったわね。私は「どんな手段でも使う」、今はこれが最善よ」
双葉の言っている言葉は正しい
それが最も合理的な行動であると、「4」は理解していた
しかしその言葉に対し
「4」は目を伏せしばらく考えた後、こう答えた
「・・・いや、「13」の到着を待っている余裕はない。儂がこのまま直接「1」を叩く」
「なっ!? 何を言っているの「4」!」
動揺する吹連に対し、「4」は冷静に告げる
「東側の戦線が崩壊した以上、内ゲバから立ち直り多国籍軍が押し寄せるのは時間の問題じゃ、「13」を待つ余裕はない。それに「7」と「8」との戦闘で「13」が無傷であるとは考えにくいからのう。いざ現れたとしても何の役にも立たん可能性の方が高い」
よくもまあ、こんなに思っても居ない嘘がペラペラと口から出る物だと
「4」は心の中で自嘲しながら吹連に向かって言う
(だが・・・「13」を「1」と戦わせる訳にはいかん・・・。双葉の言葉だけが理由ではない、嫌な予感がする・・・。「1」と戦えば「13」は必ず死ぬという予感が・・・)
だがそれはさせない、必ず阻止する・・・!
たとえ・・・この命に代えてでも・・・!
(その前に儂が奴を殺す・・・! それで全てを終わりにする・・・!)
そう決意すると、「4」は行動を開始する
「そう言う訳じゃ、儂はこのまま「1」の元へ向かう」
「危険よ! 「4」!!! いくら貴方でも・・・!!!」
「いくら儂でも? クック・・・笑わせるな。儂に勝てる奴などこの世に存在せん、あの「1」であってもな。何、心配するな。儂がとっととナンバー・「1」を殺して全て終わりにしてやる・・・!」
「「4」!!! 待ちなさい「4」!!!」
そして今までにない程の速度で「4」は走り出した!
目的地は東京スカイツリー
迂回も寄り道もしない、真っ直ぐにその塔へ向かって疾走する・・・!
「・・・すまんな双葉。だがこれが最後の我儘じゃ」
5年前に拾った白髪の少年
彼に対して自分がどの様な感情を抱いていたのか、抱いているのか
それは自分自身ですら理解出来ない程、複雑怪奇な感情だ
師の様に? 恋人の様に? はたまた・・・?
いや、もうそんなのはどうでもいい
あやつの未来を儂が切り開く、理由はただそれだけでいい・・・!
もはや一切の迷いもない
暗闇に包まれた東京を走り抜ける「4」。その時・・・!
「ッ!!!」
突然、足を止める「4」!!!
その視線の先に居たのは・・・!
「やはりお前が来たか・・「4」」
「・・・フン。ついに出てきたな・・・」
交差点の中央、「4」を待ち受ける様に立っていたその男は・・・!
「・・・その命貰うぞ。ナンバー・「1」!!!」
元シングルナンバー
暗殺課を裏切った最強の暗殺者、ナンバー・「1」の姿だった・・・!!!
No.1:Alive(生存)
No.2:Disconnection(接続切断)
No.3:Dead(死亡)
No.4:Alive(生存)
No.5:Dead(死亡)
No.6:Dead(死亡)
No.7:Dead(死亡)
No.8:Dead(死亡)
No.9:Dead(死亡)
No.....13.....?????????????????????????
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Un.....known
UnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknown
UnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknown
UnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknown
UnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknownUnknown
kkkkknnnnnnnnnn/////:D.....
そして、全ての運命はオリジンの元へと集う・・・
「僕」はそれを待つ・・・




