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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第九章:資格者達は玉座を目指し、その命は最後の輝きを見せる
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立ち上がる時

「「ウオオオオアアアアアッ!!!!! シネ!!! イレギュラーァァァァァッ!!!!!」」

「くっ!!!」


想像以上の力を見せる「13」に対し、「7」と「8」もその真の力を解放する!

戦いが更に苛烈さを増していく中・・・


「ぐっ・・・クソが・・・!!!」


胸の傷口を押さえたまま、カズヤが呻くように呟く

なんとか出血は抑えたものの、既に戦闘を行える様な余力は残されていなかった。しかし・・・


「このまま・・・終われるか・・・! 俺は・・・!!!」











「「ガアアアアアッッッッッ!!!!!」」


能力「二身同体」の出力を最大まで上げ「13」に襲い掛かる双子の兄妹!

その動きは先程とは比較にならない程の速さ!


(クッ! 奴等の意識が完全に同調した事によって、連携の継ぎ目が完全に消えた・・・! しかも相乗効果で身体能力まで上昇! 「根源接続」でも捌くのがやっとだ・・・!)


凄まじい速さと力で繰り出される斬撃を、両手の銃剣で捌きながら後退する「13」!


(防戦一方・・・! カズヤとの連戦で残弾の余裕もない・・・! だが・・・!!!)


確かに「7」と「8」の能力は脅威だ

だが勝機が無い訳ではない


(完全な同調とは、つまり自我の喪失と同義だ。意識が溶け合い一つになってしまえば、もう元に戻る事は出来ない。いくらシングルナンバーとて、あの状態を長く保てるはずがない・・・!)


そう、その「13」の予想は正解

激しい攻撃とは裏腹に、「7」と「8」の精神は限界へと到達しつつあった


((ぐあ・・・、マズイ・・・意識が・・・溶ける・・・!!!))


記憶が、意思が・・・

溶け合ってぐちゃぐちゃになっていく

どこからどこまでが僕で、どこからどこまでが私か分からなくなる


((これ以上の能力の使用は危険だ・・・! このままじゃ僕達わたしたちに戻れなくなる・・・!))


今すぐ能力を解除し撤退

そんな考えが脳裏に浮かぶ。だが・・・


((何処へ・・・? 何処へ逃げろって言うんだ・・・? 僕達が逃げれる場所なんてこの世界のどこにもない・・・! 僕達が生きられる世界は「1」が創る新しい世界以外に存在しないんだ・・・!))


少しづつ、だが確実に迫ってくる死神の手

彼らは常に「それ」に怯え、逃げ続けてきたのだ・・・











東京都内のある施設に、双子の兄妹が居た


不治の病に侵され寝たきりの妹と、そんな妹をかいがいしく世話する兄

二人はとても仲の良い兄妹だったが

その仲の良さが災いしてか、他の人物とは全く馴染めないでいた






僕には妹が居ればいい、私にはお兄ちゃんが居ればいい






そしてある日、施設内で兄が暴力事件を起こす

原因は寝たきりだった妹を馬鹿にされたとかだった


妹を馬鹿にした同じ施設の子供に対し、突然兄が殴りかかり

倒れた子供に馬乗りになると、気を失い顔面の骨がぐちゃぐちゃに砕けるまで殴り続けたのだ


「当然の報いだろ? 妹を馬鹿にする奴は僕が許さない。誰だろうと絶対に」


そう語る兄の異常性に

施設の子供達のみならず、大人達も恐怖した


この事件がきっかけとなり、兄妹は施設を脱走

同じ頃発生した危険地域、グラウンドゼロへと身を隠す事となった


だがその頃、妹の症状は既に末期を迎えつつあり

グラウンドゼロという劣悪な環境も重なり、その命を終えようとしていた


「死ぬな!!! --ッ!!! 目を開けてくれ!!! ずっと・・・! 僕と一緒に・・・!!!」


それは奇跡だったのか

それともオリジンという悪魔の気まぐれだったのか


キィンッ!!!


兄の瞳が薄紫色に輝くと・・・!

突然、妹はむくりと身体を起こした


「お兄ちゃん・・・? あれ・・・? 身体が・・・動く・・・!? 病気が治った・・・!!!」


能力「二身同体ツーマンセル

この日、双子の兄妹は同時に接続者となり

妹の病状は兄の状態を基準とした事により消え去ったのだ






そのすぐ後

ナンバー・「1」にスカウトされる形で暗殺者となった双子の兄妹は

隔離都市東京の闇に潜む、暗殺者ナンバー・「7」とナンバー・「8」として接続者を狩っていった


その高い能力と、他者を傷つける事を顧みない残虐性

彼らは暗殺者として高い戦果を挙げ、頭角を現していく


だが・・・そんなある日・・・


「ぐっ・・・!!! ゴホッ・・・!」


ビチャッ・・・!


「ッ!? 「7」!!! 血が!!!」

「は・・・? 何だこれ・・・? これはまさか・・・」


任務の最中、突然吐血した「7」


そう、病魔に侵されていたのは妹だけではなかった

症状の進行に差があったが、兄も妹と同じ病に侵されていたのだ


「僕達の能力「二身同体」。症状の軽い方を基準にする事により、症状の進行を遅らせる事は出来る。けど二人共同じ病に侵されている以上、それは根本的な解決にはならない」


ゆっくりと、だが確実に迫ってくる死神の手

現代医学も接続者の能力も、それに対抗する事は出来なかった


「この世界に居る限り・・・僕達に明日はない・・・。なら・・・!」


そんな時、兄妹に示された唯一の希望

それは「1」によるオリジンとの完全接続


そして「1」の反乱に同調し、共に暗殺課を裏切った「7」と「8」


「この世界はもう僕らを守らない。なら、もうこんな世界は要らない・・・! 「1」が創る新しい世界! そこだけが僕達が生きられる世界! 「1」が万能の力を手に入れれば、この病気も治せるはずだ!」


そう、選択の余地などない

それだけが、僕達の生き延びる事が出来る

僕達が進む唯一の道なのだから・・・











脳をかき混ぜるような苦痛の中、兄妹は歯を食いしばり耐える!


((そうだ・・・! 僕達に退路はない!!! コイツを倒し、「1」を勝利させる!!! それしか僕達が生き延びる手段はない!!!))


そして刀を振り上げ! 更に激しく攻撃を仕掛けていく!!!


「「シネェエエエエエッッッッッ!!!!!」」

「ちいっ!!!」


覚悟を決めた「7」と「8」!

その命を燃やした最後の攻撃が「13」へと迫るのだった!!!











「ぐっ・・・「13」・・・」


その時、その戦いを見守る女の姿があった

毒に侵され倒れていた冬香の姿だ


「マズイ・・・このままでは・・・」


常軌を逸した様子の「7」と「8」

その異常な戦闘力の前に「13」が圧されているのは、冬香の目から見ても明らかだった


「何か・・・何か援護を・・・」


そう考える冬香だったが

既に毒は全身に回っており、目を開けているだけでもやっとの状態

とても何かを行える状態ではない・・・。その時・・・!


ザッ・・・


「なっ・・・!?」


突然、目の前に覆いかぶさる様に現れた影

それは、重傷を負って倒れていたカズヤだった!


(くっ・・・駄目だ・・・動けない・・・)


目の前のカズヤに対し、指一本動かす事も出来ない冬香

動けない冬香に、カズヤの手が伸びる。そして・・・


プシュッ・・・


「な・・・何・・・?」


冬香の腕に押し付けられたのは、押し付けて投薬するタイプの注射器だった


「解毒剤を打ち込んだ・・・しばらくすれば動けるはずだ・・・」


そう言うと、カズヤはスッと立ち上がりホルスターから銃を抜く


「ま・・・待て・・・!」


その時、地面に落ちる物があった

カズヤの傷口から滴り落ちる赤い血だ


「駄目だ・・・その傷で動けば・・・」


カズヤを制止しようとする冬香。しかし・・・


「俺は・・・ずっと後悔してきた・・・。あの日ミナを・・・カズミを助けられなかった事を・・・」


施設崩壊の日

銃弾に倒れたカズヤは、その最後の瞬間思った


(でも、カズミなら・・・。アイツならきっとミナを守ってくれる。アイツはいつも強くて冷静で・・・俺達のヒーローだったから・・・。だからここで俺が死んでも、アイツならきっと・・・)


その時の自分の考えに、カズヤは歯をギリリと噛みしめる


「クソみたいな言い訳だ・・・! アイツに全てを任せて、俺は一人で勝手に死ぬ事を選んだ・・・! どうしようもない無責任な奴だったんだ、俺は・・・!」


その結果があの光景だ

何も出来ない自分が招いた、最悪の結末・・・


「だから・・・もう後悔はしたくねぇ・・・!」


そう呟きながら、その足を前に進めるカズヤ


「今度こそ・・・俺はアイツを助けてみせる・・・! そうだ・・・今が・・・俺がもう一度立ち上がる時だ・・・!」


その時、カズヤは一度だけ後ろを振り向き、冬香に向かって呟く・・・


「・・・巻き込んで悪かった。これからはアンタがアイツを・・・カズミを助けてやってくれ・・・。ミナと・・・俺の代わりに・・・」

「カズヤ・・・!」


そして、両手の銃を十字に構え走り出した・・・!











ギィンッ!!!


「ぐっ!!! 強い!!!」


「7」と「8」の連続攻撃に押される「13」! その時・・・!!!


「「ガァァァァァッッッッッ!!!!!」」


獣の様な咆哮を上げながら、「8」が手に持っていた刀を投擲する!!!


ブンッ!!!


グルグルと横回転しながら「13」の首に迫る刀!


「くっ!!! ぐううううっっっっっ!!!!!」


ギィィィィンッ!!!!!


その強烈な一撃を、「13」は両手の銃剣をクロスさせなんとか後方へ軌道を反らせる! しかし!!!


パシッ!


「しまっ・・・!!!」


背後で刀を掴む音!

顔を後ろへ向けると右手に自分の刀、左手に今「13」が弾き飛ばした刀を構えた「7」の姿!


「「コレデシネェェェェェッッッッッ!!!!!」」


すかさず放たれた渾身の一撃!!!


「くっ・・・!!!」


それに対し「13」の反応は間に合わず・・・!

だが・・・その瞬間!!!


ギィンッ!!!!!


「何ッ!?」


「13」の背中を守る様に飛び込んできた影が、「7」の刀を受け止める!


「ッ!!! オオオオオッッッッッ!!!!!」


そして強引に「7」の身体ごとその攻撃を弾き飛ばした!!!


「「キ・・・キサマァッ・・・!!!」」


現れた影に動揺する「7」と「8」。そして・・・


「・・・どうしてだ? カズヤ・・・」


自分を守ったカズヤに対し、茫然と呟く「13」

そんな「13」に対し、カズヤは不敵に笑みを浮かべてみせる


「ハッ・・・! お前をあんな雑魚共に殺させる訳にはいかないからな・・・! 決着を付けるまで、お前に死なれちゃ困るんだよ・・・!」


そう笑いながら言うカズヤ

しかし、その表情は出血多量により今にも倒れそうな程青ざめている


「だがカズヤ・・・! その傷では・・・!」

「フンッ・・・こんな傷で俺が死ぬか・・・! 余計な気を回してんじゃねえぞ・・・!」


そしてカズヤは両手の銃を構え、双子の兄妹に相対する!


「とっとと片付けるぞ、カズミ・・・! 決着はその後だ・・・!」

「カズヤ・・・」

「見せてやろうぜ・・・? 俺達の銃術ガンアーツを・・・!」


その言葉に「13」もフッと笑みを浮かべる


「・・・ああ、そうだな」


そして・・・


「カズヤ・・・」

「あん?」

「背中は任せた・・・」

「・・・ああ、任せろ!」


同じ施設で育ち、互いに殺し合った義兄弟・・・


「行くぜカズミ!!! 俺達の銃術は・・・!」

「無敵だ・・・!!!」


その二人が再び手を取り、共に戦う時が来たのだった!

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