双子の強襲
「13」とカズヤの戦いの最中
トドメの一撃を放とうとした「13」を捉えたカズヤの右腕!
だが・・・その瞬間!
「どけぇっ!!!!! カズミィィィィィッ!!!!!」
「何っ!?」
咄嗟に「13」の身体を押しのけるカズヤ! そして・・・!
「がっ・・・!!!」
「なっ!? カズヤァァァァァッ!!!!!」
「13」の後方より飛来してきた刀が、カズヤの身体を貫いたのだった!
突然の凶刃により倒れ膝を付くカズヤ
大きな刃の付いた刀はカズヤの身体の中心に突き刺さり、背中まで貫通していた・・・!
「カズヤ・・・!!!」
「13」は体勢を整えるとすぐさま駆け寄ろうとする。だが・・・!
「うるせえっ!!! ぐっ・・・!!!」
そんな「13」に向かって怒鳴り声を上げると、カズヤは自らの身体に突き刺さった刀の柄を逆手で掴む!
「うっ・・・!!! ぐおおおおっっっっっ!!!!!」
そして強引に! 自らの身体に突き刺さった刀を引き抜いた!!!
ビシャッ・・・!
引き抜いた傷口から鮮血が舞い、周囲に飛び散る!
「カズヤ!!!」
「うるせえって言ってんだろ・・・! こんな傷どうって事ねぇ・・・!」
そう言って自らの血で濡れた刀を放り捨てるカズヤ。だが・・・
「出血が激しい・・・!」
すぐ側に駆け寄り、カズヤの状態を診ていた「13」が呟く
カズヤの負った傷は深い
背中まで貫通した傷からは今もなお、どくどくと血が流れ続けている
「すぐに手当てをしなければ・・・! だが・・・!」
恐らく、事態はそれを許さないだろう
「13」は先程カズヤが放り捨てた刀へ視線を向ける
地面に落ちている刀
それは刃の幅の広い刀、柳葉刀と呼ばれる中華刀だ・・・!
「中華刀・・・! やはりこれは・・・!」
「13」はこの武器を愛用している敵を知っている! つまり、奇襲を仕掛けてきたのは・・・!
「・・・あーあ外した。「7」はいつも適当なんだよね」
「裏切り者は仕留めたんだしいいだろ? 「8」」
咄嗟に声のした方向に視線を向ける「13」!
そこに居たのは元暗殺者、双子の接続者! 「7」と「8」だった!
時間はやや遡り
隅田川に沿って戦力を配置する接続者達
その後方から奇襲を仕掛けようとしていた暗殺者達と、それを阻止すべく現れた「7」と「8」
18対2と数の上では圧倒的有利にあった暗殺者達であったが
元シングルナンバー「7」と「8」の圧倒的な戦闘能力により苦戦を強いられていた
「そこっ!!!」
暗殺者の一人、ナンバー・「36」が放った攻撃!
視界に入った特定の物質を爆破させる能力が「7」を襲う!
「おっと!!!」
だが爆発が起こる直前、素早くその場から移動し直撃を避ける「7」!
そして「7」はそのまま物陰へと姿を隠す!
「くっ! 何処だ・・・!」
「7」の姿を探す「36」。だがその時・・・!
「後ろだ! 「36」!!!」
「何っ!?」
咄嗟に振り向こうとする「36」だったが! それよりも速く・・・!
「ふふっ・・・! ナイス囮だよ! 「7」!!!」
「しまっ!!! もう片方の・・・!!!」
ザシュッ!!!
中華刀の一閃が「36」の胴体を真っ二つにした!
「やった! これで12!!! あと何人!?」
「あと6人!」
「36」を仕留め合流した「7」と「8」は、中華刀を構えながら無邪気に笑う
「さーて、次はどいつから死にたい? リクエストがあるなら答えてやるからさ!」
「でも~、どうせ全員殺すんでしょ? 「7」?」
「はははっ! まあそうなんだけど!!!」
そう言いながら、無邪気な程に殺意をまき散らす双子の兄妹!
「くっ・・・!」
残った暗殺者達は戦意こそ喪失してはいないものの
双子が放つ圧倒的な威圧感に気圧されていた
(あっという間にこちらの暗殺者の3分の2が殺られた・・・! これが元シングルナンバーか・・・!)
甘く見ていたつもりはない
だが「7」と「8」の力は、彼らが想像していたよりも遥かに上だったのだ
(俺達暗殺者は単独で行動するのが基本、多人数での連携戦闘は不慣れ。それに対し、あの双子の能力「二身同体」はその名の通り連携に特化した能力・・・! 数では圧倒的有利だったにも関わらず、ここまでやられた理由はそれだ・・・!)
常に意識を共有する事により、完璧な連携を可能とする能力「二身同体」
こと集団戦闘に於いて、「7」と「8」の連携を崩す事は不可能だった。その上・・・
(更に最悪なのは、ダメージの状態をもう片方にコピーする事が出来る事だ・・・! 例え「7」と「8」のどちらか片方に致命傷を与えたとしても、もう片方が無傷なら瞬時にダメージが消え去ってしまう! ただでさえとんでもなく強い上に同時に仕留めなければ倒せない・・・! こんな奴らをどうやって殺せと言うんだ・・・!?)
このままでは確実に全滅する
暗殺者達に焦りが見え始めた・・・その時!
ドォォォォンッ!!!
突然! 後方から鳴り響いた爆発音!
「何っ!? まさか!?」
「川が突破されたの!?」
そこには隅田川の渡河に成功し、次々と進撃を行う多国籍軍部隊の姿があった! そして・・・!
「・・・ッ! 了解!!!」
暗殺者の一人が小声で呟くと、目の前にスモークグレネードを投げつける!
バシゥゥゥゥゥッ!!!
激しい煙が双子と暗殺者達の間を遮る様に立ち込めた! それと同時に・・・!
「なっ!? コイツら!!!」
残った暗殺者達は全員、その場から撤退を行っていたのだった!
「あ! 逃げるよ! 「7」!!!」
「ハッ! 逃がすかってーの! 全員皆殺しに・・・!!!」
すぐさま追撃を仕掛けようとする「7」と「8」! だがその瞬間・・・!!!
「ッ!!!!!」
何かを感じ取った双子はピタリと足を止める!
「え!? 今の感覚・・・!!!」
「ああ、僕も感じた!!! ヤツだ・・・! 「13」がこの近くに居る!!!」
それは資格者達が持つお互いを認識する感覚か、もしくはただの野生のカンか
ビルの上から落ちて死んだはずの「13」
その「13」が生き延び、この戦線で行動を再開しているのを感じ取ったのだ・・・!
「どうする「7」?」
「・・・」
「8」の言葉に考え込む「7」
暗殺者達を撤退させたとは言え、川を突破された以上西側の戦線は長くはもたないだろう
それは自分達が加勢しても変わらない
だが暗殺者側の資格者達を倒し、「1」がオリジンさえ手に入れればそれで勝ちなのは変わっていない
となれば西側は捨て、今すぐ東側の戦線に加勢に向かうのが妥当だ。しかし・・・
「・・・「13」を仕留める」
「え? あの下位ナンバーを追うの!?」
「7」が決断したのは、「13」の追跡
「何て言っていいか分からない・・・けどヤツは危険だ・・・! あの「13」を放置しておいたら、「1」ですら危うくなる・・・! そんな気がする・・・!」
以前「13」と戦った時
一瞬だけ感じた「13」の底知れない力
「ただの「カン」だ・・・! でもヤツは絶対にここで仕留めなくてはならない!!!」
「・・・うん、分かった! 行こう! 「7」!」
「ああ!!!」
互いに頷きあうと、双子の接続者は「13」の追跡を始めたのだった・・・!
そして現在・・・!
「13」の前に現れた「7」と「8」!
「何処へ行くかと思えば、裏切り者のカズヤも一緒だったなんてな! しかも殺し合いの真っ最中!」
「・・・こういうの何て言うんだっけ? 漁夫の利?」
「ああ! まとめて仕留めるには絶好の機会だ!」
そう叫ぶと「7」は手元のワイヤーを思いきり引っ張る!
それと同時に、先程カズヤが引き抜いた刀が宙に浮かぶと「7」の手元に戻った!
「ここで仕留めるぞ!!! 「8」!!!」
「うん!!!」
そして次の瞬間!
双子は刀を手に「13」に襲い掛かった!!!
「チッ!!!」
ダンダンッ!!!
バックステップで距離を離しながら牽制の弾丸を撃ち込む「13」!
だが双子の突撃の速度は一切衰えず、一瞬で近接戦の間合いへと踏み込んでくる!
「死ね!!! 下位ナンバー!!!」
「13」の身体を縦に両断する様な勢いで、上段から振り下ろされる「7」の刀!
ギィンッ!!!
この強烈な一撃を、「13」は右手の銃剣で受け止める! だが・・・!
「はああああっ!!!」
この「7」の一撃を隠れ蓑にしながら「13」の死角へと回り込んでいた「8」!
その刃が「13」に向かって襲い掛かる!
「チッ!!!」
キィンッ!!!
「ッ!? かわした!? 読まれてた!?」
しかしその攻撃を読んでいた「13」はその攻撃をなんとか退ける!
「そのパターンは前回見た・・・!」
「このっ・・・! 生意気・・・!!!」
「13」の挑発的な言動に、「8」はムキになって刀を振り回す!
だがそれらの攻撃を全て、「13」は両手の銃剣で軽く受け流していく!
(「8」の攻撃があしらわれている!? コイツ・・・!!!)
単独とは言え、シングルナンバーである「8」の攻撃を軽く捌く「13」に「7」は驚愕する!
そしてすぐさま、「8」に向かって叫んだ!
「焦るな「8」!!! 同時に仕掛けるぞ!!!」
「「7」!? う、うん!!!」
「7」の言葉で一瞬で冷静さを取り戻した「8」!
そして今度は二人同時に攻撃を仕掛けていくが・・・!
ギィンッ!!!
「ッ!? 何だ!? 何なんだコイツ!? 以前に戦った時よりも遥かに強い!!!」
以前戦った時も、「13」の異常な程の危機回避能力に苦戦を強いられた「7」と「8」
しかし、今目の前に居る「13」はその時の比ではない
(こっちの動きが読まれている!? おそらく以前よりもハッキリと!)
輝きを強くしていく「13」の右目
生死の境目を彷徨い、強敵との闘いを経験する事により
「13」の能力、「根源接続」は更にその強度を増していく
そしてオリジンとの接続が強くなるにつれ
オリジンを通し、「7」と「8」の思考もよりハッキリと感じ取れる様になっていた
(・・・ソッ! 「8」、右へ回りこめ!!!)
(分かった!)
頭の中に直接響いてくる「7」と「8」の思考
そしてその通りに回り込んでくる「8」
(来る・・・!)
本能で両手の銃を構える「13」! そして次の瞬間!
「これで・・・ッ!!!」
「終わり!!!」
「13」を挟み込む、左右からの同時攻撃!
「二身同体」による一部の乱れもない完璧なタイミング! しかし・・・!
チャキッ・・・!
「・・・は?」
「・・・え?」
「7」と「8」が見たのは自分達に向けられていた銃口
「13」が身体の前で交差した腕
その銃口がそれぞれ、左右から襲い掛かる「7」と「8」を待ち受けるかの様に向けられていたのだ・・・! そして・・・!
ダダンッ!!!
同時に放たれた銃弾!
その二発の銃弾はそれぞれ「7」と「8」の頭を吹っ飛ばした!
「これでどうだ・・・!?」
「二身同体」による傷の再生
しかし「7」と「8」を同時に仕留めれば再生は出来ないはず・・・!
だがその時・・・!
ギンッ!!!
「13」に向けられた殺意に満ちた眼光!
同時に頭を吹っ飛ばしたはずの双子は無傷!
「何ッ!?」
ブンッ!!!
振り下ろされた刀を咄嗟にかわし距離を取る「13」! だがその時・・・!
(・・・? 追撃してこなかった?)
距離を取った「13」に対し、「7」と「8」は慎重に間合いを計る様にその場に足を止めていた
その時、「7」の頬を冷や汗が一滴流れ落ちる・・・!
(今のは・・・危なかった・・・!)
完全に同時に放たれた2発の銃弾
しかしこの同時攻撃に対し、「7」はわざと前に出て攻撃を食らいにいき、「8」は後ろへと退いたのだ
これにより、2発の弾丸の着弾にほんの僅かなズレが生じ
そのズレの間に「8」は「7」を再生させ、その後「7」が「8」を再生させたのだ
「今のでも仕留められないのか・・・!?」
完璧だと思われた攻撃を外され焦りを見せる「13」
しかし・・・その「13」よりも遥かに、「7」と「8」の表情からは焦りが見えていた
「ハァ・・・ハァ・・・! 強い・・・! どうするの!? 「7」!?」
「くっ・・・!」
その「8」の言葉に、「7」は「13」を睨みつけながら言う
「やっぱりコイツだ・・・!!! 今この戦場で一番危険なのは「4」でも「6」でも「9」でもない・・・!!! ナンバー・「13」!!! このイレギュラーだけは「1」の所に行かせちゃダメだ!!!」
「でもこのままじゃ勝てないよ・・・! 「7」!!!」
そう叫ぶ「8」に対し、「7」は冷静に呟く
「「このままじゃ」勝てない・・・。なら・・・アレをやるしかない・・・!」
「・・・ッ! やるの!? 「7」!?」
「ああ・・・! それしかヤツを倒す手段はない! そうだろ!? 「8」!!!」
そして双子の兄妹は互いに見つめ合うと、お互いの手を取り合いながらコクリと頷く。そして・・・!
「行くぞ! 「8」!!!」
「うん!!! 「二身同体」!!! 深度最大!!!」
そして「7」と「8」の瞳が激しく輝きを放つ!!!
「うううううっっっっっ!!!!!」
「あああああっっっっっ!!!!!」
「これは・・・!?」
その時! 「13」が感じ取っていた「7」と「8」の思考が変化を見せていく!
「二つの思考が溶け合って一つに・・・!?」
「「うおあああああっっっっっ!!!!!」」
そして! 苦悶に満ちた叫び声が収まると同時に!
双子の殺意に満ちた視線が、同時に「13」へと向けられる!
「「ボ・・・クたちはこれで完全にヒトツ・・・!!! もうオマエなんかにマケナイ・・・!!!」」
完全に同時に声を放つ「7」と「8」
それはもはや双子ですらない、二人で一つの生き物だった
「意識が完全に一つに!? 自我の境界線すら捨てたというのか・・・!?」
「「ウオオオオアアアアアッ!!!!! シネ!!! イレギュラーァァァァァッ!!!!!」」
そして切り札を切った「7」と「8」と、「13」の戦いが再び幕を開けた!!!




