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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第九章:資格者達は玉座を目指し、その命は最後の輝きを見せる
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最後の記録


「9」と「6」が移動を開始した後、その場に残されていたサツキは

サツキ隊全員の応急処置を完了させ集結させていた


「そうか、父さんが・・・」


「5」の亡骸の元に集い涙を流す隊員達

その時、サツキは集まった隊員達に向かって言う


「皆は父さんの亡骸を持って撤退を、私達はこの戦いから降りる」

「・・・ああ、そうだな。父さんもそれを望んでいるはずだ」


そう言って「5」の亡骸を運んで撤退を始める隊員達

だが、サツキは一人その場に立ち尽くす


「サツキ! お前も一緒に・・・!」


立ち尽くすサツキに向かってそう呼びかける隊員。だが・・・


「皆は先に行ってて! 私は・・・この戦いの結末を見届ける・・・!」

「なっ!? おい! サツキ!」


そう答えると、サツキは「9」達が走り去っていった方へ向かって駆け出すのだった











無人となった街を疾走する「9」と、それを追う「6」


「5」との闘いにより重傷を負い、手には「6」の能力「死の六階段 (カウントダウン)」のカウント

残り行動数「3」を示す赤い文字


(だがまだだ・・・! まだ私にはやるべき事が残っている・・・!)


そんな絶望的な状態を覆す為、「9」はあるポイントに向かって移動する!


(チッ・・・どこまで移動するつもりだ? このまま前線基地まで逃げ帰るって訳じゃなさそうだが・・・)


その後を追いながら、「6」は軽く舌打ちをする


外部電脳に搭載されたチップ、能力「認識阻害ジャミング」の効果範囲内に「9」を捉え

付かず離れずの距離を維持しながら後を追う「6」


(あの怪我だ、こちらから仕掛けなくとも長くはもたねぇ。わざわざこちらから仕掛けて反撃を食らうリスクを冒す必要はない・・・)


そう、状況は既に「出来上がっている」


「6」と言う暗殺者は「9」を仕留める為、用意周到に状況を用意し暗躍していた

「5」と「9」をぶつけ疲弊させ

その隙に乗じて決定的な一撃、カウントダウンの楔を打った


(あと3手で詰み、盤面は既に出来上がっている! 後は落ち着いてセオリー通りに追い詰めればいいだけ・・・!)


そう、戦う前から勝敗は決定していた

「6」は既に勝利を確信していたのだ。だがその時・・・!


「ここだ・・・!!!」


ビル街の間を走り抜け交差点に進入した「9」が、交差点の中心で急停止する!

そしてその場で膝を付き、刀を地面に置くと・・・!


「「記録レコード・・・!!!」


その能力を発動させた!


「何!? 能力を使った・・・!?」


「9」が能力を発動させた事を確認し、「6」は距離を保ったまま慎重に様子を伺う。その時・・・!


「これで「2」。そして・・・」


そう呟きながら、「9」は懐から銃の様な物を取り出す

そしてそれを真上に向けると引き金を弾いた!


カッ!!!


直後! 闇に包まれていた街の上空に赤い光が灯った!


「何!? 信号弾だと!?」


そう、「9」が撃ったのは信号弾!

赤い光は「応援要請」だ!


「これで残り「1」。後は・・・」


そして「9」は膝を付いたままふうっと息を吐くと、その場で動きを止めたのだった










(チッ・・・! 応援要請だと!?)


空に上がった信号弾の光に焦りを見せる「6」


(マズイ・・・! もしあの応援要請を見てこの場に「4」が現れれば、あの女との正面対決で俺に勝ち目はねぇ・・・! その前に「9」を仕留め、姿を隠さなくては・・・!)


すぐさま「6」は懐からハンドガンを取り出すと・・・!


ダァンッ!


「9」に向かって発砲した! しかし!!!


キンッ!!!


突如! 「9」の周りに幻影が現れたかと思うと!

「6」が放った銃弾を切り払った!


「何っ!? 「記録」か!?」


「9」の能力が発動したのを確認すると、「6」は「9」の左手の甲に視線を向ける。だが・・・!


「カウントが減ってないだと!? 「1」のまま・・・!?」


動揺しながらも、「6」は素早く別の場所に移動し!

別の角度から「9」に向かって何度も銃撃を放つ!


キィンッ!!!


だが! それらの攻撃は全て「9」の周囲に現れた幻影によって防がれる!

「9」のカウントも「1」を示したまま変化しない! しかし・・・!


「なるほど・・・、そういう事か・・・」


その不可解な状況に対し、逆に冷静さを取り戻した「6」は

弾切れになったハンドガンを捨て、今の状況の分析を始める


(おそらくあの「記録」は自動だ、周囲からの攻撃を「自動」で迎撃している。「9」が行った行動は「設置」のみ、だからカウントが減らない)


そして、「6」が気付いた事はもう一つ・・・


(しかも「9」は、その「一度の設置」で「複数の記録」を自分の周囲に設置していやがる。近づいた物を自動で迎撃する、目に見えない「記録」の多重結界。 ハッキリ言って突破は容易じゃねぇ・・・)


「5」が使っていた大型ガトリング砲でもあれば、「記録」の上からでも力押しで「9」を仕留める事は出来るが

今、手元にある火力ではそれも難しい


(そして何よりも問題なのは・・・時間だ)


先程信号弾が打ち上げられてから60秒程が経過・・・


(「4」の位置は把握している。あの信号弾の光を見て全力でこちらに向かってきていたとしても、到着には5分はかかる。つまり、猶予は残り4分・・・!)


先程までの「6」の勝利条件は、ただ「9」を仕留める事のみだった

だが「9」が放った信号弾によって、それに「5分以内」という時間制限が追加されたのだ


(「9」のあの怪我なら、待っていればそのままくたばるか・・・? いや・・・!)


あわよくば、といった「6」の考えはすぐに打ち消される

その場に膝を付いた「9」はゆっくりと呼吸を整えていた


ほんの少しでもダメージを回復させ、一秒でも長く生きながらえる

「4」が到着するまで、「9」はあの状態で耐え抜くつもりだ


(クソが・・・! 追い詰めていたはずが、逆に追い詰められているだと・・・!?)


「9」が力尽きるのを待つ猶予はない

危険を承知であの「記録」の中に飛び込んでいくしか、「6」の勝利する道は残されていなかった。しかし・・・!


(だが・・・おそらくそこまでが「9」の狙い! 俺が懐に飛び込んできた瞬間を狙って何か、最後の反撃を狙っている・・・奴に残されているカウント「1」はその為の物だ・・・!)


「9」の罠がどの様な物かは分からない

だが近づけば間違いなく、死のリスクを冒す事となるだろう


(どうする!? どうする!? どうする!? だが行くしか・・・!!!)


しかしその時、何か使える物がないかと周囲を見回していた「6」がニヤリと笑みを浮かべる


(アレは・・・! クッ・・・ハッハッハッ!!! 使える! アレなら・・・!!!)


そして「6」はスッと闇に溶け込むと、すぐさま行動を開始した・・・!











交差点の中心で膝を付き、ジッとその機会が訪れるのを待ち続ける「9」。だが・・・


(・・・どういう事だ? 「6」は何故仕掛けてこない・・・?)


信号弾によって作られた時間制限に、あの「6」が気づいていないはずがない


(残りは3分・・・。「認識阻害」が続いている事から考えて、「6」はまだこの周辺に潜んでいるはず。なのに何故・・・?)


一向に姿を見せない「6」に疑念を抱く「9」。だが、その時・・・!


「よう、待たせたな「9」!!!」

「ッ!?」


交差点を見下ろすビルの屋上に「6」が現れた!

交差点の中央にいる「9」を見下ろしながら「6」が叫ぶ


「まず先に言っておくぜ。その絶望的な状態から、たった二つの行動でオレを外側から追い詰めた。流石は暗殺課最強の一人、ナンバー・「9」だ! ハッハッハッ!!!」


「6」の言葉に違和感を感じる「9」

そう、「6」の言葉には勝利を確信した者の余裕が見えていたからだ


「・・・そんな事を言っている余裕があるのか? 状況が理解出来ていないわけではないだろう?」

「ハッ! 時間の事なら心配ない、あと1分程で終わるからなぁ!!!」

「・・・」


「6」の不気味な余裕に、「9」は更に疑念を深くする。その時・・・


「ああ、そうだ。これからオマエを殺す前に、まずはコイツを見せておかないとな・・・」


そう言って「6」は後ろへ下がると、何かを引きずりながら再び姿を現す。それは・・・!


「ッ!!!」


「6」が片手で掲げて見せた物、それは血まみれになった女の姿・・・!

「5」の義娘、サツキの姿だった・・・!


「ハハハッ!!! 驚いたか!? 俺達を追って来ていたみたいでな、周囲をウロチョロしていたから持ってきたんだよ!」


ぐったりとしたまま「6」に吊り上げられるサツキの身体

その身体には複数の傷が刻まれ、拷問の跡が目に見てとれた


「さすがに時間がなかったからな、少々雑な愛し方になっちまったが、まあしょうがない。口を塞ぎながら15カ所程刺した所で意識を失ったな」

「「6」ッ!!! 貴様ッ!!!!!」


サツキを吊るし上げながら笑う「6」に、「9」は激昂し叫び声を上げる!

だが「6」は余裕の表情を浮かべたまま続けて言う


「おいおい、怒るなよ。コイツはあの「5」の娘、つまり敵だろ? 敵を痛めつけて何の問題がある?」

「ッ!!!!!」


嘲る様に笑う「6」に対し、歯を食いしばりながら殺意を向ける「9」! だがその時・・・!


「・・・あ・・・うぁ・・・」

「ッ!?」


血まみれになっていたサツキがか細いうめき声を上げる!


「そう、生きてる・・・。いや・・・生かしておいた」


そう言いながら「6」は更に邪悪に微笑みを浮かべる


「さっきも言ったが、コイツは敵だ。オレにもお前にもコイツを助ける義理は何もない。ここでコイツを見殺しにした所で何の問題もない。分かるよな? 「9」」

「ッ・・・!」


そして・・・


「だからまあ、俺は・・・「どっちでもいい」」


ビルの屋上から、サツキを突き落とした・・・!!!


「ッ!!!!! シックスゥゥゥゥゥッッッッッ!!!!!」


瞬間! 「9」はその場から駆け出す!!!


「ハッハッハッ!!!!! そうだよな! そうするよな!!! お前なら「助ける」と信じてたぜ!? 「9」!!!!!」


真っ直ぐ地面に向かって落ちていくサツキと、その落下地点に向かって駆け出す「9」!

その光景を見ながら「6」は高らかに笑い声を上げる! そして・・・!


ドサッ!!!!!


間一髪! 地面に激突する前に、「9」はサツキを左手で受け止めた!


「ぐうっ・・・!!!」


サツキの身体を受け止めた衝撃で傷が開き、「9」の口から赤い血が流れる!

そしてその時、衝撃で目を覚ましたサツキと目が合う


「貴方は・・・どうして・・・?」


何故自分を助けたのか? 疑問の声を上げるサツキ

それに対し、「9」は当然の様に言い放つ


「言ったはずだ、「5」が護ろうとした物も私にとっては護るべき物だと。私は私の責務を果たしたに過ぎん」


そしてサツキを立たせると、急かす様に続けて言った


「それより・・・! 早くこの場を離れろ・・・! ヤツが、「6」が来る前に・・・!」

「え・・・!? でも貴方は・・・!?」

「私のカウントは既に「0」だ、もうお前を護る事は出来ん。だから一刻も早くこの場から離れろ!」


一瞬、その場で逡巡するサツキだったが

その時、「9」とサツキの目が合う。そして・・・


「・・・分かった。ありがとう・・・ナンバー・「9」。さようなら・・・」


その目に宿った光に背を押される様にして、よろよろとその場から立ち去るのだった











そして、その直後・・・!


「ハッハッハッ!!! 待たせたな「9」!!!」


邪悪な笑みを浮かべたまま「6」が「9」の目の前に姿を現す!


「ん? あの女はどうした? オマエを見捨てて逃げちまったのかぁ? ハッハッハッ! 薄情だねぇ!」

「・・・」

「まあいい、どうせあの怪我じゃ遠くまでは行けない。オマエにトドメを刺した後、ゆっくりとあいしてやるとするさ」


そう下卑た笑みを浮かべる「6」


「さて? 念の為確認しておくが・・・。ハッ! カウントはちゃんと「0」になってるみたいだな!」

「ッ!!!」

「ハッハッハッ!!! どうした「9」!? 悔しそうな顔してさぁ!? オレの「死の六階段」の効果はどうだ!? もう指一本動かす事も出来ないだろ!? こうなっちまえば無敵のシングルナンバー様だろうと、文字通り手も足も出ないって訳だ! ハッハッハッ!!! ああ~、だが口を動かすのは許可してやるぜ!? 精々命乞いしてみせてくれよ!? 元、鳳の跡取り様よぉ!!!」


そう笑い声を上げ続ける「6」に対し、「9」が静かに呟いた


「・・・「6」。貴様の狙いは何だ?」

「・・・?」


その「9」の問いに首を傾げる「6」


「さっきも言っただろ。これはビジネスだ、オレ個人の意思は関係ない。オマエ達と敵対するのはあくまで飛山の指示に従ったまでの事・・・」


「9」の問いに対しそう答えようとする「6」、だがしかし・・・


「嘘だな」

「何・・・?」


その答えに対し、「9」はそうキッパリと断言する

興味深そうな態度で続きを促す「6」に向かって、「9」は続けて言う


「お前は飛山の指示に従い裏切った、「1」の方に付いたと言った。だがそれなら、「5」と私の戦いが終わるのを待って奇襲を仕掛ける必要はなかったはずだ。お前が「1」の味方に付いたのなら、「5」と協力して私を攻撃すればよかったはずだ」

「・・・」

「それにもう一つ、お前は私だけでなくその場に居たサツキも始末しようとした。つまり、「5」と私の戦いの結果を隠蔽するつもりだったのだろう? 本当の狙いを隠す為にな」


その時、下卑た笑みを浮かべていた「6」の表情が冷酷な暗殺者の物に変わっていく


「もう一度問う。「6」、貴様の狙いは何だ?」


再度そう問いかける「9」に対し、「6」はその顔から笑みを消して告げる


「何、別に大した事じゃない。これは接続者と暗殺課の戦いでもあると同時に、オリジンを手に入れる資格者達の戦いでもあるんだろ? 「1」の言葉を信じるなら、この戦いで最後に生き残った資格者がオリジンを手に入れ万能の力を手に入れる。そして、オレにもその資格とやらがある。だったら、オレがその最後の一人になったって構わないはずだ」

「・・・」

「「9」。正直、オマエには凄く感謝しているぜ? オレの「死の六階段」にとって、「不死身の突撃兵 (イモータル)」は相性最悪の相手だったからな。その「5」をオマエが始末してくれたお陰で、この戦場でオレに怖い札はなくなった。まずはここでオマエを始末する。そして「7」と「8」を始末した後、「1」と「4」をぶつけ合わせる。「1」も「4」もバケモノだが、バケモノ同士で潰し合いをしてくれれば、オレにも付け入る隙が生まれるはずだ。ほんのかすり傷・・・生き残った方に「死の六階段」を発動させれば・・・オレの勝ち。オリジンはオレの物だ」


暗闇に紛れ殺す者、つまり暗殺者


「6」は表向きは飛山の指示に従い、「1」の側に付いたと見せかけ

正しく暗殺者として、この戦いの闇に紛れ行動していたのだった


「それで? オリジンを手に入れた後、お前は何をするつもりだ?」

「別に何も? 「1」みたいに世界をどうこうしようなんてつもりは毛頭ない。オレはこの壁に囲まれた東京で好きに生き、好きに殺すだけさ」


世界も秩序も「6」にとっては何の興味もない物だ

ただ自由に生きる

それが「6」という暗殺者の・・・殺人鬼の望みだ


「・・・悪鬼め」

「否定はしないがね。さて、もういいだろ? 「4」が来るまであと1分もない。さっさとトドメを刺して、オレは姿を消させてもらう」


そう言うと、「6」は右手をスッと上げる。そして・・・!


「じゃあな、「9」」


パチンッ!


と、指を鳴らした!


グシャッ!!!!!


それと同時に!

嫌な音を立て、「9」の心臓がぐしゃりと潰れた!!!


「がっ・・・!!!」


心臓を潰され、血を吐き出す「9」

そして絶命した「9」の身体がその場に崩れ落ち・・・











「待っていたぞ・・・。この瞬間を・・・!!!!!」











瞬間!!!

「9」は目にも止まらぬ速さで「6」の懐まで飛び込むと、左手で「6」の喉をガシっと掴む!!!!!


「がっ!!!??? 何ぃ!? 「9」!!! テメエ!!!!!」

「オマエは絶対に近づいてくると思っていたぞ・・・私のカウントが「0」になった後ならな・・・!!!」


そう、「9」が待っていた最後の反撃の機会!

それは「1」ではなく「0」!!!

最後に仕掛けた「記録」による罠すらも突破された最後の瞬間!!!


「確かにカウントが「0」の状態では指一本動かす事は出来ん。だがその後ならこの通り、カウントはリセットされ動ける・・・!」

「ぐっ・・・がぁ・・・!!!」


「6」の喉を掴みながらそう呟く「9」! だがしかし・・・!


「ふ・・・! ふざけんな!!! カウントがリセットされればだと!? 心臓が潰れてるんだから即死に決まってんだろ!? 何故動け・・・!!!???」


その時、「6」の聴覚がその音を捉える・・・!


トクン・・・


「なっ!? これは心臓の音!? だがオレの能力は完全にテメエの心臓を潰したはず!!! いや・・これは・・・!?」


その音の正体に気付いた「6」に対し、「9」が答える


「「記録」・・・。今動いているのは事前に記録しておいた、私の「心臓の記録」だ」


そう潰れた心臓の代わりに鼓動を刻んでいたのは

心臓の幻影だった!!!


不死身ファイブの真似事と言った所か・・・。まあ、あと数秒命をもたせるだけの無茶な手段ではあったがな・・・」


そう言ってニヤリと笑みを浮かべる「9」


「クッ・・・ソがぁぁぁぁぁっ!!! だから何だっつーんだ!!! この死にぞこないが!!! 悪あがきを!!! この状態からテメエに何が出来る!?」


状況は何一つ変わっていない

そう叫び声を上げる「6」! だがしかし・・・!!!


「いいや、もう何もする必要はない・・・」

「なっ!?」

「私の「行動」はすでに完了している・・・」


「9」の言葉に驚愕する「6」!!!


「既に終わっているだと!? 残り行動権3回だったテメエに何が出来たって言うんだ!? テメエがやったのは信号弾の発射と、「記録」の設置・・・」


その時、「6」は先程自分が考えた言葉を思い出す・・・!


(しかも「9」は、その「一度の設置」で「複数の記録」を自分の周囲に設置していやがる)


その言葉に愕然とする「6」


(そうだ・・・奴は「設置」していた、「複数の記録」を!!!)


「9」の周囲に設置された複数の記録

だが・・・何故設置されていたのが、「9」の周辺「だけ」と勘違いしたのか・・・!?


「なっ!!! 何をしていた「9」!? 一体何処に何を!!!???」

「時間だ・・・」


ザンッ・・・!


「9」が静かに呟くと同時に、「9」が仕掛けて置いた「記録」が時間差で発動し斬撃を放った・・・!


ゴゴゴゴゴッ・・・!


同時に地鳴りの様な音が周囲に響き渡り、「6」達の頭上から何かが倒れ込んできた・・・! それは・・・!


「ビルを・・・斬りやがった・・・!!!!!」


そう、「6」と「9」に向かって倒れ込んできていたのは交差点を囲むビル群!!!

4方を囲む高層ビルが頭上から襲い掛かってきたのだ!!!


「マ・・・! マズイ!!! 放せ「9」!!! 放せェッッッッッ!!!!!」


その場から逃げ出そうとする「6」を逃がすまいと掴んだまま、「9」は静かに呟く


「これが・・・私の最後の記録・・・。御貴・・・お前の気持ちに応えられなくて済まなかった・・・。明久を・・・頼む・・・」

「ナイィィィィィンッッッッッ!!!!!!!!!!」


ドォォォォォンッッッッッ!!!!!


そして激しい崩落の音を立て

コンクリートの塊が全てを押しつぶしたのだった・・・

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