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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第九章:資格者達は玉座を目指し、その命は最後の輝きを見せる
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背後から刺す者


「宗久様! 一体何が!? 応答してください! 宗久様!!!」


「9」のサポートを行っていた鳥羽監査官が叫ぶ


突然の通信途絶

かろうじて送られてきたのは、生命活動の危険域に達した「9」のバイタルサインのみ


(こちらの通信はアイリ候補生の能力「索敵」を、それぞれの暗殺者が持つ外部電脳を使って拡張した物・・・、通常の電波妨害等で妨害出来るとは考えにくい。妨害出来るとすればやはり接続者・・・。けれど、一体・・・!?)


その時、鳥羽監査官は妨害を可能とする一つの可能性に気付く


(そう言えば・・・! 以前宗久様が倒した接続者に「認識阻害」の能力を持った者が居たはず!)


N・358

霧生監査官を襲撃した、竜尾会の接続者3人の一人

その能力が「認識阻害ジャミング」だったのだ


(何者かがそのチップを手に入れ、通信妨害を行っている?)


先日のゾーフ襲撃の際、大量のチップが敵に渡ったという

普通に考えれば、「認識阻害」のチップもその時に敵の手に渡ったと考えるべきだろう。しかし・・・


(いいえ・・・それでは辻褄が合わない。私の想像が正しければ、この場でその能力を行使出来る者は・・・!)











「き・・・貴様はッ・・・!!!」


「9」の背後から突き刺さったナイフ!

奇襲を受けた「9」の身体がガクリとその場に崩れ落ちそうになる! しかし・・・!


「ッ!!! 「記録レコード」!!!!!」


歯を食いしばり意識を保つと!

「9」は「記録」を発動させる!


「何ッ!?」


瞬間!

幻影が「9」の後に現れ、背後の人物に襲いかかる!


「っと! あぶねえ!」


しかし背後の人物は素早くナイフを引き抜くと、その場から飛び退きこの攻撃をかわす!

そして一旦距離を離したその人物は、手の中にあるナイフをくるくると回しながら言う


「完全に背後に回ったつもりだったが、その能力に死角もクソもなかったな。ハッハッハッ!!!」


ナイフを手に愉快そうに笑い声を上げるその男

「9」は左手で刀を構えながらその男に相対する

そして・・・静かな声でその男の名を告げた


「貴様か・・・「6」」


両手のバタフライナイフを回しながら加虐的な笑みを浮かべる金髪の男

そう、それは「暗殺者」ナンバー・「6」の姿だった


「なっ・・・!? 一体どういう事だ・・・!?」


「5」の亡骸に寄り添っていたサツキが声を上げる


「「暗殺者」が「暗殺者」に攻撃した・・・!?」


だが不可解そうに「6」を見つめるサツキとは対照的に

「9」はあくまで冷静さを保ちながら、「6」に向かって言った


「裏切ったというわけか?」


しかしその言葉に対し、「6」は笑みを浮かべながらこう返す


「裏切りねぇ・・・。その言い方はちょーっと違うなぁ? 知ってるだろ? オレは元殺し屋。オレにとっては殺し屋として殺すのも、暗殺者として殺すのも。等しく、ただの「ビジネス」だ」

「ビジネス・・・?」

「ああ。仕事である以上、そこにオレ個人の意思は関係ない。オレが殺すのは・・・全てクライアントの意向さ」

「クライアントだと・・・!? ではまさか! お前の雇い主は! 暗殺課を裏切ったのは!!!」










暗殺課が作成した前線基地

その中にある監査官専用の個室でモニターを見ていたその男は

「認識阻害」が発動し「6」が動いた事を確認すると呟いた


「動いたか「6」。我々は「1」の側に付く、それが人類が生き延びる為の最善の手だ」


そう呟いた初老の男。それは

暗殺課副課長でもあり、「6」の監査官でもある男

飛山隆鳴だった・・・!











「飛山副課長だったのか・・・!」


「9」の驚いた様な声に「6」は満足そうに笑みを浮かべると言う


「まあそういうわけだ。まずはオマエ、その後は「4」。まだ「4」はオレの事を味方だと思っているからな。無敵の「絶対回答」とは言え、不意を突けばかすり傷程度は付けられるはずだ。そして・・・ほんの少しでも傷がつけばオレの能力は発動する・・・!!!」


そして「6」の両目が紫色に輝くと!

「6」は残虐な笑みを浮かべながら、折れた刀を持つ「9」の左手に視線を向ける


「ッ!」


同時に「9」の左手の甲に「6」と赤い文字が浮かび上がった!


「「死の六階段 (カウントダウン)」、お前の行動権は残り6回。それを使い切った時がお前の最後ってわけだ。さーて、どうする? 「9」」

「くっ・・・!」


刀を構えながら「6」に相対する「9」。しかし・・・


(状況は圧倒的に不利か・・・)


「5」との戦闘で激しいダメージを負った「9」に対し、「6」は無傷

おそらく作戦開始直後から姿を隠し、こちらに奇襲を仕掛けるタイミングを狙っていたのだろう


(奴もシングルナンバーの一人、戦闘能力に関してはほぼ互角。正面から戦えば私に勝ち目はない。だが・・・)


そう、そんな圧倒的有利な状況にも関わらず

「6」は積極的に攻撃を仕掛けてくる事なくこちらの行動を待っている


(それは恐らく「6」が元殺し屋であるからだ)


他の暗殺者と違い、「6」は元殺し屋

享楽的な戦い方とは裏腹に、その実かなり計算高い内面を持っている


(今も奴は距離を取り、私が「行動」するのを待っている。正面から戦うリスクを冒す事なく、私のカウントをゼロにして確実にトドメを刺すつもりだ)


もし「6」が正面からトドメを刺しにくるのならば

勝利する事は出来ないまでも、「9」は差し違えるつもりで「6」にダメージを与えるつもりだった


だが、だからこそ

その「9」の行動を予測している「6」は、距離を取って「9」の「行動」を待っているのだ


「・・・どうしたよ? 「9」。黙って突っ立ってるだけかぁ?」


そう言いながら「6」は挑発する様に手招きしてみせる


「・・・」


だが「9」はその挑発に乗らず、無言のまま「6」の隙を伺っていた


「フン。さーて・・・このままじゃあ埒が明かない。どうするかな・・・?」


バタフライナイフを回しながら退屈そうに呟く「6」

だがその時、不意に近くに居たサツキと「6」の目が合う。そして・・・!


「お前が来ないなら・・・先にこっちを片付けるとするかぁ!」


ナイフを構えサツキに向かって「6」が踏み込もうとする!

だがそれと同時に!


「「6」!!!」


「9」も「6」に向かって踏み込み攻撃を仕掛けた!


「ッ!? っと!!!」


割り込む様に飛び込んできた「9」の一撃をかわすと「6」はその場から飛び退く!

だが、その手には一筋の刀傷が刻まれていた!


「チッ! よけそこなったか! その負傷でこの速さ!!!」


普通ならとっくに倒れている程の傷を負っているにも関わらず、全く衰えない「9」の剣技!

折れた刀でなければもっと深い手傷を負っていたかもしれない、その剣の鋭さに冷や汗を流す「6」! しかし・・・!


「あぶねえあぶねえ・・・! だが、お陰でようやく動いたな!? 残りは「5」だ!」


「9」のカウントが進んだ事を確認しながら笑い声を上げる「6」!


「くっ・・・!」


左手の血文字を見ながら顔を歪ませる「9」。しかし・・・!


「まだだ・・・! まだ「5」回残っている! 「6」、次の一太刀でお前の首を落とす・・・!」


「9」の闘志は衰えてはいない! 「6」に向かって刀を構え言い放つ!

だが、そんな「9」の殺気を正面から受けながら「6」は笑みを浮かべると・・・!


「さて? そんな上手くいくかなぁ!? 気付いてないのか? お前はもう詰んでるんだぜ? ハッハッハッ!!!」


そう言いながら、「9」から大きく距離を取りそのまま姿を隠した・・・!


「逃げただと・・・!? いや・・・!」


周囲に立ち込める殺気!

「6」は姿を隠しただけで、逃げたわけではない・・・! その時!


ヒュンッ!!!


突然! ビルの陰から「9」に向かってナイフが飛来してきた!


「くっ!!!」


キンッ!!!


反射的に、飛来したナイフを左手の刀で弾き返す「9」!

しかしその時、姿を消した「6」の声が辺り一帯に響き渡る・・・!


「ハハハッ!!! 「防御」したな!? これで残りカウントは「4」だ!!!」


「9」の左手の甲の血文字が「5」から「4」に変化する!


「さーて・・・! どうする!? どうする!? どうする!? どうするんだよ!? 「9」!!! 宣言しておくぜ!? いくらお前が手負いでオレの方が圧倒的有利だったとしても、オレはお前に絶対に近づいたりしない!!! 二度とさっきみたいに隙を見せたりはしねえ!!! お前の「記録」の射程距離外から、遠距離からお前のカウントを削って「0」にし確実にトドメを刺す!!! お前らとは違う、これが本物の殺し屋の戦い方だ!!! ハッハッハッ! なあ!? どうするんだよ!? 「9」!!!」

「くっ!!!」


行動権は残り4回

あと4回刀を振るまでに「6」を倒さなくてはならない。だが・・・


(このままでは確実にやられる・・・!)


状況を冷静に判断した「9」はその場から走り出す!

この状況を打破出来る「行動」があるとしたら

その行動は「移動」しかない! だが・・・!


「ハッハッハッ! 今度はそっちが逃げるのか!? いいぜ! どこまで逃げれるか試してみろよ!!!」


「6」の声が響き渡ると、移動する「9」を追う様に「6」の気配が動き始めた!


「やはり追ってくるか・・・!」


後ろから追ってくる「6」の気配を感じながら焦りを募らせる「9」


(「移動」を選択した事によりカウントは残り「3」。だが「移動し続けている」限り行動は「1回」、カウントは減らず「3」のまま。このまま足を止めず移動し続け、その間になんとか状況を打破しなくてはならない・・・!)


「移動」と考え最初に思い浮かんだのは、とにかく「6」と距離を離す事だ

「6」から離れ「認識阻害」の効果範囲外に出れば通信が回復する

そうすれば裏切り者の飛山を拘束し、応援も要請出来る。だが・・・


「ぐっ・・・! ごふっ・・・!」


走りながら喉元から込み上げてきた血を吐き出す「9」


(やはり、この負傷では「6」を振り切る程の移動は難しい・・・。いや、それどころかマトモに立っていられるのもあと数分が限界か・・・)


「6」の言う通り、状況はすでに詰みだ


(残り行動権「3」回で「6」を仕留められるだろうか? いや、間違いなく不可能だ・・・。かと言って、このまま逃げ切る事も不可能・・・)


「6」はその宣言通り、二度とこちらの射程内には入ってこないだろう

つまり、反撃の機会は二度と訪れない・・・


(「5」・・・。こんな時、貴方ならどうする? 不死身の貴方なら・・・)


もし・・・反撃の機会があるとすれば・・・

もし・・・「6」がこちらの射程内に入ってくるとしたら。それは・・・


「ッ!!!」


その時、「9」の脳裏に浮かび上がったイメージ・・・!

それはこの状況を打破する唯一の反撃のイメージだった!


(これしかない・・・。私が奴を倒す唯一の手段・・・! 私の残り少ない命で出来る最後の反撃、私の最後の「記録」・・・! これで奴を・・・! ナンバー・「6」を必ず仕留める!!!)


そして「9」は地図上のあるポイントに向かって移動する!

「6」を仕留める、最後の罠を仕掛ける為に・・・!

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