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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第九章:資格者達は玉座を目指し、その命は最後の輝きを見せる
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たとえ偽りだとしても


「5」と「9」

互いに最強の暗殺者達、シングルナンバーの一人として名を馳せた強者同士の戦い


「不死身の突撃兵」を持つ「5」に対し、卓越した剣技と「記録」で対抗する「9」

その二人がしのぎを削る中、その周辺では二人の戦いを見守る複数の影があった


「「5」・・・」


それは「5」直属の部隊、サツキ隊の隊長サツキと

同じく「5」に拾われた孤児達で編成された隊員達


「くっ・・・! やはり援護を・・・!」


二人の戦いの様子に思わずそう呟く隊員の一人


いくら「5」が不死身の能力を持つとは言え、相手は暗殺課最強戦力の一人「9」だ


現に、並の接続者であれば十分片付けられるだけの戦闘時間を経てなお

「5」は未だ「9」を仕留められていない


このまま長期戦となれば、万が一の可能性も有り得るのではないか?

目の前の光景にそう思わずにはいられなくなる隊員達。しかし・・・


「「決して手を出すな」、それが「5」からの命令よ・・・」


それは作戦前に「5」が下した命令


(相手がシングルナンバーのいずれかだった場合、お前達は決して手を出すな)


達人同士の戦闘に於いて、中途半端な援護など邪魔になるだけだ、と


その命令に従い、ただ二人の戦いを遠くから見守るサツキ達


(勝ってください・・・父さん。これまで貴方が奪った物・・・そしてこれから貴方が救う物の為に・・・)











一閃!

「9」の持つ大太刀が光の軌跡を描き、辺りに鮮血を散らす! だが・・・! 


「無駄だ「9」」


あっという間にその傷が塞がり、「5」は反撃を行う!


「くっ!!!」


突撃銃の連射を捌きながら間合いを離す「9」

その時、距離を離しながら「9」は監査官である鳥羽御貴に通信を送る


「御貴! 解析は!?」

「駄目です! 再生速度に変化なし!」


もはや何百回目になるかも分からない程の斬撃

しかし、それらは全て闇雲に放った攻撃などではなかった


「「不死身の突撃兵」、不死身というある意味無敵の能力。けれど、どんな能力にも弱点があるはず・・・!」


戦闘で得られたデータを解析しながらそう呟く鳥羽


再生できる回数には限界があるのではないか?

身体の何処かにコアの様な物が存在しているのではないか?


ありとあらゆるパターンを想定し攻撃を仕掛ける「9」。だが・・・!


「お前には・・・いや、誰であろうと私を止める事は出来ない。贖罪を終える日まで、私は死ぬわけにはいかないのだ!」


「5」の前進は止まらず、「9」はじょじょに体力を消耗していく!


「馬鹿な・・・! 本当の不死身だとでもいうのか・・・!?」


戦況は少しづつ傾きつつある

「5」の能力を打破出来ない以上、「9」に勝ち目はない


(負けるのか・・・!? 私は「5」に勝てないのか・・・!?)






護国の為、民の為

ただそれだけの為、刀を振るい続けてきた

例えこの身が血に濡れようとも・・・だが


(そうだ偽りだ。この偽りしか存在しない世界を守ろうとする、ならばその覚悟も偽りに過ぎない)


「5」は私の覚悟が偽りだと言った

その言葉を・・・私は心の奥底では納得していた様にも感じる


能力に目覚めたあの日、私は御貴を汚したアイツらを愉しみの為だけに殺した

怒りでも憎しみでもなく、ただ力を行使する事に酔いしれた


あの日以来、私は他の誰でもなく私自身を恐れた

故に私は自分自身に正義であれ、正しくあれと律し続けてきたのだ


だが・・・

それが偽りでなくて何だというのだろうか?


思えば、鳳であった頃から私はそうであった

ただ他人に求められる自分であれと、完璧な人間を装い続けて生きてきた。しかし・・・


(私が見た戦場とお前が見た戦場は全く違う物だったのだ)


そうだ、私は何も見えてなどいなかった


護国、正義、国の為、民の為

そんな言葉で自分を誤魔化し一人一人の心を見ようとしなかった、自分自身の心ですらも・・・






「宗久様!!!」

「ッ!!!」


通信機からの声に正気に戻る「9」! だがその時・・・!


「もらったぞ、「9」!!!」


「9」の動きが鈍ったその隙を「5」は見逃さなかった

「5」は右手の突撃銃を捨て、懐から大型のリボルバーを取り出す!


「ッ!!! マグナム!!!」


動揺の声を上げる「9」!

その一瞬の間に「5」は素早く狙いをつけ、すぐさまトリガーを弾いた!


ダァンッッッッッ!!!!!


凄まじい炸裂音と同時に発射されたのは44マグナム弾!!!

熊をも倒すという威力の弾丸が「9」を襲う!!!


(・・・間に合わないッ!!!)


回避が間に合わず、反射的に手に持っていた刀で弾丸を弾こうとする「9」!!! だが・・・!


バキィッ!!!


弾丸は「9」の刀を砕き、そして・・・!


バスッ!!!


弾丸は「9」の右上腕部に命中!!!

周囲の肉を吹っ飛ばしながら貫通した!!!


「ぐおあっ!!!」


命中の衝撃で「9」の身体が後方へと吹っ飛び、その手から刀がこぼれ落ちる!


「そんなっ!!! 宗久様!!!」

「終わったな・・・」


勝利を確信し、そう呟く「5」

そして・・・


(やはり・・・私では・・・「5」には勝てないのか・・・)


自らの敗北を悟る「9」


そう、今この瞬間、「9」の敗北は決定した

・・・かに思われた











「・・・?」


その時、「5」が視線を上に向ける


くるくると回転しながら落ちてくる物体

上空にあったのは、先程折れた「9」の刀の切っ先だった


「・・・」


「5」はその場で足を止めると、回転しながら落ちてくる刀の切っ先を見据える。そして・・・


ドスッ・・・


左肩に突き刺さったそれを無表情のまま見つめると


「フン・・・」


すぐに右手で引き抜き、無造作に投げ捨てる

そしてそれと同時に能力が発動し、左肩の傷は跡形もなく消え失せた。だが・・・


(・・・? 何だ今の行動は・・・?)


その一連の行動は、「9」に疑問を持たせるには十分すぎる物だった


(今、何故「5」は折れた刀をかわさなかった・・・?)


上空へと舞いあがり落ちてきた折れた刀の切っ先

回転しながらゆっくりと落ちてきたそれは、ほんの一歩横に歩くだけでかわせたはず

接続者はおろか、並の人間でも回避出来たであろう


(・・・にも関わらず、何故「5」はあの刀をかわさなかった? いや、むしろ足を止めてわざと食らった様に見えた)


余りにも不可解な「5」の行動に、「9」は自らのダメージも忘れ思考する


(いや・・・逆だとしたら? 「5」はあの刀をかわさなかったのではなく、かわせなかったのだとしたら?)


その仮説を検証する為、「9」は近くに落ちていた小石を拾い上げる

そしてブンッと、5に向かって放物線を描く様に投げつけた


「・・・石?」


飛んでくる小石を見据えながら首を傾げる「5」。そして・・・


コンッ


そのなんという事のない投石を、「5」は足を止めて受けた


「・・・万策尽きたというわけでもあるまい。何をしている? 「9」」


「9」の行動に疑問の声を上げる「5」

だがすでに、一連の行動により「9」は一つの確信を得ていた


(・・・ッ! やはりそうか・・・!)


その時、「9」の脳裏にこれまで「5」の戦いが思い起こされる


どんな攻撃を食らっても再生し前に進み続ける「不死身の突撃兵」

敵にとっては悪夢と言う他ない光景だ。だが・・・


(そうだ・・・今まで「5」が敵の攻撃を回避した事が一度でもあったか? 私は今まで「5」は不死身だから攻撃をかわさないのだと思っていた、だが実際は逆だったとしたら? 「5」その能力故に攻撃を「かわさない」のではなく、「5」はその能力故に攻撃を「かわせない」のだとしたら?)


「5」の能力、その正体とは・・・!


(分かったぞ・・・! 「5」の能力は不死身である代償として、攻撃と認識した物を回避出来なくなる能力だったのか・・・!)


不死身である代償として、全ての痛みから逃げる事が出来なくなる

そうそれが、「不死身の突撃兵」の真の姿だったのだ











「宗久様!!! 一度撤退を!!! 宗久様!!!」


撤退を呼びかける御貴の声を聞きながら、「9」は折れた刀を左手で拾い上げる


ダメージは甚大、右腕はもはや胴体にぶらさがっているだけと言った状態

戦闘継続が不可能なのは明白だった。だが・・・


「・・・「5」。確かに貴方の言う通りだった」

「何?」

「私の信念、正義・・・。それらは全て誰かに与えられた物だ、私自身の心から生まれた物は何一つとしてない。完璧であれ、正しくあれ、鳳を継ぐ者として私の全ては造られた。それは貴方の言う通り、偽りなのだろう・・・」


そう呟きながらゆっくりと立ち上がり、片手で折れた刀を構える・・・! そして・・・!


「だが! その先にある未来は! 我々が命を賭けて護る未来は! 決して偽りなどではない!!!」

「ッ!!!」


「5」に向かって折れた刀を突きつけながら「9」は咆哮する!


「たとえこの心が偽りだとしても! その信念が偽物だとしても! それによって救われる命の価値までは偽りではない! それだけは否定させない! 故に! 私はこの刀を振るうのだ! 民の為! 護国の為! 偽りの正義だろうと貫き通す! それが私の覚悟だ! ナンバー・「5」!!!」


満身創痍の男から放たれる圧倒的な威圧感!

「5」はそれを押し返す様に叫ぶ!


「その覚悟は見事だが、今のお前に何が出来る!? お前に私の能力を破る事は出来ない!!! 決して誰も、「不死身の突撃兵」を倒す事など出来ない!!!」

「そうだ・・・! だが倒せずとも出来る事はある!!!」

「何っ!?」


その時!

「9」の瞳が輝き、能力が発動する!


「「記録」!!!」


同時に「5」を取り囲む4体の幻影!

それらが時間差で刀を振り下ろす!


「今更こんな攻撃で・・・!」


「5」の身体を斬りさく幻影達

だが「不死身の突撃兵」を持つ「5」の身体は即座に再生する。しかし・・・!


ザンッ! ザンッ! ザンッ! ザンッ!


「・・・ッ? 何!?」


時間差で繰り出される斬撃

それはまるでリピート再生の様に何度も何度も同じ攻撃を繰り返し続ける!


「こ、これは・・・!? いつ終わる!? この攻撃は・・・まさか・・・!」


驚愕する「5」に対し、「9」は告げる


「・・・「記録・無限再生」。私が能力を維持し続ける限り、その攻撃に終わりはない。攻撃を回避出来ないというデメリットが仇になったな」

「何だと・・・!? 貴様まさか・・・!」

「ああ、認めよう「5」。確かに貴方の方が、覚悟も実力も私の上を行っていた。しかし・・・貴方を殺しきる事は不可能だが、全てが終わるまでこの場に釘付けにする事なら出来る」

「なっ!? 馬鹿な・・・!!!」


圧倒的不利な状況から一転・・・!


「・・・負け試合を無理矢理引き分けに持ち込んだと言った所か。私にしてはよくやった方だ、後は他の者に任せよう・・・」


「9」が作り出した幻影の檻は、「5」の動きを完全に封じ込める事に成功するのだった!











4体の幻影による延々とループする時間差攻撃!

攻撃を回避出来ないという制約を持つ「5」はその場から一歩も動く事が出来ない!


「う、動けん・・・! まさかこんな方法で・・・! 「9」!!!」

「御貴、ナンバー・「5」を拘束した。このまま捕縛する、応援を・・・」


息を整えながらそう通信機に向かって告げようとする「9」。だがその時!!!


ダダダダダッ!!!!!


「何ッ!?」


向かってきた弾丸を折れた刀で弾く「9」!

攻撃を仕掛けてきたのは「5」ではない!


「行け!!! 全員突撃!!! ナンバー・「5」を救出しろ!!!」

「なっ!? 増援だと!?」


「9」に向かって一斉突撃を仕掛ける少年少女達!

それはサツキが指揮をする「5」直属の部隊、サツキ隊だった!

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