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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第八章:革命の生贄は起源へと捧げられ
77/105

Dead end


「なっ!? コイツらは!?」


A国特殊部隊とナンバー・「1」率いる接続者達

その戦いを偵察に来ていた「13」と冬香の前に現れたのは

「1」に従う元暗殺者、シングルナンバー「7」と「8」だった!


(「7」と「8」・・・! シングルナンバーが二人・・・!)


突然目の前に現れた脅威に「13」は両手にハンドガンを構え迎え撃つ!

そして突撃しながら冬香に向かって叫んだ!


「なるべくここから離れろ! コイツらは俺が食い止める!」

「だ、だが!」

「いいから先に戻れ! 後で合流する!」


ギィィィィィンッ!!!


「13」の銃剣と「7」の刀がぶつかり合い甲高い金属音を立てる!

それを合図に冬香は・・・


「分かった! 死ぬなよ「13」!」


そう言って屋上のビルのドアを開け、階段を下へと走り出した!


「あ! 逃げるよ「7」!?」


その場から離脱した冬香に対し、「8」が「7」へとそう叫ぶが


「ほっとけ! まずはコイツだ! 資格者を殺せばあの方も喜んでくれる!」

「うん! 分かった!」


双子は狙いを「13」へと定め、同時攻撃を仕掛ける!


(やはりこっちに来たか・・・!)


シングルナンバー・「7」と「8」

その能力は思考や感覚を同調させたり

)片方が負傷した場合、それを一瞬で治癒させる事が出来る「二身同体ツーマンセル」。しかし・・・


(能力の特性上、こいつらは常に二人で行動する必要がある。単独行動は出来ないはず)


双子の能力、そしてその欠点も暗殺課のデータで把握済み


(俺が目の前に居る限りこいつらも冬香を追う事は出来ない。なるべく時間を稼いでから離脱する・・・)


この場で「7」と「8」を倒す必要はない

それなりに時間を稼いでこの場を離脱すればそれで充分・・・。だが!


「ハハハハハッ!!! 死ね! 下位ナンバー!!!」


ギィィィィィンッ!!!


「チイッ!!!」


袈裟斬りにしようとする「7」の刀を「13」が銃剣で受け止め、互いの刃がぶつかり火花を散らす!


(強い! やはり元シングルナンバーは伊達ではない!)


接近戦に於ける技量は「7」の方がやや上!

自分から仕掛けに行った最初の一撃以外、「13」は防戦一方となっていた! 更に!


「そこ!!!」

「くっ!!!」


キィィィンッ!!!


大振りで「13」のガードをこじ開けようとする「7」の一撃に対し、その隙を補う様に間隙を突いてくる「8」の攻撃!

双子の瞳が闇の中ぼんやりと輝く、「二身同体」による完璧な連携攻撃!


(反撃の隙がない・・・!)


時間を稼げばいい

そんな数十秒前の自分の考えの浅はかさを後悔する

今の「13」では双子の攻撃を凌ぐのが精一杯で、とても撤退にまで気を回せる状況ではなかった。しかし・・・


「クッ! コイツ! しぶとい!!!]


予想外の事態に焦燥していたのは「13」だけではなかった


(所詮下位ナンバー、僕達の敵じゃないはずなのに・・・!)


二人同時攻撃で幾度となく斬りつけたが、「13」が負っている傷はかすり傷程度

反撃をする余裕すらない様に見えて、致命的な攻撃だけは確実に防いでくる


(なんなんだコイツ! 危険を察知する能力が異常に高い!)


その時、能力を使い「8」が「7」に向かって念話を行う


(どういう事!? これが「13」の能力!?)

(いや、コイツの能力は「接続リンク」っていう戦闘じゃ何の役にも立たない能力のはず!)


外部電脳が起動している様子もない、つまりこの回避能力は「13」自身の身体能力という事になるのだが・・・


(いや、そんなはずがない! 下位ナンバーが僕達兄妹の攻撃を完璧に防ぎ続けるなんてあり得ない!)


格下相手に押し切れない事実が、「7」を更に焦燥させていく!


ギィンッッッ!!!


そしてそれとは逆に・・・


(なんだ・・・? 攻撃が見える・・・。いや、これは・・・)


・・・けるなんてあり・・い!


かすかに聞こえてくる苛立った様な声

心の中に直接響くそれは、おそらく・・・


(敵の・・・「7」と「8」の思考か?)


「接続」を使っている時の様にハッキリとはつかみ取れない

だが確かに、何かを通じて送られてくる二人の思考が「13」には感じ取れた


(これは・・・「根源接続リンクオリジン」を使った影響か・・・?)


冬香を救う為、「4」に勝つ為。既に二回

「根源接続」を使った事により、オリジンとの回線が開きつつあるだろうか? しかし・・・


「ぐっ・・・!」


流れてくる情報は双子の思考だけではなかった

オリジンが感じ取っている物なのか、「13」の脳では処理出来ない様々な情報も同時に流れ込み

それは頭痛となって「13」の脳を圧迫する。その時・・・!


「ッ!!! もらった!!!」


頭痛に顔をしかませた「13」の様子に、それを好機と見た「7」が斬りかかる!


「脳天から真っ二つにしてやる!!!」


上段から真っすぐに振り下ろされた刀!

それは「13」を確実に捉え・・・!


ブンッ!!!


「えっ・・・!?」


次の瞬間! 「7」の刀は空を斬っていた・・・!


「なっ・・・!? 何処に・・・!?」


目の前に居たはずが、一瞬の間に消えた「13」の姿

敵の姿を見失い、「7」は辺りを見渡そうとするが・・・その瞬間!


「「7」!!!!! 後ろ!!!!!」

「えっ?」


スーッと、真っ直ぐに光が走り

その光は「7」の喉元を通過する


それは線をなぞるかの様な、舞を踊る手の動きの様な

殺意すら感じさせない程の自然な動き


突然の事に何が起こったのか分からず唖然とする「7」、その喉元がぱっくりと開き

そして、一瞬間を置いて・・・


ビシャッ!!!


「7」の喉元から赤い鮮血が噴き出した!!!


「あ・・・がっ・・・!!!」


確実な致命傷!

「7」の喉から音にならないうめき声が上がる! だが!


「「7」!!!!!」


キンッ!!!


「8」が叫び声を上げたと同時に! 双子の能力「二身同体」が発動する!


「ッ!!! ハァ!!! ハァ!!!」


そして次の瞬間には、「7」の傷は跡形もなく消え去っていた。しかし・・・


「な・・・何だ、今のは・・・」


今起こった現象が信じられないと言った様子で「7」は膝をつき

そして先程斬られた自分の首元をなぞる


(や・・・やられたのか・・・!? シングルである僕が、あんな下位ナンバーに・・・!? 「二身同体」がなければ、僕は確実に死んでいた・・・!)


あの一瞬、「7」には「13」の攻撃どころか姿すら見えなかった


姿を隠し、ただ一方的に殺す

まさに「暗殺」、暗殺者の究極の形


「大丈夫!? 「7」!!!」


荒く息を吐きながら冷や汗を流す「7」の様子に、「8」が心配そうに駆け寄る


「ヤ・・・ヤツ・・・「13」は・・・!?」

「「7」に攻撃したと同時に逃げたよ・・・。ごめん・・・逃がしちゃって・・・。「7」の方が心配だったから・・・」


そう、「13」が「7」を攻撃した次の瞬間

「13」の姿は闇夜に舞うカラスの様に消え去っていたのだ


しかし「7」は、頭を下げ俯く「8」の頭を撫でながら言う


「そんな事気にするな・・・。それより・・・」


目の前に居たはずが、一瞬で後ろを取られていた

一体何が起こったのか、「13」が何をしたのかは分からない

だが、確実に言えるのは・・・


「アイツは・・・危険だ・・・!」


もし先程の一撃を自分や「5」でなく「1」が受けていたなら?

あのナンバー・「1」が遅れを取るなんて想像も出来ない。だが・・・万が一があったとしたら・・・?


(ヤツを「1」の前に立たせる訳にはいかない・・・! 「1」の理想の世界の為、僕達が生きる世界の為・・・! 「13」は必ず倒さなければ!!!)


その瞳に狂信的な願いと殺意を輝かせ、「7」は中華刀を構える。そして・・・


「絶対に逃がさない・・・! ここで確実に仕留めるぞ!!!」

「うん! 分かった!!!」


双子の兄妹は、すぐに「13」の追撃に向かうのだった











「ハァ!!! ハァ!!!」


「13」に戦闘を任せ、無人となった街から全力で離脱する冬香


「クソッ・・・! やはり私には何も出来ないのか・・・?」


もしあの場に残っていたとしても、足手まといにしかならなかっただろう

敵と遭遇しておきながらただ逃げるしか出来ない現状にただただ悔しさだけが沸き上がる。その時・・・!


「ッ!!!」


後ろから追いついてきた気配に、手に持っていたリボルバーを構えながら振り向く。だが・・・


「冬香・・・!」


現れたのは追手ではなく、「13」の姿だった


「「13」! 無事か!?」


「13」に目立った外傷はない様に見える

しかし、その顔は疲労を通り越して衰弱の様相を見せていた


「その顔は・・・! まさか! 「根源接続」を使ったのか!?」

「ああ・・・他に手はなかった・・・。大丈夫だ・・・「4」に使った時程じゃない・・・。それより、早くこの場を離脱するぞ。次に捕まったらアウトだ」


そして「13」はややフラつきながら冬香を抱き寄せ、ビルの屋上に向かってワイヤーを射出しようとする。だがその瞬間・・・!


ダダダッ!!!


「ッ!?」


飛来してきた弾丸を咄嗟に構えていた右腕で弾く「13」!


「なっ!? 銃撃!?」

「あの特殊部隊をやった奴らか・・・!」


「7」と「8」との戦闘の最中

密かに二人を追っていたのは、「5」直属の部隊「サツキ隊」だった






「防弾!? いやあの右腕、義手か!? 「5」!」


サツキ隊の隊長、サツキが「5」に向かって叫ぶ。そして・・・!


「・・・行け」

「了解!」


その言葉と同時にサツキがハンドシグナルを送ると、闇の中に潜んでいたサツキ隊が全員行動を開始する


ダダダッ!!! ダダダッ!!!


周囲からの集中砲火!

「13」は冬香を防弾コートで守りながら走る!!!


「くっ!!! 完全に包囲されているぞ!!!」

「分かっている! だが足を止めれば「7」と「8」も追いついてくる!」

「なら・・・! 強引にでも突破するしかない!」

「ああ。掴まっていろ! 冬香!!!」


パシュッ!!!


右腕からアンカーが射出され、二人の姿が宙に浮く!!!

だが! その瞬間を待っていたとばかりに影が複数! ビルの陰から現れる!


「空中なら軌道変更は出来まい! 狙え!!!」


そしてライフルを構えるサツキ隊の隊員達! だが・・・!


ダンッダンッダンッダンッ!!!!!


4体の影に対して4発!

ライフルを構えた隊員達が発砲するよりも早く!

「13」は左手の銃だけで彼らを撃ち抜いていた!!!


「なっ!? なんだと!?」


予想外の反撃に隊長であるサツキが動揺する。しかし・・・


「負傷した者は下がらせろ。相手は手練れだ、深追いはするな」


動揺したサツキに代わり、「5」は冷静にそう命令を下すと一歩前に出る


「私がやる。サツキ隊は援護に徹しろ」

「なら! 私も!」


「5」の言葉にライフルを構えるサツキ

しかし、「5」はサツキに背を向けたまま命令する


「お前はここで待機だ。負傷者の手当に回れ」

「くっ・・・了解・・・しました!」


そして大量の銃器を背負ったまま、その重量をものともせず走り出す!

鈍重なイメージからは程遠い凄まじい速度での疾走! そして・・・!


「居たな・・・」


暗闇の空、銃撃を回避しながら空中機動を行う「13」の姿をその視界に収めた!






サツキ隊を退けながら、なんとか包囲を抜けようとする「13」と冬香!


パシュッ!!!


そして次のビルにアンカーを撃ち込み移動する!

腕のモーターがワイヤーを巻き取り、宙へと舞う二人の姿。だがその時・・・!


バシュッ!!!


「ッ!?」


飛んできたのはアサルトライフルの銃弾ではなく・・・!


「ロケットランチャー!?」


ロケット弾!

しかもその標的は「13」達ではなく、今移動しようとしているビルの方!!!


「しまっ・・・!」


咄嗟にアンカーを外すと、「13」は冬香を庇いながらビルに背を向ける! そして次の瞬間!!!


ドォォォォォンッ!!!


ビルの屋上部分がロケット弾によって吹っ飛ばされ、爆風とガレキの破片が二人を襲った!


「くっ!!! 「硬化スクローシス」!!!」


「13」は外部電脳にセットされていたラオ・フーシェンの能力、「硬化」を使ってこれを防ぐ!

そしてすぐさま他のビルに向かってアンカーを撃ち込み、なんとか屋上へと飛び移る! だが・・・


「ぐっ・・・!」


ビルの屋上へと移動した直後、膝を付く「13」

「硬化」で防いだとは言え、ダメージはゼロというわけではなかったのだ


「「13」!」

「大丈夫だ・・・まだ動ける・・・!」


すでに体力は限界に近い、しかしここで止まればすぐに敵が追い付いてくる

「13」はすぐさま移動を再開しようと立ち上がる。だが・・・!


「ここまでだな・・・」


その時! ビルの屋上に現れたのは2メートル近い筋肉質の男、ナンバー・「5」! そして・・・!


「ハハハッ! 追いついた!!!」

「うん! もう絶対に逃がさない!」


中華刀を持った双子の兄妹、「7」と「8」だった!!!


「くっ・・・。下がれ冬香・・・」


ビルの屋上で「5」「7」「8」

三人のシングルナンバーと相対する「13」・・・!


「はぁ・・・はぁ・・・」


敵はシングルナンバーが3人、こちらは満身創痍・・・

正に絶対絶命・・・だが!!!


「フウッ・・・!!!」


勢いよく息を吸い込むと、「13」は突撃を仕掛ける!!!


「最後まで抗うか・・・」


ダダダッ!!!


突撃してくる「13」に対し「5」がライフルを連射する!

「13」はそれをかわしながら「5」へと迫るが・・・!


「今度こそもらった!!!」


ギィィィンッ!!!


横から斬りつけてきた「7」の一撃!

それをなんとか銃剣で受け止める「13」! しかし!!!


「ハッ!!! さっきに比べて動きが鈍い!!! 「8」!!!」

「うん!!!」


瞬間! 背中からの斬撃!

なんとか身体を反らせ回避しようとするがかわしきれず、「8」の刀が「13」の背中を斬り裂く!


ザシュッ!!!


「ぐうっ!!!」

「今度は前ががら空き!!!」


ザンッ!!!


今度は正面! ナナメ下からの一撃!

「7」の刀が「13」の胴体を斬り裂き、鮮血を飛び散らせる!!!


「がっ・・・!」

「「13」!!!」


重傷を負った「13」に冬香が叫び声を上げる! だが!!!


「卑怯とは言うな・・・。これが戦場だ」


ダダダダダッッッッッ!!!!!


すかさず! 「5」の追撃!!!

両手に持ったアサルトライフルで「13」に対し集中砲火を仕掛ける!


「「硬化」ッ!!!」


「13」は咄嗟に体を硬化させ防弾コートでそれを防ごうとするが・・・!


バスッ!


肩に1発! 腕と足に更に1発づつ!

銃弾が貫通し「13」がよろけながら後退していく

そして、ふらつきながら屋上の端へと下がっていくと・・・!


「ぐっ・・・冬香・・・」

「「13」!!!!!」

「生きろ・・・」


そう呟きながら、「13」はぐらりと倒れ

ビルの屋上から落下していった・・・

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