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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第七章:騒乱の種は蒔かれ、亡霊達は蘇る
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集う資格者達


「ようやく! ようやく目覚めたか! 「オリジン」!!!」


「1」が歓喜の声を上げると同時に、凄まじい振動がゾーフを襲う!


「一体・・・何が・・・!?」


突然の異常事態に、「13」は冬香を庇う様にしながら周囲の状態を伺う

その時、「1」がオリジンに向かって手をかざしながら呟いた


「さあ・・・私の声に応えるのだ・・・」


そしてその言葉に呼応する様に、オリジンの光が増していく!


「オリジンが・・・!?」


18年前

宇宙から飛来してきて以来一度たりとも反応した事のないオリジンが、「1」の呼びかけに応える様に輝いている!


「どうして・・・? 一体何故オリジンが・・・?」


そう呟く吹連に、「1」は笑みを浮かべながら答えた


「それは霧生の娘のお陰だ」

「私・・・だと!?」


「1」の言葉に冬香は思わず声を上げる


「そうだ。オリジンは人の心、意思、感情の動きに反応する。お前の私に対する激しい憎悪が、オリジンを目覚めさせたのだ」


そう、「1」の冬香に対する拷問は、オリジンを目覚めさせる為だったのだ


「あれだけ痛めつけられても折れない激しい憎悪。オリジンを目覚めさせる程の強烈な感情の波。霧生の娘、お前はよく役に立ってくれた。私がオリジンを手にする為のな」

「貴様ァァァァァッッッッッ!!!!!」


「1」に対し憎しみの声を上げる冬香

それと同時に、その叫び声に呼応する様にオリジンも輝きを増していく!


「くっ! マズイ・・・!!!」


「13」の直感が叫び声を上げる

何かは分からない、だがとてつもなく危険な事が起ころうとしている、と!


(今ここでヤツを殺す!!! でなければ・・・!!!)


「1」を止める為、「13」は両手の銃を構え突撃の構えに入る! だがその時!


キィィィィィンッ!!!!!


「なっ・・・!? これは・・・!!!」


オリジンから放たれた脳を直接刺す様な高周波に、たまらず「13」は膝をついた!


「どうした!? 「13」!!!」


突然倒れた「13」に冬香が叫び声を上げる

凄まじい音量にも関わらず、冬香がそれを気にしている様子はない


「ッ!!! 冬香には聞こえないのか・・・!?」


正面を見れば同じ様に膝を付き苦しむカズヤの姿

これは接続者にしか聞こえない音なのだろうか?


「ぐっ・・・! テメエ! 何をしてやがる!?」


頭痛に耐えながら「1」に向かって問いかけるカズヤに対し


「これは・・・ッ! オリジンの声だ・・・! 目覚めたオリジンが、私の意思に呼応しているのだ!」


同じ様に苦しみながら「1」が答える。そして・・・


「さあ・・・! 私の元に来い! オリジン!!!」


キィィィィィンッッッッッ!!!!!


その「1」の声と同時に

全長3メートル程あったオリジンが小さくなっていく!


そして「1」の手のひらに収まる程小さくなると

それと同時にゾーフを襲っていた振動が止み、オリジンから放たれていた高周波も聞こえなくなった。そして・・・


「フッ・・・! ハッハッハッハッハ!!! ついに! 手に入れたぞ!!! この手にオリジンを!!!!!」


オリジンの間に、「1」の笑い声が高らかに響いたのだった











丁度その頃

ゾーフ周辺南エリアで戦闘状態にあった「9」と「7」「8」もその異常事態を感知していた


「ぐっ・・・! 今の音は・・・!?」


戦闘中、突然襲ってきた頭をつんざく様な音

ようやくそれが鳴りやみ、頭を押さえながら立ち上がる「9」

それと同時に、同じく倒れていた「7」と「8」も立ち上がる


「痛ぅ~~~!!! 凄い音だったな「8」、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ「7」。それより・・・!」

「ああ。あの方が・・・ナンバー・「1」が作戦に成功したんだ!」


パァンッ!


「7」と「8」はハイタッチで喜びを表現すると、手に持っていた中華刀を背に背負っていた鞘に仕舞った


「これでこっちの作戦も完了だ! 戻るぞ「8」!」

「うん! 行こう「7」!」


そして双子の兄妹は「9」に背を向け一目散に走り去る!


「くっ! 逃がすわけには!!!」


すかさずそれを追う「9」


3人が向かう方向、それはオリジンの間の方向だった






そして北エリアでも

戦闘中にあった「6」と「5」は、突然の事態に戦闘を中断していた


「チッ・・・! 何だったんだ今のは・・・!?」


「6」が不快そうに吐き捨てる

「5」も同じ様に苦しんでいた所を見ると、ヤツの能力等ではない


イレギュラーな事態が起こった時に焦りは禁物

慎重に相手の出方を伺う「6」。だがその時


「父さん!」


近くの物陰から「5」の側に近づく15~6歳程の女が現れた

その声に対し、「5」はギロリと厳しい眼差しを向ける


「ッ! すみません。ナンバー・「5」・・・!」


「5」に睨まれ、女はすぐさまそう言い直すと報告し始めた


「予定通り外に展開していたメンバーは撤退を開始しています! ナンバー・「1」の方は・・・?」

「ああ、どうやらオリジンの奪取に成功したらしい。お前もすぐに撤退を開始しろ」

「了解しました!」


そう告げると女はその場から立ち去る。そして・・・


「・・・」


女が居なくなったのを確認すると、「5」はゆっくりと手に持っていた巨大ガトリング砲を下ろし南に向かって歩いていく


「ああ? テメエ何のつもりだ!?」


突然自分に背を向け去って行く「5」に対し「6」がナイフを突きつけ叫んだ

だがそんな「6」に対し、「5」は背を向けたまま告げる


「止めておけ、お前に私の「不死身の突撃兵 (イモータル)」を破る事は不可能だ。もう十分試しただろう?」

「テメエ・・・」


何度殺しても、どうやって殺しても死なない

そんな余裕からか、無防備な背中を晒す「5」に対し「6」は殺意を高めていく。だが・・・


「それより、貴様もシングルナンバーの一人。付いて来い、あの方が待っている」

「あの方・・・? まさか、ヤツか!?」

「ああ。ナンバー・「1」が待っている」


その言葉に「6」はニヤリと笑みを浮かべ呟く


「フッ、面白え・・・」


そしてナイフを仕舞うと、「5」の後に続いて行った











光は収まり、オリジンを手にいれた「1」

目的を達成した「1」が笑みを浮かべる。だがその時・・・!


「吹連課長!」


重武装の防衛隊が6人! オリジンの間へと突入してきた!


「味方か!?」

「そっちは暗殺者!? なら向こうの二人が侵入者か!?」


防衛隊はすかさず銃を構え「1」とカズヤに向かって狙いを定める!


「チッ・・・雑魚共が・・・」


それに対し、カズヤは迎撃態勢に入ろうとするが

そんなカズヤの肩を「1」はポンッと叩くと言った


「構う必要はない、もう目的は達成した」


「1」はそう告げると、右手を天井に向かって掲げる。そして・・・!


ドンッ!!!


衝撃波の様な能力がその右手から放たれると、天井に穴を開けた!


「何ッ!?」


落ちてきた瓦礫に防衛隊が怯む!


「では行くぞ」

「ああ」


そしてその隙に!

「1」とカズヤの二人はジャンプすると、その穴から外へと脱出していった!


「くっ! くそっ!!!」


すぐに銃口を向ける防衛隊達だったがすでに遅かった

天井までの距離は高さ10メートル程

接続者ならともかく、普通の人間である防衛隊に追う手段はない

悔しそうに二人が出て行った穴を見上げる防衛隊の6人。その時・・・


「追え! 「13」・・・!」


左手を押さえ膝を付いていた冬香が「13」に向かって叫ぶ!


「ヤツを追え「13」! 絶対に逃がすな!!! 父さんの・・・! 仇を・・・!!!」

「冬香・・・」


その言葉に「13」は一瞬躊躇ったものの


「・・・了解」


そう答えると、天井の穴に向かって右手のアンカーを射出

ワイヤーを巻き取り宙に舞うと、「1」を追って行った


天井の穴を見上げながら、その姿を見送る冬香だったが


「ヤツを・・・殺せ・・・「13」・・・」


ドサッ・・・


「13」の姿が見えなくなった瞬間、その場に崩れ落ちた


「ッ!? 怪我人二名! すぐ医務室へ!!!」


そう叫びながら、防衛隊は素早く担架を用意すると

崩れ落ちた冬香と壁際で倒れていた吹連を乗せる。その時・・・


「宗・・・次・・・」


冬香の耳に、意識朦朧となっていた吹連がそう呟いたのが聞こえた


その吹連の言葉に、冬香は担架の上から視線を横に向けるが

その視線の先にあったのは・・・


「安栖・・・研究主任・・・」


骨すら残らず燃え尽きた、灰の山だけだった











「ッ!!!」


「1」を追い、建物の上へと移動した「13」


「ん? イレギュラー・・・、我々を追ってきたか」


そこには、建物の上で立ち止まる「1」とカズヤの姿があった


「カズミ・・・」


追ってきた「13」に対し戦闘状態に入ろうとするカズヤだったが、「1」がこれを制止する


「今は止めておいた方がいい」

「何?」

「・・・ここでは一対一という訳にはいかなさそうだ」


「1」がそう告げると同時に、「13」の背後から新たな影がその場に現れる!


「クック・・・。やはり貴様か、ナンバー・「1」」

「「4」!」


現れたのは黒豹の如き最強の暗殺者、ナンバー・「4」だった!


「チッ・・・! あの化け物女が来やがったか・・・!」


忌々しそうに舌打ちをするカズヤ

その時、そんなカズヤに向かって「1」が告げる


「カズヤくん、君も撤退を」

「何?」


その命令に対し、訝し気な視線を向けるカズヤだったが


「何、心配はいらない。少し挨拶をしていくだけだ、君の獲物に手を出す気はない」

「・・・」


その「1」の答えに、カズヤは渋々ながらもハンドガンを仕舞う

そして、「13」に対して告げた


「カズミ、決着はまた今度だ」

「カズヤ・・・。どうしても戦うのか・・・?」

「俺かお前、どちらかが死ぬまで俺は終われない・・・。お前が撃たないなら俺が撃つ、死ぬのが嫌なら覚悟を決めろ」

「・・・」

「・・・じゃあな」


そう告げると、カズヤはその場から素早く撤退していった






カズヤが去り、その場には「1」「4」「13」の3人が残る

その時、「1」は昔の友人に話しかける様に穏やかな声で言った


「久しいな、「4」」

「そうじゃな「1」、こうやって顔を合わせるのは10年ぶり、あの実験の日以来じゃな」


向かい合う「1」と「4」

互いに尋常ではない実力を持った接続者同士


一見穏やかに会話をしている様に見えるが

「一瞬でも隙を見せれば問答無用で殺す」そう言った緊張感が辺りには漂っていた


その緊張感の中、4は普段通り飄々とした様子で問いかける


「さて? 何せ10年分じゃ、色々と質問したい事があるわけじゃが、答える気はあるかのう? ないのなら・・・無理矢理口を開かせてやってもよいが?」


ニヤリと、加虐的な笑みを浮かべる「4」

その問いに対し、「1」も余裕ある態度を崩さず答える


「別に隠す様な事ではないさ。知りたいと言うのなら、もちろん答えよう。・・・だが、あとほんの少し待て」

「何?」


「4」が呟いた瞬間、新たに5つの影がその場に現れた!


「戻ったぜ! ナンバー・「1」!」

「流石ナンバー・「1」! オリジンを手に入れたんですね!」

「・・・こちらも陽動任務を終了した」


そう言いながら現れた双子の兄妹「7」「8」と、鍛え上げられた身体を持つ元軍人「5」。そして・・・


「ようやく追いついたが・・・やはりヤツか」

「あん? テメエらも来たのかよ」


それを追って現れた大刀使いの暗殺者「9」と、両手にバタフライナイフを持った金髪の暗殺者「6」


4対4


暗殺者「4」「6」「9」「13」

暗殺課の裏切り者「1」「5」「7」「8」


その場で8人の接続者が対峙する


「フッフッフッ・・・これで揃ったな・・・」


その場に集った面々を見回しながら、「1」が言う


「すでに脱落した「2」と「3」を除いた7人・・・いや、一人追加されて8人。8人の資格者が今この場に集った。この世界に神を降臨させる為の戦い。たった一人の「接続者せつぞくしゃ」を決める為の戦い。それを今・・・始めようではないか」


そして、世界の命運を賭けた戦い

その始まりを宣言するのだった

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