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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第七章:騒乱の種は蒔かれ、亡霊達は蘇る
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そして今、復讐の刃は向けられる


オリジンの間に突如鳴り響いた銃声!

咄嗟に振り向いた冬香が見たのは「13」の姿だった!


「「13」!? どうしてここに!?」


驚いた様に問いかける冬香に、「13」は侵入者に銃を向けたまま答える


「皇女が偽物だと気づいた後、俺は「4」と別ルートでゾーフに向かっていたんだが・・・」


その時、目の前の男がゆっくりと「13」の方に視線を向ける


「・・・どうやらこっちが本命だった様だな」


「13」の頬に冷や汗が流れる


ただ目の前に立っているだけ、それだけで十分過ぎる程に分かる

この侵入者は尋常でない程の使い手だ、おそらく「4」と同格の・・・


いつでも戦闘行動に入れるよう神経を研ぎ澄ませていく「13」

それに対し、男は怪訝な表情を浮かばせながら呟いた


「「13」・・・。例のイレギュラー、10人目の「資格者」か」

「何?」


イレギュラー? 資格者?

意味の分からない単語を呟く男に、「13」が疑問の声を上げる。だが・・・


「まあいい。我々以外の資格を得た接続者、ここで少し試しておくのもいいだろう」


瞬間!

目の前の男から、部屋全体を覆いつくす様な殺気が放たれる!


「ッ!!!」


その殺気に対し、「13」の判断は迅速だった!

殺気を放った男に対し、すぐさま戦闘行動を開始する!


ダダンッ!!!


両手のハンドガンから銃弾を放つと、それと同時に男に向かって突撃!

十字銃術の間合い、接近戦を挑もうとする!


男は無駄のない動きで銃弾をかわすと、突撃してくる「13」に視線を向ける!


「・・・?」


一瞬、「13」が戸惑いの表情を見せる


目の前の男は突撃してくる「13」に対し何の構えも見せず、その場に立ち尽くしたままだったからだ。だが・・・次の瞬間!


「「発火能力ファイアスターター」」


男が呟くと同時にその瞳が発光する! そして・・・!!!


ドガンッッッッッ!!!!!


激しい爆発音が鳴り響いた!


「なっ!? 「13」!!!」


突如発生した爆発に思わず冬香が声を上げる


「くっ!!!」


だが!

「13」は寸での所で爆発の直撃を回避していた!


(「発火能力」だと・・・!?)


目の前で起こった爆発に目を向けながら、「13」は敵の能力を分析する

能力的には珍しい物ではない、様々な接続者が使うポピュラーな能力と言えるだろう


だが、威力は全く違う

通常の接続者が使うのが「発火」だと言うのなら、これは「爆発」

部屋の床を抉るその威力は、まるでナパーム弾による爆撃の跡の様だ


(しかし・・・接近戦に持ち込んでしまえば!)


意識を切り替えると、すかさず方向転換し間合いを詰めようとする「13」

いくら威力があろうとも、十字銃術の間合いに入ってしまえば関係はない!


だが次の瞬間、「13」はその分析が誤っていた事を知る!


「速いな・・・。ならばこれでどうだ?」


男の目がまたもや発光する!


ゴオッ!!!!!


それと同時に!

物凄い突風が巻き起こった!


「何ッ!? 別能力だと!?」


これに対しても「13」の判断は早く、瞬時に回避行動に移る

だがまるで真横に飛ぶハリケーンの勢いに、直撃を避けたにも関わらず大きく吹き飛ばされた!


ダンッ!


「ぐっ!」


突風により、勢いよく壁に向かって叩きつけられた「13」! だが・・・!


(ダメージは軽微・・・! それより・・・!)


激突の痛みを無理矢理意識の端に押し込め、聴覚に意識を集中させる「13」

それにより、男の懐辺りから聞きなれた動作音が聞こえてくる・・・


(間違いない・・・)


それは、「外部電脳デバイス」の駆動音!

暗殺者が使う、他人の能力を発動させる為の機械だ


(だが「外部電脳」を使う接続者だと・・・? 奴は「暗殺者」なのか・・・? いや、今は敵の素性を考えている余裕はない・・・!)


「13」はすぐさま体勢を立て直すと、男に向かって再び突撃を開始した!











「13」と侵入者の戦いが繰り広げられていたその時

倒れていた吹連の元に冬香が駆け寄る


「吹連課長! 怪我は!?」

「霧生監査官・・・。私は・・・大丈夫です・・・」


その言葉と裏腹に、吹連の状態が悪いのは一目で分かった


「課長! あの敵は一体!?」


そう問いかける冬香に対し、吹連は敵の正体を伝えようとするが・・・


「あ・・・あの男は・・・、ぐっ!!!」


突如脇腹に走った痛みに、その口が止まる


「吹連課長!」


すぐさま冬香は、痛みに苦しむ吹連に応急処置を施そうとする


肋骨が折れているのだろう

倒れた場所から一歩も動けず、その顔には脂汗がにじんでいる

今すぐ医務室へ連れていって、本職の医者に診せなければ危険だ・・・だが


(怪我人を抱えながら移動する私を、あの侵入者が易々見逃してくれるとは考えにくい)


部屋を出ようとした所を後ろから撃たれればひとたまりもないだろう

今はこの場から動かず、「13」があの男をどうにかしてくれる事を祈る他ない


「「13」・・・」











何度目かの突撃! しかし・・・!


「フンッ・・・」


ガガガガガッッッッッ!!!


「くっ!!!」


目の前に降り注ぐつららの雨に遮られ、「13」は間合いを離す


(くっ・・・! 強い!!!)


火炎、疾風、氷、電撃、重力、磁力

男の能力は多種多様、しかも全て規格外の威力


余りにも圧倒的威力を誇る男の能力の前に

「13」は男に近づく事すら出来ない


その光景は完全武装の一個小隊を相手に、孤軍奮闘している様にも見えた


(俺の十字銃術クロスガンアーツは接続者を殺す事に特化した技だ。だがそれはあくまで「人間」の形をした敵を殺す技・・・)


どんな強力な能力を持っていようとも

人の形をしている以上、殺す為の「ことわり」が存在する


接続者とは言っても頭を撃たれれば死ぬし、心臓を貫かれれば死ぬ

それは人間と全く変わらない


だが、目の前の男は違う


余りにも圧倒的な火力、縦横無尽に繰り出される様々な能力

それを相手に対抗する為の「理」は「13」にはない


(例えるなら戦車か戦闘機、爆弾かミサイルを相手に戦っている様な物・・・)


その証拠に、目の前の男は未だ構えてすらいない

両手をズボンのポケットに入れたまま「13」と相対している


あの男にとって肉体はただそこにあるだけの物

「能力」こそが、あの男にとっての「手」であり「足」でもあるのだ

そしてそれを潜り抜けない限り、こちらの攻撃は本体であるあの男には届かない


(戦力差は圧倒的・・・。しかも、おそらく・・・)


その時、「13」の中にある確信めいた嫌な予感

そう・・・目の前の男はまだ「本気を出していない」という予感


これまで放たれた全ての能力

その発動と同時に、「13」の聴覚は外部電脳の駆動音を確認していた


それはつまり、男が使っているのは全て外部電脳にセットされた能力であり

まだ一度も、男は接続者としての「本来の能力」を使っていないという事だ


「ふう・・・」


切り札を温存したままの敵に対し、「13」は心を落ち着かせる様に息を吐く

だがその時・・・


「フン・・・、この程度か」


突然、「13」への攻撃が止み、男がため息をつきながら呟いた

それに対し「13」は、銃を構えたまま男の言葉に耳を傾ける


「オリジンへの扉に手をかけた10人目の資格者。だが、ただのまぐれだったか・・・」

「・・・何の話だ?」


男の言葉に対し、13は問いかけるが・・・


「もはや貴様には知る必要のない事だ。これから始まる真の「接続者せつぞくしゃ」を決める戦いに、貴様の存在は相応しくない」


その言葉と同時に、目の前の男から放たれる威圧感が更に高まっていく!

そして男が両手を上げ、この戦闘中初めて構えを取った!


「ッ!?」

「消えろイレギュラー」


そして男がその真の力を使い、「13」に襲い掛かろうとした、その瞬間!!!


ダンッ!!!


男と「13」の間に向かって放たれる銃弾!


「むっ?」

「何っ!?」


そしてコツン、コツンと足音を響かせながら現れたのは・・・


「・・・カ、カズヤ・・・!?」


もう一人の十字銃術の使い手「カズヤ」だった!











侵入者と「13」との戦いの最中

二人の間に割って入ったのは、消息不明となっていたはずのカズヤだった


「カズヤ・・・」


動揺する「13」の横を、カズヤは静かに通り過ぎていく

そしてそのまま近づいてくるカズヤに対し、男は言う


「どういうつもりかな? 私の邪魔をするとは」

「邪魔だと? テメエこそ「条件」を忘れたわけじゃないだろうな?」


そのカズヤの言葉に、男はああ、と言った表情で納得すると構えを解く


「すまないなカズヤくん。少々熱くなっていた様だ」


そして、側まで歩いてきたカズヤに向かって小さな声で呟く


「例の物は・・・?」

「・・・既に移送は完了、外の部隊に預けてきた」

「そうか・・・なら結構」


そう告げると男はくるりと後ろを向き、カズヤに向かって告げた


「では、彼の相手は君に任せよう。私はオリジンに用があるのでね」

「了解だ」


そしてカズヤも振り向くと、銃剣の付いたハンドガンを両手に持ち「13」に向かって構える!


「・・・どういう事だカズヤ!?」

「どうもこうもない。カズミ、お前は俺の敵だ」

「ッ・・・」


僅かに戸惑いを見せる「13」

それに対し、カズヤは静かに告げる


「構えろ。今度こそ・・・俺を殺すつもりで来いカズミ」

「カズヤ・・・!」


それに呼応する様に、「13」も十字銃術の構えに入る! そして!


ダダンッ!


二人は同時に発砲、突撃!

戦闘を開始した!











「くっ・・・この場面でアイツまで・・・!」


カズヤの登場に焦りを見せる冬香


いくら「13」とは言え、あのカズヤを倒す事は容易ではない


目にも止まらぬ速さで打ち合い、撃ち合う二人

二人の技量は全くの互角


そしてその二人の戦いの最中・・・


「フッ・・・」


男はニヤリと笑みを浮かべると、二人に背を向けたままオリジンの元へ向かう


「くっ・・・!!!」


すぐさま銃口を男の背中へと向ける「13」だったが・・・!


「そんな余裕があるのかよ!? カズミ!!!」


キィンッ!!!


「チイッ!!!」


カズヤの怒涛の攻撃の前に、「13」は追撃を行う余裕もない!


そして、「13」とカズヤが戦闘を繰り広げていたその時・・・!


「・・・ッ! ハァ・・・ハァ・・・!」


重傷を負い倒れていた吹連が立ち上がろうとする


「止めなくては・・・このままでは・・・手遅れに・・・!」

「なっ!? 吹連課長!!!」


だがすぐさま、冬香がそれを押しとどめる


「どいて・・・! あの男を・・・止めなければ・・・!」

「その怪我では無理です!」


オリジンへと向かおうとする男を止めようとする吹連

だが、今の吹連の状態では歩く事すらもままならない

しかしそれでも、吹連は這ってでも男を止めに向かおうとする


「駄目よ・・・! ここであの男を止めなければ・・・! 全てが終わってしまうかもしれない・・・!」


全ての終わり

それが何を意味するのかは冬香には分からない


だが、あの吹連課長がここまで危険視する何か・・・

何かが起ころうとしているのだけは分かる。それならば・・・!


「・・・私が! 私がアイツを止めます!」


そう告げると、冬香はリボルバーを手に走りだす!


「なっ!? 駄目よ! 霧生監査官!!!」


倒れた吹連に背を向け

「13」とカズヤの戦いに巻き込まれない様走りながらオリジンの元へ向かう冬香


そして部屋の隅を大きく迂回しオリジンの元へたどり着くと

オリジンに向かって右手をかざす男に銃口を向ける!


「動くな!」


リボルバーを構える冬香に対し、男はゆっくりと視線を向ける


「・・・? またおまえか。ただの人間では私を止められない事ぐらい、分かっているだろう?」


その言葉の通り、男は冬香に対し全く脅威を感じていない

敵意や殺意と言った物すら見せず、右手をかざした体勢のまま冬香に目を向けている


「だとしても・・・! 今お前に立ち向かえるのは私だけだ!!!」


勝ち目がない事はもちろん理解している


だが、自分が稼いだ数秒で何かが変わるかもしれない

「4」が、他の暗殺者が間に合うかもしれない


その為ならば、十分に命を賭ける価値がある


そんな冬香に対し、男はフッと笑うと言った


「大した正義感だな。昔の同僚を思い出す」

「・・・?」

「そうだな・・・。その正義感に敬意を示し、名前を聞いておこう監査官」


そう言うと男は手を下ろし、冬香の方に向き合う

その男の問いに対し、冬香はリボルバーを構えたまま堂々と告げる


「東京特別治安維持課所属、監査官・霧生冬香警部補だ!!!」


その時、男の表情が変わる


「霧生・・・?」


そして男は冬香に向かって問いかけた


「そうか・・・。お前は、霧生彰きりゅうあきらの娘か?」

「ッ!?」


目の前の男から出た父親の名

突然の事態に動揺しながらも冬香は叫ぶ


「何故父の名を・・・!? 私の父を知っているのか!?」

「もちろん知っているとも。あの男は私の元同僚であり、監査官であり、共に理想へと歩んだ同士でもあった」

「どういう事だ!? 貴様は一体何者だ!?」


その冬香の言葉に

目の前の男は笑みを浮かべたまま・・・


「私の名はナンバー・「1」。元暗殺者、シングルナンバー。そして・・・」


静かな声で、ハッキリと答えた


「・・・10年前、お前の父親を殺した男だ」

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