飛翔 対 滑空
「空を飛ぶ接続者・・・!?」
暗殺課本部にある管制室で、冬香からの報告を聞きながら目を見開く吹連!
「救援の暗殺者が到着するまでの時間は!?」
そしてすぐにモニターで状況を管理しているオペレーターに確認するが・・・
「あと15分はかかります!」
「ッ・・・!」
あと15分
監査官である冬香と、接続者ではあるが非戦闘員のアイリの二人で持ちこたえられるだろうか?
「あと15分・・・なんとか自力で逃げ切ってもらうしかないわ・・・」
一刻を争う状況にも関わらずどうしようも出来ない
そんな現状に対する歯がゆさを押し殺しながらそう呟く吹連
「とにかく、救援を急がせ・・・!」
そう指示を下そうとした、その時!
「吹連課長!聞こえているかい!?大変だ!」
突然、管制室に通信が入る!
それは、研究室主任の安栖からの通信だった!
「安栖研究主任?何か問題が?」
冷静に問い返す吹連に対し、安栖は慌てた様子で告げる!
「13が!メディカルルームで安静中だった13の姿がない!おそらく・・・!」
「ッ!?」
その頃
空を飛ぶ接続者は、高速道路跡を走る一台の車を眼下に捉えていた
そして、車からかなり距離を離され追いかけるバイクを見て舌打ちをする
「チッ。「406(ヨンゼロロク)」め、しくじりやがって・・・」
その時、男は先日自分に下された命令の事を思い出す
「あの「018」の命令を聞くのはシャクに障るが・・・。まあいい、あの女はこの「271(ニーナナイチ)」が捕えるぜ!」
そして識別番号「N・271」こと、接続者271は
能力で空中を飛行、加速し、一気に冬香達の乗る車へと迫っていく!
「くっ!新手の接続者!」
冬香は自分達を追ってくる飛行能力の接続者を確認すると、アクセルを一気に踏み込む!だが・・・!
「駄目です!相手との距離、縮まる一方です!」
「くそっ!」
アイリの報告に焦りを見せる冬香
「相手の飛行速度はおよそ時速250キロ!この車じゃ振り切れません!」
アイリがそう叫ぶ間にも飛行接続者はぐんぐんと距離を詰めてくる!
「なら!」
そう言うと冬香は車を左手で制御したまま、右手で懐のリボルバーを抜く!
「ッ!?」
「撃ち落としてやる!」
パンッ!!!パンッ!!!
そして車の横から身を乗り出すと!後方上空から迫る接続者に向かって発砲した!しかし!
「ヒャハッ!ハァッ!」
自分に向かって迫ってくる弾丸を上空に向かって飛び、回避する271!
「接続者に銃は効かない、常識だろ!?ましてや!空中を超高速で飛行するこの俺を!そんなチャチな銃で撃ち落とせるもんかよ!だがまあ足掻くのは大歓迎だぜ!?足掻く弱者をいたぶるのは接続者の、強者の特権だからなぁ!ハハハハッ!!!」
そう叫びながら271は高度を上げると、冬香の車のほぼ真上に付く!
「くっ!死角に入られた!迎撃出来ない!」
「さて!ここから一気に!!!」
そしてそのまま高度を一気に下げ!
バンッ!
「くっ!」
ボンネットから伝わる衝撃に体を震わせる冬香!
そして!車の上に取りついた271がサイドウィンドウから冬香を覗き込み呟く・・・!
「つーかーまーえーたーっと・・・!」
「ッ!?」
顔が迫る程の至近距離!すかさず冬香はリボルバーを向けるが・・・!
「おっと!」
バシッ!!!
リボルバーを向けようとする腕を、271は素早くはたき落とす!
「くっ!しまっ・・・!」
ガシャンッ!と音を立て、後ろの地面へと転がっていくリボルバー!
「これでもう抵抗は出来ないねぇ?さーて・・・どう可愛がってやるかな?」
もはや冬香達に目の前の接続者に対抗する手段はない!正に絶体絶命の状況!
だが!その瞬間!!!
「・・・悪いが、定員オーバーだ。降りろ」
ドガァッ!!!!!
「ガッ!!!????」
突然!
車の真上を滑空する様に現れた人影が271を蹴り落とした!!!
「い!今のは!?」
冬香が声を上げると同時に、通信機から聞きなれた声が聞こえてくる
「どうやら間に合ったな、冬香」
「13!?」
そう、それは冬香の相棒、暗殺者13の声だった
冬香が救援を出した直後、他の暗殺者が動く前に
13は一早く冬香達の元へ駆けつけていたのだ
「お前!絶対安静だったんじゃ!?」
「問題ない。それより、お前はそのまま車を走らせて救援との合流ポイントへ向かえ」
「お前はどうするんだ!?」
「俺は・・・」
その時!13に車から蹴り落とされた271が、再度飛行し13に向かってきた!
「くそっ!くそっ!くそっ!テメェ!!!!!」
「・・・俺は、飛行する奴を叩く」
13はそう言うと同時に!
バシュッ!
道路脇のビルに向かってワイヤーを射出し、ビルの屋上へと向かって飛んで行った!
日が沈みかけた高速道路上空、その脇にそびえたつビルの壁面を蹴りながら13は駆け上がる!
そして13はビルの屋上へとたどり着くと、その勢いのまますぐに走り出す!
13は走りながら懐から二挺の拳銃を抜くと、そのままビルの端から・・・!
ダッ!!!
勢いを付けたままジャンプ!空中へ飛び出すと・・・!
バシュッ!ギュイイイイインッ!
今度は隣のビルにワイヤーを射出し、その勢いで空中を滑空!そして・・・!
「叩き落とす!」
「なっ!?」
ダンッ!ダンッ!
ビルの間を飛行する271に向かって、横から発砲しつつ突撃をしかける!
「舐めてんじゃねえぞ!」
だが!この攻撃を271は空中で加速し、難なく回避する!
「チッ!」
攻撃をかわされた13は、更にワイヤーによる空中機動で攻撃を仕掛けていく!だが!
「この俺相手に空中戦だと!?身の程ってのを教えてやるぜ!」
そう叫ぶと271が加速!
銃弾を間を縫うようにして13に向かって突撃してくる!
「ッ!!!」
ゴオッ!!!
間一髪!
13の身体のほんの数センチ先を、まるでミサイルの様に突撃してきた271が通過していく!
271の突撃を食らう直前に、13はワイヤーを巻き取り軌道を変えたのだ!
そして13はそのままビルの屋上へと退避する!
「逃がすかよ!」
すかさず13を追ってビルの屋上へ向かう271!しかし・・・!
「何ッ・・・!?何処だ!?」
ビルの屋上に13の姿はない!
「くそっ!何処に隠れた!?」
苛立った様に辺りを見渡す271!その時・・・!
タンッ!
「何っ!?」
ビルの屋上の給水塔の影から13が飛び出し!271にジャンプして斬りかかる!しかし!
「んな下手くそな奇襲が当たるわけねーだろ!」
空中を自在に移動できる271はあっさりとその攻撃をかわす!
だが!その瞬間!
グイッ!
「何っ!?何だ!?」
身体を引っ張られる感覚に振り向く271!
そこに見えるのは腕のワイヤーを握りしめた13!
そして、そのワイヤーが繋がっているのは271の右足首だった!
「これでもう飛び回る事は出来ないだろ?」
「こいつ!さっきの攻撃の合間に仕掛けてやがったのか!?」
すかさず!右手でワイヤーを引き寄せながら左手の銃で狙いをつける13!
「終わりだ・・・!」
そしてトドメの一撃を加えようする!だが!
「おいおい!こんなチャチなワイヤーで俺を捕まえたつもりか!?いいや!むしろ捕まったのはオマエの方だぜ!」
「何ッ!?」
その時!ワイヤーを抑えていた13の身体がズルズルと引きずられる!
「こいつ!このパワーは・・・!?」
「さあ!楽しい楽しい空中旅行の時間だぜ!?」
ドンッ!!!
その言葉と同時に271は一気に加速!13はワイヤーごと引っぱられ271の後ろを飛ぶ!
「くっ!」
ダンッ!ダンッ!
すかさず!13はワイヤーに引きずられたまま左手で銃撃を加える!だが!
「おっと!」
271は後ろから来る銃弾を難なくかわし、ニヤリと笑みを浮かべる!
「そんなに焦るなよ!今本当の空中ショーを見せてやる!」
その言葉と共に271は更に加速!
「なっ!?ぐっ!!!」
とてつもない加速Gに銃を構える事が出来ず、13は左手で顔を覆う様にして耐える!
「俺の本気のスピードを見せてやるぜ!」
その言葉と同時に!
シュウッ!バシュウッ!!!!!
辺りに轟音が鳴り響いた!271のスピードが音速を超えた証だ!
「ぐっ・・・!ぐうううっ!!!」
音速を超えた加速に生身で晒された13はただひたすらに耐える!
「あれ!見て下さい!」
「あれは!13!」
その時!合流ポイントに向かって高速道路跡を直進する冬香達の上を271と13が通過していく!
「どうだ!?空を飛ぶ感覚は!?ここからは曲芸飛行の時間だぜ!」
そして13を引きずったまま!271は滅茶苦茶に空中を飛び回る!
(マズイ!このままでは!!!)
空中を超高速で振り回されながら13は思考を巡らせる!だがその時!
ギシッ・・・!
13と敵接続者を繋いでいたワイヤーが軋みをあげ・・・!
「・・・ッ!!!」
そして・・・!
ブチッ!!!
負荷に耐えきれずワイヤーが切断された!
「くっ!?」
予期せず空中に放り出された13!その時!
ゴオッ!!!
13の右横からビルの壁が迫る!飛行能力を持たない13にビルの壁との激突を避ける手段はない!
だが瞬間!13は目を見開くと叫んだ!
「ッ!!!外部電脳起動!「硬化」!!!」
13が叫ぶと同時に13の右腕、鋼鉄で作られた義手が更に硬度を上げる!
13の外部電脳に搭載されたチップ、「ラオ・フーシェン」の能力だ!
そして13は強化された右腕でガードの構えを取ると・・・!
ドガァッ!!!!!
そのままビルの壁に激突!
硬化した腕でなんとか直撃を避けるが・・・!
ガガガガガッッッッッ!!!!!
凄まじい勢いに、壁面に叩きつけられた右腕の表面が削られていく!そして!
「くっ!無理か!!!」
バキャァッ!!!
無残な音を立て右腕の肘から先が吹っ飛んだ!
右腕を犠牲にし、なんとかビルとの正面激突は避けたものの、そのまま13は高速道路の路面へと落下していく!
「ハッハァ!そのままアスファルトに叩きつけられて潰れなぁ!」
ワイヤー射出機能を持った右腕を破壊され、今の13に地面との激突を避ける手段はない!だがその時!
「13ーーー!!!」
キキィッッッ!!!!!
猛スピードで飛び込んできた冬香の車がドリフトしながら13の真下に滑り込む!
「アイリ!頭を抱えて姿勢を低く!」
「ッ!!!」
冬香の言葉に対ショック姿勢を取るアイリ!そして次の瞬間!
ドガァッ!!!!!
強烈な衝撃に車の天井が大きくへこみ潰される!
13が地面に激突する寸前、冬香が車のボンネットで13を受け止めたのだ!
そして停止した車の中から、冬香が呟く様に問いかける
「・・・無事か?13?」
「なんとかな・・・。アスファルトに叩きつけられるよりはマシという程度だが・・・」
そう呟きながら、13はよろよろと車のボンネットから降りる。その時・・・!
ゴッ!!!
13の真横を圧縮空気の塊が掠め通り過ぎる!
「なっ!?」
そのまま圧縮空気は冬香の車のリアの部分に直撃すると爆発!
車を大きく吹き飛ばす!そして・・・!
「これはっ・・・!ぐっ!!!」
「きゃあああああっ!!!」
吹き飛ばされた車はスピンして道路の壁面に激突した!
「冬香!アイリ!」
壁に激突した車に向かって13が叫ぶ!
その時、バイクを降りた接続者、空気を操る能力の持ち主「M・406」が13の前に立ちふさがる!
「ふうーっ・・・ようやく追いついたぜ。これでもう逃げられねぇなぁ?」
「空気を使う方の接続者か・・・」
「ああ、その通り。そして・・・!」
ゴオッ!!!
その言葉と同時に!空気を裂く爆音が鳴り響く!
そして飛行する接続者、「N・271」が現れた!
「これで2対1ってわけだ!ハハッ!!!」
「・・・!」
砕かれた右腕と、目の前に立ちふさがる飛行能力と空気操作能力を持った2人の接続者!だが・・・!
(さて・・・。多少、骨が折れそうだな・・・)
切望的な状況を前に、13は左腕の銃を構えるのだった!




