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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
第四章:もう一人の死神が振るうのは断罪と言う名の鎌か
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再会の音は弾丸と共に

狙撃でタイヤを撃ち抜かれ急停止した車から降りる冬香と13

二人の前に立ちふさがったのは仮面を被った謎の人物だった!


「・・・冬香は下がっていろ」


そう言いながら臨戦態勢に入る13・・・!


「なんだアイツら・・・」

「おい、まさか接続者か・・・!?」


仮面を被った二人の男が放つ異様な雰囲気に、何事かと近くに寄って来ていた野次馬も異常事態を察知

巻き込まれる事を恐れ、すぐさま逃げ出していく


「あれが暗殺者殺し・・・」


そう言いながら、冬香は13の前に立つ男を観察し始める

身長は13より一回り高い180センチ程、頭髪は黒の短髪、恐らく男性

服装はフードのついた黒いロングコート、顔は仮面によって隠されている

その姿を見た冬香が思わず呟いた


「あれはまるで・・・」

「ああ、俺の物真似だな」


ソックリなのは服装だけではない

どこで調べたのか、仮面も13の被っている物とソックリの意匠

だが13の物とは違い、左半分が笑い、右半分は怒りを表している様に見えた


「お前が暗殺者を殺して回っている接続者で間違いないな?」


仮面の男に向かって問いかける13、だが・・・


「・・・」


仮面の男は無言のまま何も答えない、そして・・・


ガシャンッ!


仮面の男はその手に持っていたスナイパーライフルから手を離すと、無造作に地面に放り捨てる

そして両手を懐、コートの内側に差し込んだ


「・・・!?」


スッとコートの内側から男が取り出したのは、銃剣付きのハンドガン二艇!


「銃剣付きの二挺拳銃だと・・・?まさか・・・!?」


男の獲物を見て驚きの声を上げる13!

そして男は驚く13の前で左手の銃を額に当て垂直に、そしてその左手に右手を添え十字の構えを取った


「あの構えは・・・!13と同じ!?」


そう冬香が叫んだ、その瞬間!

ゾッとする様な冷たい殺気が13から放たれる!


「・・・姿形だけならいざしらず、俺の「銃術ガンアーツ」まで真似出来ると思うなよ」


押し殺す様に冷たい殺気を放ちながら、13も「十字銃術クロス・ガンアーツ」の構えを取った!


・・・・・・


そして辺りがシンと静まり返る・・・


「・・・」


互いに十字に構えたまま微動だにしない、そして・・・


「・・・ッ」


二人を少し離れた所で見守る冬香が、ゴクリと喉を鳴らした・・・その瞬間!


「!!!」


ダッ!!!


仮面を被った二人の男は同時に地面を蹴ると、突撃を開始した!






十字構えのまま突撃を開始する13と仮面の男!その時!


ダンッ!


仮面の男が突撃しながら13に向かって銃弾を放つ!


「・・・フッ!」


だが当然、その程度の弾が13に当たるはずがない!

13はそれをいともたやすく回避するが・・・!


ブンッ!


13が銃弾を回避した直後!間合いを詰めてきていた仮面の男が右手の銃剣を上から振り下ろす!


(弾丸を囮にして間合いを詰める、常套手段だな・・・)


だがこの一撃を読んでいた13は、左手を振り上げると銃剣で受け止めた!


ガキィンッ!


二つの銃剣がぶつかりあい甲高い金属音を立てる!

そして音が周囲に響き渡るのとほぼ同時に!13は右手の銃口を素早く仮面の男の頭部に向け!


ダンッ!


即座に発砲!


「・・・!」


しかしこれを仮面の男はのけ反る様にスウェー!銃弾を回避!そして!


「何ッ!?」


ゴッ!!!


真下から来た打撃を両腕をクロスさせ、すんでの所で受け止める13!

仮面の男はスウェーすると同時にそのままバク転!

その回転の勢いのままサマーソルトキックを放ってきていたのだ!


「くっ!」


打撃をガードした衝撃で13の足が一歩下がる!

それを見た仮面の男はバク転着地からすかさず!前方へ飛ぶ様に踏み込み左手の銃剣を13の顔面に向かって真っすぐ突き出す!

勢いよく13の目の前から迫るナイフ!だがその瞬間!


「舐めるなッ!!!」


ナイフが突き刺さる直前!これを回避しながら13が横に回転!

左手でバックハンドブローを放つ!


「あれは・・・!」


それを見た冬香が思わず叫ぶ!

そう、あれはバックハンドブローなどではない

以前にラオ・フーシェンとの戦いの時に見せた斬撃を囮にした銃撃!


(ガードするなら斬撃!回避するなら銃撃の二段構え!初見での回避は困難なはず!)


13が放った決定打に冬香がその手を握りしめる!だがしかし!


「何っ!?」


仮面の男はこの一撃をかわすのではなく、一歩だけ間合いを詰める!


ガッ!!!


腕の内側に入り、斬撃ではなく打撃の間合いに入った事により13の一撃をガード!


「チッ!」


ダンッ!


左手の攻撃をガードされた13は、その隙を補う様に即座に右手で銃撃を放つが!

銃撃を放つと同時に仮面の男の姿が13の視界から消える!


「消え・・・ッ!下か!!!」


仮面の男は13の銃撃を体を低くして回避!

それと同時にそのままコマの様に回転すると足払いを放つ!


(ガード!いや!)


瞬間!足払いを放つ男のブーツに取り付けられていたナイフが13の視界に入った!

このままガードをすれば脚部に斬撃の直撃を受け機動力に大きな影響を被る事となる!しかし!


ブンッ!


それを即座に見切った13は、地面スレスレを薙ぎ払うかの様な足払いを空中に飛んで回避!

そして即座に反撃の態勢に入る!


(背中を向けたその瞬間が命取りだ!)


空中に飛んだ状態で、背中を向けた仮面の男に銃口を向けようとする13!

だがその瞬間!ゾクリと13の背筋に冷たい緊張が走る!


スッ・・・!


その時!なんと13が銃口を向けるより速く!

まるでこの展開を最初から予想していたかの様に、仮面の男は両手の銃を「自分の真後ろ」に向けていた!


(マズイ!さっきの蹴りは罠!かわされる事を前提とした打撃!本命は・・・!)


ダダンッ!


間を置かず!13に向かって放たれる2発の銃弾!


(こちらが蹴りを回避し地面から離れた瞬間!空中で動きを制限された相手を追撃する為の背後への銃撃!!!)


身動きの取れない空中!目の前から迫る2発の銃弾!しかし!


「チィッ!!!」


13は空中で無理矢理体をねじると肩に向かってきていた1発の弾丸を回避!そして!


キンッ!!!


頭部に飛んできていたもう一発の弾丸を被っていた仮面の上で滑らせ、そらせる様に受け止めた!


「13!!!」

「くうっ!!!」


空中で体勢を崩した13はそのまま縦に回転すると左手を地面につきバク転!


ダンダンッ!!!


すかさずその13に対し、背中を向けたまま更に追撃を放つ仮面の男!

背中を向けているにも関わらず正確無比な射撃!

だが13はこの銃撃を更にバク転を繰り返し回避!間合いを離し体勢を立て直す!そして!


バッ!!!


二人の男が回転すると、ほぼ同時に正面を向き銃口を相手に向けた!






辺りがまたシーンと静まり返る、睨み合ったまま動きを止める二人

激しい「動」の後に訪れた「静」

その時、二人の戦いを固唾をのんで見守っていた冬香がフッと息をつく


(凄まじい・・・、正直何をしていたのか速すぎてほとんど見えなかった・・・だが・・・)


パキッ・・・!


その時、13の仮面に付いていたヒビ割れが音を立てて縦に広がると、仮面が真っ二つに割れて地面に落ちた

ガシャンッ!と音を立てて粉々になる仮面、だが二人は互いに銃口を向けたまま微動だにしない


・・・・・・


ほんの数秒のうちに繰り広げられた激しい攻防

二人の男はほぼ互角の様にも見えた、だが・・・


(仮面一枚・・・!)


そう、仮面一枚程のほんの僅かの差

だがそのほんの僅か、相手の力量は13を上回っている様に思えた


(どうするんだ・・・!?13・・・!)


心配そうに13を見守りながら、状況を好転させるべく考えを巡らせる冬香

だがその時、13の思考は全く別の事へと向けられていた


(今の攻撃・・・間違いない・・・)


先程の足払いからの銃撃、空中で体をねじらせる事によって咄嗟に回避する事が出来た・・・だが


(あれは「知っていた」からだ・・・。空中に飛んだ瞬間追撃が来る事を「体で覚えていた」からだ・・・)


攻撃の方法、タイミング、回避方法

その全てを13は無意識の部分で覚えていた、だから咄嗟に回避出来たのだ


(足払いを放つと同時に背後への銃撃・・・アサルトパターン「35(スリーファイブ)」。間違いない・・・コイツが使っているのは本物の「十字銃術」だ・・・!)


決して偽物などではない

ほんの数秒の攻防だったが見間違えるはずがない

間違いなく、目の前の男は同じ施設で共に「十字銃術」を修めた孤児達の一人だ・・・そして


(そうだ・・・忘れるわけがない・・・。このアサルトパターンは「アイツ」が得意としたパターン・・・)


その時、13がスッと男に向けていた銃口を下ろした


「なっ!?13!?」


動揺する冬香を他所に、13は呟く様に仮面の男に向かって言った


「「カズヤ」・・・なのか・・・?」


その言葉を聞いた仮面の男は無言のまま答えない

その場で立ち尽くすだけだった、だが・・・


「・・・フッ」


しばらくして、男は仮面の内側でニヤリと笑みを浮かべると13に向けていた銃をスッと下ろした

そして・・・その顔を覆っていた仮面を外す


「・・・ッ!!!」


仮面の下の素顔を見た13の目が驚愕に見開かれる


「よお・・・?久しぶりだな・・・「カズミ」」


そんな「カズミ」に向かって、「カズヤ」は微笑を浮かべながら懐かしそうに・・・

5年ぶりの再会を慈しむ様に笑いかけるのだった

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