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トーキョー・アサシン 隔離都市東京特別治安維持課  作者: 三上 渉
最終章:世界を殺す、最後の暗殺者
100/105

そして再び、死神は現れる


「ナンバー・「1」!!!!!」

「サーティィィィィンッ!!!!!」


咆哮を上げながら突撃する「13」と「1」!

その時、前方に向かって走りながら「1」が能力を発動させる!


「「外部電脳デバイス」起動・・・! 「氷結フリーズ」!!!」


パキパキと空気中の水分が凝固する音と共に「1」の周囲に氷の槍が形成される!

そして「1」が「13」に狙いを定めたと同時に、氷の槍が一斉に「13」に向かって襲い掛かった!


「ッ!!!」


前方から飛んでくる氷で出来た槍

直径は野球のボールと同程度で長さは30センチ程、本数は8本

一撃でも貰えば致命的なダメージを負う事になる


(回避・・・!)


槍を躱すべく、すぐさま回避行動に移ろうとする「13」

だがその時・・・! 「13」の両目が輝きを強める。そして・・・


(大丈夫だよ、おにーさん。あんなの避ける必要ない!)


意識に直接響いた声

「13」は一瞬だけ驚きを見せるが、すぐにその声の意味を理解すると首を縦に振る。そして・・・!


「ああ、頼む・・・! 「根源接続リンクオリジン発火能力ファイアスターター」!!!」


瞬間!

ゴオオッ!!! と、「13」を守る様に炎の竜巻が発生する!


「何ッ!?」


「1」が放った氷の槍は、勢いよく噴き上がる炎の壁によって一瞬で蒸発した!


「「発火能力」だと!? 「外部電脳」か!? だがこの威力は・・・!?」


「13」は能力者としては低ランクのはず

だが今発動した「発火能力」は低く見積もってもAクラスのそれに値する!


(これは、あの白髪の女の力か!?)


予想外の事態に動揺する「1」!

そしてその動揺により「1」の動きが一瞬だけ鈍った・・・瞬間!


「詰めたぞ・・・! 「銃術ガンアーツ」の間合いだ・・・!」

「ッ!?」


氷が蒸発した水蒸気に紛れ、「1」に肉薄する「13」!

そして間合いを詰めた「13」はすかさず、「十字銃術クロス・ガンアーツ」を仕掛けた!

「斥力場」を失った今、「1」の身を守る壁は存在しない! だが・・・!


「くっ! 舐めるな!!!」


キィンッ!!!


「13」の繰り出した銃剣による斬撃を、その手のナイフで弾く「1」!


元最高位の暗殺者である「1」は、近接戦闘の技量もトップクラス!

「13」の放つ高速の連撃をナイフ一本で捌ききる!


(チッ・・・! 押し切れない! やはり今の右腕の状態で「十字銃術」は無理か・・・!)


本来の「十字銃術」であれば、あるいは「1」に届いたかもしれない

しかし、今の「13」の右腕は数々の損傷により反応速度が大幅に低下していたのだ


「だが・・・! 当たりさえすれば!!!」


「13」が右腕の銃剣で刺突を繰り出す! だが・・・!


「フンッ! その程度か!」


その一撃に対し「1」は左手のナイフの刃を合わせると、渾身の力ではじき返す!


ギィンッッッ!!!


「くっ!!!」


力負けした「13」が体勢を崩す!


「もらったぞ!」


すかさず!

「1」は右手で懐からもう一本のナイフを抜くと、「13」に向かって斬撃を仕掛けた!


「殺った!!!」


狙いは首の頸動脈!

「13」の防御は間に合わない!


勝利を確信しニヤリと笑みを浮かべる「1」! だが次の瞬間・・・!


キィンッ!!!


「なっ!? 何っ!?」


必殺の一撃を防がれ驚愕の声を上げる「1」!

完璧なタイミングで放たれたはずの「1」の攻撃、それを防いだのは・・・!


「幻影・・・まさかこれは!?」


そう、「1」の攻撃を防いだのはその手に刀を持った男の幻影!


「「記録レコード」だと!?」


そして、「13」に新たな意思が「接続」する!


(行け、死神。この力を護国の為に・・・!)

「分かった・・・! 使わせてもらうぞ、「9」!!! 「根源接続・記録」!!!」


瞬間! 幻影による斬撃が放たれる!

そしてそれに呼応する様に幻影との同時攻撃を仕掛ける「13」!


「なっ!? 馬鹿な!!! 「9」のチップなど存在しないはず!?」


幻影と「13」の同時攻撃を捌ききれず逃げる様に間合いを離す「1」!!!


「「外部電脳」の力ではないのか・・・!?」


間合いを離しながら能力によって攻撃を仕掛ける「1」! だが・・・!


(こんな攻撃当たるもんかよ! な! にーちゃん!)

「ユウヤ・・・! 「根源接続・遅延ディレイ」!!!」


「1」が放った攻撃は全て回避され、「13」の後方へと消えていった!


「何だコイツは!? 一体これは!?」


ありとあらゆる能力を駆使し「1」を追い詰めていく「13」!

その異様な光景に「1」はその表情に焦燥の色を浮かべる!


「まさかこれは・・・!?」


「外部電脳」の力ではないなら、答えは一つ

今「13」に繋がっているのは・・・!


「オリジン・・・!!! まさかコイツがオリジンと「接続リンク」しているというのか!?」


それ以外に考えられない

「13」は今オリジンと直接「接続」し、そこから能力を引き出しているのだ! だがその時・・・!


「・・・ふざけるな!!!」


追い詰められていた「1」の表情が焦りから怒りへと変わっていく!


「貴様の様なイレギュラー如きにオリジンが応えただと!? そんな事あるはずがない!!!」


その叫び声と共に激しく輝く「1」の瞳!

そして巨大な瓦礫が宙に浮かびあがり・・・!


ゴォッ!!!


次の瞬間! 「13」を押しつぶす様に飛来する!!!


「回避・・・! いや!!!」


だがそれに対し! 「13」は両腕の銃をホルスターに仕舞い正面から突っ込む!


(それでいい、修羅よ! 使え! 吾の技を!!!)


そして飛来する瓦礫に正面から相対しながら、「13」が地面を思いきり踏みしめる!


ビシィッ!!!


それは震脚!

そしてそのまま腰を落とし拳法の構えを取り能力を発動・・・!


「「根源接続・硬化スクローシス」・・・!!!」


瓦礫に向かって「13」の硬化された左拳が放たれた!


ドォンッッッッッ!!!


「13」が放った発剄により巨大な瓦礫が砕け散る!

その光景に唖然とした顔を浮かべる「1」


「能力だけではない・・・!? 死者の魂が奴に力を貸しているとでもいうのか・・・!?」


そして! 「13」が「1」に対し最後の攻撃を仕掛ける!!! しかし・・・


(状況は優勢・・・! 次で仕留める・・・! だが・・・)


このまま攻撃を仕掛ければ、自分は確実に敗北する

そう、「1」にはまだ「神令ゴッドオーダー」が残っている


(奴に勝利するには、奴が最善を尽くしていない時。「奴が油断している瞬間」を狙って一撃で仕留める必要があるという事)


「4」の言っていた言葉を思い出す「13」、しかし・・・


(問題ない・・・。奴を「必ず」殺すプランは出来ている、後は実行するだけだ)


「13」はそう心の中で覚悟を決めると、「1」に向かって突撃を仕掛ける!


「おおおおおっっっっっ!!!」

「ちいっ! 鬱陶しい!!!」


それを迎撃する様に「1」が能力を発動!

見えない真空の刃! 「真空刃ソニックウェーブ」だ!!!


「ッ!!!」


瞬間!

「13」が「1」に向かって右腕を突き出しグレネード弾の発射体勢に入る! そして・・・!


ボシュッ! ザンッ!!!


グレネードが発射された直後! 「真空刃」が「13」の右腕に直撃!

切断された「13」の右腕が宙に舞う! そして!


ボシュゥゥゥゥゥッ!!!!!


「13」が放ったグレネード弾から勢いよく煙が噴き出した!


「スモークグレネードか! 小賢しい!!!」


そう叫び声を上げると「1」は神経を研ぎ澄ませ周囲を警戒する!


(来る! 奴の最後の攻撃が・・・!)


その時! 「1」は後方から接近してきた気配を感知!


「そこだ!!! 「13」!!!!!」


磁力制御マグネティック」を発動!

後方に向かって無数の金属片を散弾の様に撃ち込む!


バシュッ!!!


それと同時に煙幕が一部晴れ、「13」の姿が映る!

「1」の視界に映ったのは、「磁力制御」の直撃を受け、全身を無数の金属片に貫通された「13」の姿!


「ぐっ!!! がっ・・・!!!」


全身から血を噴出しながら、「13」の身体がガクリと崩れ落ちる!


「仕留めた・・・!!!」


そして「1」が勝利を確信した・・・その瞬間!


ズプンッ・・・!


それは足元に残った煙幕の中、「1」の死角・・・


(「根源接続・シャドウ」・・・)


倒れ込んだ「13」の身体はそのまま自らの影の中に「沈みこんだ」。そして・・・!






一切の音も、気配も感じさせず


「1」の背後に亡霊の様に立つ暗殺者


その肉体も心も、この瞬間・・・


相手を殺すこの瞬間だけは、ピクリとも動く事はない


そして彼は殺気すら放つ事なく、自動的にその手のナイフを「1」の心臓に向かって突き出した






「なっ・・・」


まるでトンと軽く背中を叩くかの様に自然に

その刃は「1」の身体を貫いていた・・・!











「なっ・・・!? 馬鹿な・・・!?」


背後から自身の身体を貫いた刃の存在に驚愕の声を上げる「1」

そう、彼の誤算。それは・・・


(私の「磁力制御」は確実に「13」を捉えていた・・・。だが、それはわざとだ。奴はあえてあの攻撃を正面から受けたのだ・・・)


「13」の身体を貫通した金属片は16個

しかしその全てが、「13」の急所を僅かにそれて貫通していた

もちろん、それがただの偶然のはずがない


(「絶対回答アンサー」だ・・・)






そう、あの瞬間

「1」の背後に周りこんだ「13」は「1」の攻撃をあえて食らう覚悟を決めていた。だが・・・!


(この一撃で俺は自身の敗北を偽装し、奴に最後の攻撃を仕掛ける。0.1%でも生き残る可能性があるなら、それはつまり100%成功するという事。そうだろう? 「4」)


「13」は「絶対回答」を発動させた状態で攻撃を受け生き延び

そのまま地面に倒れると同時に「影」を発動させ、「1」の背後に回り込み

「1」に対し必殺の一撃を放ったのだった






それはほんの僅かな一瞬だったのだろう

だがそのほんの僅かな一瞬、「1」は「油断」し「13」は「暗殺」を成功させた

「1」の油断により「神令」は発動する事なく、「13」は「1」に勝利したのだ


そう、思われた・・・


「クッ・・・クックックッ・・・!」


その時、ナイフによってその身体を貫通されたまま「1」が笑みを浮かべる


「フッ・・・まさか、「4」だけではなく貴様如きに遅れを取るとはな・・・」


その笑みが意味していたのは確信だ

「1」のその笑みは、勝利を確信した者の笑みだった


「だが悲しいかな。「4」が育て上げた暗殺者「13」、お前は最後の最後でミスをした」

「・・・」

「お前は事もあろうに、「4」が私を倒した時と同じ一撃を放ったのだ」


そう、「13」が「1」に放った背後からの刺突

それは奇しくも「4」が「1」に放った攻撃と全く同じだったのだ


「弟子は師に似るという事か? だがまあ理由はいい。重要なのは、お前の攻撃は私にとって「二度目」だったと言う事だ」


師である「4」と同等、「13」が放った致命の一撃

しかし同じだったからこそ、「1」はそれをギリギリのタイミングで察知する事が出来た


「ほんの僅かに・・・急所をズラすのが精一杯ではあったがな・・・。しかし・・・」


そして「1」はニヤリと笑みを浮かべながら告げる


「私は油断しなかった・・・。最後の最後の瞬間、私は最善を尽くしたのだ・・・! つまり・・・!!!」






ガシャンッ!!!!!


その時! まるでガラスが砕け散る様な音と共に世界が砕け散った!!!


「ハハハッ!!!!! そう! 「神令」は今発動した!!!!!」

「ッ!!!」


「4」の記憶にあった通りの光景に息をのむ「13」!


世界が砕け散り、新たな世界がやってくる!


だがそれは、因果が逆転した世界!

「1」の敗北が消え去り、勝利へと塗り替えられた世界だ!


「さあ! 終わりだ!!! 「13」!!!!!」


光が辺りを覆い、新たな世界が構築される・・・!!!

そして・・・!!!






「がっ・・・!!!!!」


世界が再構成された次の瞬間! 「13」はその胸から血を流しながら吹っ飛んだ!


ドンッ!!!


「ぐふっ・・・!」


ビルの壁に激突した「13」!

そしてそのまま、「13」の身体は壁に寄り掛かったままずるずると崩れ落ちる・・・!


「・・・」


胴体からどくどくと流れる血液

それは先程「1」に与えた攻撃と同じ個所、そして・・・


「フッ・・・フッフッフッ!」


「13」の視界には、逆に無傷となった「1」の姿があった・・・!


「ハッハッハッ・・・!!!」


笑い声を上げながらゆっくりと近づいてくる「1」


「・・・ぐっ」


だが「13」その場から1歩も動く事が出来ず

成すすべなく近づいてくる「1」に対し視線を向けるだけだ


「「10人目の資格者」、「根源接続」。ああ、貴様はとんだイレギュラーだった様だ。認めよう、お前こそが私にとって最大の脅威だったのだろうな」


「13」に向かって歩きながらそう告げる「1」

そして・・・!


「だが!!! 私は勝利した!!! 神はやはり私の運命を選んだのだ!!!」


「1」は両手を広げ、天からの祝福を浴びる様に声を上げた


「そうだ! 私にこの世界を救えと!!! 救世主になれと!!! これが神の意思なのだ!!! ハッハッハッ!!! ハッハッハッハッハッ!!!!!」


狂気に満ちた笑い声を上げる「1」

そう、もはやこの男を止める事が出来る者はこの世に存在しない

「1」はオリジンを巡る戦いに勝利したのだ


「・・・さて。貴様の傷、もはや放っておいても死ぬのは時間の問題だが。これはケジメだ。この手で貴様にトドメを刺し、新たな世界の到来を祝福するとしよう」


ナイフを手に、ゆっくりと「13」に向かって歩く「1」・・・

「13」はその場から一歩も動けず、それをぼんやりと眺めるだけ・・・


そして「1」がその手のナイフを振りかざし・・・!!!


「これで終わりだ!!! 今!!! 世界を救う真の「接続者」が降臨したのだ!!!」


バッと鮮血が舞う

赤い血がボタリボタリと地面に落ちていた

その血を見ながらその男は・・・


「な・・・に・・・?」


「1」はガクリとその場に膝を付いた・・・!











地面を濡らす赤い鮮血、その血は「1」の口元から流れ出していた

「13」の元へ歩いていく途中、「1」は突然口から血を吐き出し倒れたのだ


「な・・・何だこれは・・・? 血だと・・・? 何故私が血を吐いている・・・? 身体にダメージは一か所もないはずだ・・・?」


自身のおかれた状況が全く分からず困惑の声を上げる「1」


「それに何だ・・・!? めまいがする・・・!? 足に力が入らない・・・!? 何なのだこれは・・・!?」


息を荒げながら叫ぶ「1」に対し、「13」は血を流し倒れたまま告げる


「・・・古来より、最も暗殺に使われてきた武器。それはナイフでも、ましてや銃でもない・・・それは・・・」


その時、地面に膝を付いたまま「1」が叫び声を上げた


「・・・これは「毒」か!!!」


そう、「1」の身体を蝕んでいた物の正体!

それは毒だった!!! しかし・・・!


「馬鹿な・・・ありえん! 毒を打ち込む様な機会は全くなかったはず・・・!」


それは「あり得ない事」なのだ

何故なら・・・


「それに万が一気付かれずに毒を打ち込んでいたとしても、「神令」によって奴に毒が返っていくはずだ! そう、確かに因果は逆転したのだ! なのに何故・・・!?」


その時、「13」はボソりと呟く


「傷がなかった・・・」

「何・・・?」

「そう。「4」の顔には傷がなかった・・・」


それは「接続」によって見た「4」と「1」の戦い

「4」が最後の攻撃を仕掛けに行った時・・・




「4」は「1」の刺突を紙一重で回避!

「4」の頬に一筋の傷が走る!




あの時、「4」は頬に傷を負っていた

しかし「13」が「4」の最後を看取ろうとしていたその時・・・




「13」は「4」の傷一つない顔に自らの顔を近づけた




「4」の頬の傷は跡形もなく消え去っていたのだ


「「4」の傷は消えていた・・・。傷は何処へ行ったのか? 俺にはずっと見えていたが、お前には見えなかった様だな・・・」

「ッ!!! まさか!?」


叫び声を上げると、「1」は咄嗟に自分の頬をなぞる

そこにあったのは、一筋の傷・・・!


「因果を逆転させる、それがお前の能力だ。つまりお前の負った傷が俺に移動した様に、俺の負った傷はお前に移動するという事になる。その傷がその証明だ」

「ではまさか・・・! この毒は・・・!?」

「俺達暗殺者が自害する時の為、口の中に仕込んでいる毒だ。遅効性の毒だが、二人分ならそれなりに速く効果が出る様だな。念の為言っておくが、解毒薬なら持っていない」


そう、「4」との最後の口づけ


(「餞別」じゃ、持っていけ・・・)


その時「13」の意図を読み取った「4」は、自身の毒のカプセルを口移しで渡していた

そして「13」は「1」に最後の攻撃を仕掛ける直前、そのカプセルをかみ砕き毒を飲んでいたのだ


だがその時、「1」が疑問の声を上げる


「だが・・・! それではもし私の「神令」が発動しなかった場合・・・! 貴様は貴様自身の毒で死んでいたはず・・・!」


そう、「13」の行動は何かがおかしい

決定的に重要な物が一つ抜け落ちているのだ


だがそんな「1」の疑問に対し、「13」はあっさりと答えた


「言っただろう? 資格者だの世界だの救世主だの関係ないと。俺の狙いは最初からお前を「殺す」事だけ、勝つ事じゃない・・・」

「な・・・に・・・?」

「俺はお前の能力が発動しようがしなかろうが関係のない、確実に殺せる手段をとっただけだ・・・。お前の能力が発動しなければナイフで、発動されたならば仕込んだ毒で・・・。そして・・・そこに俺の命は最初から計算に入っていない」

「では・・・貴様は最初から・・・!!!」


そう、つまり「13」の狙いとは・・・!


「「相打ち狙い」だ・・・。俺の命を使い、お前を「必ず」殺す。俺は最初から、お前を「道連れ」にする為にここに来た」

「ば・・・馬鹿なぁぁぁっっっ!!!!!」


驚愕の声を上げる「1」・・・!

だがそれと同時にビシャリと口から大量の血を吐き出す!


「うぐっ・・・!!! こ、こんな馬鹿な・・・!!! 私の「神令」は・・・!!! 神は私に勝利の運命を与えてくれるはずなのだ!!! 私は神に選ばれているのだ!!! こんな事あるはずが・・・!!!」


あり得ないと叫び声を上げる「1」

しかしそんな「1」の言葉を「13」の言葉が遮る


「神に選ばれているだと・・・? 笑わせるな。お前は選ばれてなんかいない、お前は誰かの命をかすめ取って生きてきただけだ・・・。「神令」など最初から存在しない。お前の能力はただ、勝者の運命をイカサマで掠めとるだけの能力だ・・・」

「なっ・・・!?」

「だが、今この場にお前が掠め取れる勝者の運命なんて物は存在しない。ここに居るのは敗者だけ・・・。ここで死ぬんだ、俺もお前もな・・・」

「貴様ぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!」


怒りの形相でナイフを振り上げる「1」!

だがその手から力が抜け、ナイフが地面へと落ちる!

そう、すでに「1」の毒は全身に回っていたのだ!


(だ・・・駄目だ・・・! このままでは・・・!)


かつてない危機的状況

それに対し「1」は生き延びる為の最善策を取る、それは・・・


「逃げる・・・。そうだな、それしかない・・・」


そう、「1」はふらつく身体を無理矢理動かしこの場からの撤退を選択したのだ


(くっ・・・! クソッ!!! だが今はこれしかない! なんとか解毒薬を・・・! いや、「神令」を発動させて誰かにこの毒を移せば・・・!)


「13」に背を向けその場から逃げ出そうとする「1」。しかし・・・


「逃がしはしない・・・。そう、お前はもう逃げられない・・・」

「何・・・?」

「見ろ・・・。死神は今・・・お前に追いついた・・・」


「13」の視線の先、そこに立っていたのは・・・!!!


「見つけたぞ・・・ナンバー・「1」!!!!! 今こそ・・・父さんの仇を討たせてもらう!!!!!」


その心に憎悪を宿した女

父の仇を取る為にその人生を捧げてきた、復讐鬼・・・!

霧生冬香の姿だった・・・!!!

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