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策士

「そなたらは、親しい…と言うか、仲が良いのか?」


まあ、スティール様とは小さい頃からの付き合いですから、

親しい事は親しいですよ。

アンドレア様よりもずっと仲がいいです。


「はい、私がアンドレア様と婚約した時から、スティール様の事は存じておりますから。

あの頃のスティール様は、まるで天使のようにお可愛くて、私の後をいつも慕って追って来て下さって……。

それが今はもう、このように私の背を超えるとは。

本当に、知らぬ間に立派に成長なされて……。」


じきに19歳になる私は既に成長が止まったようで、この1年間は背が伸びた様子がない。

それが15歳のスティール様が私の背を超えるとは。

生意気だわ。

ちっ!


「でもまだ15歳だと言うのに、スティール様はいつも私の事を助けてくださったり、慰めて下さいました。

とても思いやりのある人になって……。

きっと良き指導者となる事でしょう。

このように素晴らしい方に成長されて、陛下もさぞ誇りに思われているのでしょうね。」


「そうかそうか。なるほど。

ジュリエッタ嬢は、それほどまでにスティールの事を気に掛けていてくれたのか。」


「ええ、スティール様を幼少の頃から知る私にとって、彼はいつまで経っても私の可愛い弟のよう……。」


「父上、私も幼き頃から、ジュリエッタ嬢の事を見て参りました。

そして、彼女ほど可憐で美しい方はいないと思っています。」


ちょっと、私が話している途中でしょ。

マナー違反ですわよ。


「うむ。その通りだな。」


「先ほども言いましたが、ジュリエッタ嬢は美しいだけではなく、心根も優しく、王太子妃となるべく努力をされただけあって、教養にも溢れております。」


「確かに。

彼女は王太子妃となる為に生まれてきたような女性かもしれぬ。」


「その通りです。

これはジュリエッタ嬢の前で言うのは、いささか恥ずかしいのですが、

実は私は幼き頃から私はジュリエッタ嬢に憧れて来ました。」


……………………(汗)。


「しかし、ジュリエッタ嬢は兄上の婚約者。

私には手の届かない高嶺の花と、諦めて参りました。」


…………………(冷汗)。


「ですが、今は兄上とジュリエッタ嬢は婚約を解消された。

兄上はミレニア男爵令嬢と結婚なさる。

今の私は心の底から、喜びにあふれております。」


なっ、何を言い出すの~~。

こんなに大勢の人がいる前で。

お願いだから、馬鹿な事を言い出さないで――――。


「ほーほー、成程な………。

して、ジュリエッタ嬢。

そなたはこのスティールの事をどう思っているのじゃ、

幼き頃から見知ったスティールの事は嫌いか?」


好きか嫌いかと言われたら、好きだけど、

だけど、その好きは好きの好きじゃなくて、

あ―――、だから陛下が言いたいのは愛しているかどうかが聞きたいんでしょ!


「陛下、もしや陛下は私とスティール様が、愛……。」


「父上、このような人目の多いい所で、ジュリエッタ嬢にそのような話は酷です。

彼女が恥ずかしがるでは有りませんか。」


ちょっと待った――。

そんな誤解を招くようなセリフは吐かないで―。


「確かに私はジュリエッタ嬢より年下で、頼りないと自覚しています。

しかし、兄上と婚約破棄した以上

これからは、ジュリエッタ嬢に相応しくなるよう精進していきたいと思っております。」


………スティール様、あなたは本当に15歳のお子様ですか?

大体にして、話の方向性があらぬ方に向いているんですが……。

私の気持ちはそっちを向いていません~~~~。

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