言質
初めて伺ったグレゴリーのおじい様のお屋敷では、
おじい様と、こちらのご家族が待っていてくれた。
「初めまして。
私はジェフ・エトワール。
あなたの母の弟にあたります。
それから、妻のミランダと、息子のフィル。
その弟のグレイグと、娘のキャシディーです。」
「初めまして、ジュリエッタです。
この度はお招きありがとうございました。
しばらくお世話になります。」
それから、お付きの3人ですと、ルイ―ザ達を紹介した。
最もローナたちは、おじい様と顔見知りでしょうけど。
やはり姉弟だけあって、おじ様はお母様にどことなく似ている。
おば様に当たるミランダさんは、メチャべっぴんさんで、
つまり3人の子供も、整った顔立ちをしていた。
もっとも子供と言っても、年は私と大して違いそうもないけど。
「初めましてジュリエッタ。
僕は長男のフィル・エトワール、24歳、独身です。」
なるほどなるほど。
「僕は次男のグレイグ、20歳、同じく独身です。」
はい、私もまだ独身です。それが何か?
「私はキャシディーよ。
年は16歳。
よろしくお願いします。」
一番下の彼女も、愛らしい笑顔で自己紹介をした。
ホント、可愛らしいわ。
「よろしくお願いしますキャシディーさん。」
「どうかキャシディーと呼んで下さい、お姉様。」
いきなりの、お姉様発言。
まあいいか、可愛いから許す。
奥様は、どうやら恥ずかしがり屋さんのようで、
はにかみながら、自己紹介をしてくれた。
お母様とは大違いだなぁと思った。
多分、私とのつながりがある親戚は、沢山いるのだろうけど、
おじい様が気を使ったのだろう、
私のお披露目は家族だけだった。
そうれから年かさの近い者の方が気を使わないだろうと、
子供達(?)だけで屋敷の中を案内してもらった。
(ローナもお付きとして一人だけ付いて来た。)
そして分かったこと。
この上の二人はあれだ、スティールに繋がる物がある気がする。
人種がスティールに似ている。
きっと同種だ、要注意人物だな。
…………。
そう言えば、あれからスティールはどうしたかな。
ここを訪れ無いと言う事は、そのまま国元に戻ったのか…。
開放されたと言う思いで、私は安心感で満たされている半面、
ほんのちょっぴり物足りない、空虚な気持ちがする。
この気持ちは一体何だろう。
今までの緊張感の反動だろうか。
まあいいわ、とにかく私は自由だ。
「このお部屋は、おじい様がお姉さまにと用意したお部屋です。」
一つの扉を開け、キャシディーがそう言う。
部屋の主色は淡い水色。
パッと見は男子の部屋に見えそうだけど、
中には巧みにピンクが織り交ざり、
やはり女の子の部屋に見える様にしてある。
きっとおじい様に、私は本当は水色が好き。
そうお話したのを覚えていてくれたのだろう。
「でも、私は余りここに留まらないのに、
部屋まで用意していただくなんて………。」
「えっ、お姉様は帰ってしまうの?」
「ええ、お仕事が有りますからね。」
「そんなにお若いのにお仕事を…。」
キャシディーはそう言いながら、自分の兄達をちらっと見る。
「キャシディー、俺達だって仕事をしているぞ。」
「あら、何の仕事をしているの?」
「父上に就いて、領地や伯爵としての仕事を学んでいる。」
ほほぅフィルさん、あなたその年で、
実際に仕事をなさっているのではなく、学んでいるですか。
やはりスティールに似てますね。
甘ちゃんすぎます。
「だって、パーティーだ何だって、遊び歩いてばかりいるって皆言っているわ。」
「パーティーだって伯爵としての仕事の一環だ。
誰がそんな事を言っている。教えろ。」
確かにそうかもしれないけど、そう詰め寄られては、キャシディーがかわいそうだ。
そう思ったが、キャシディーも負けてはいなかった。
「お父様は、いくらパーティーの翌日で疲れていようとも、
お仕事には必ず行かれます。
お兄様達の様に、頭が痛いだ疲れただの言わず、
しっかりとお仕事をされています。」
なるほど、ろくでなしか。
これは叩き直す必要が有るのだろうけど、
時間が無さすぎる。
「実は私は、国で教室を開いておりますの。
もしよろしければ、一度ご覧になりませんか?」
「あなたが経営なさってるんですか?」
「ええ、一応代表は私となっております。
紳士淑女を育てる場所ですの。
でも、色々な方のお力を借りて、成り立っておりますのよ。
講師の方も様々で、とても勉強になりますの。
そうだわ、短期間でも経験されてみませんか。」
「あなたにお世話になるのですか?」
「はい、私を始めとして、ここに居るローナと、とても有能なルイ―ザや
スカーレットと言うとても見目麗しい方もいらっしゃるのよ。
ちなみにルイ―ザとローナも独身です。」
「そ、それはぜひ教えていただきたい。」
「はい、喜んで。」
言質は取りました。
では、特別レッスンで私だけじゃない、
ルイ―ザやローナにも得意分野でじっくり教えて貰い、
スカーレットにも、秘書代わりに使ってもらってぇ、
スパルタで経営や経済を叩き込んでもらいましょう。
あなた達は、実家で可愛い可愛いで育てられた口でしょう?




