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講義に抗議

予定は週に3回の授業。

そして、第二回目に当たる今日は、予想通り6人の生徒が集まった。


新入生は、ララ・クリスティーという女の子。

それと驚いた事に、二名の男子がいた。

さすがに男子にカーテシーをさせる訳には行かないと、

急遽ダールさんにお願いして、ボウ・アンド・スクレープを彼達に教えてもらう。 

そのしぐさに、やはり女性陣からは感嘆の声が上がった。

でも、スカーレットが承知したなら仕方が無いけど、

この教室の名を変えなければいけないだろうな。

男子がいる以上、レディー養成講座はまずいだろう。


少年たちの名は、ノエル・ケアードとウイル・スペンス。

共に15歳と言う子達に、いつも通りの自己紹介をお願いをした。


ララの父親は大きな船を所有して、色々な国を回っているらしい。

いわゆる貿易商だ。

次のノエルの家は古くからの地主だそうで、彼も一人っ子。

少し気になる事は、どうやら幼い頃から俺様タイプに育てられたようだ。


「僕の名はウイル・スペンスと言います。

祖父母と両親、それと兄弟は姉が二人と弟が一人います。

家業は農家をしています。」


それを聞いた途端、ノエルが”何だ、農民か”と、

いかにも見下したような言い方をした。

資料を見ると、確かに農家では有るが、何人もの人を雇い、

大規模な農園をしているとの事。

まあその事を知らないとはいえ、ノエルの態度は眉を顰めるところが有る。


「ノエル、黙りなさい。

今はウイルの発言の場です。

それを途中で遮ってまで発言することは許しません。」


「だって俺は、古くから続く地主の息子だぞ、

それをただの農民に気を使う事は無いじゃないか。」


「それは関係ありません。

今はマナーの事を言っているのです。

この教室に通う限り、それは何が有っても守っていただきます。」


「何だと、たかが女が俺に逆らうとは、親父に言い付けてやるからな。」


おお~、言いつけるなら言いつければいい。

あんたみたいな子に何を言われても、痛くも痒くもないわ。

でも、ここは一応教室だし、こういう輩には痛い目に遭わされた経験も有る。

いっその事、正念を入れ替えさせる為に、徹底的に教育するか?


「ばかね、あんたは誰に喧嘩売っていると思ってるの。

先生は王都に住む正真正銘の伯爵令嬢様なのよ。

あんたのせいでこの教室が無くなったなら、どうなるか覚えておきなさいよ。」


一番年かさのいったチェルシーが声を抑えながらも、ノエルにそう言う。

女に諭されるのは不本意らしいが、

それでも文句を言わないのはチェルシーに頭が上がらないのだろう。

何と言っても、ノエルを紹介したのはチェルシーなのだから。


思わぬ助け舟に少々不満では有るが、その意を借りた。

出来れば私の手でたたき直してやりたかったな。

その後ノエルは私に楯突く事は無かったから、放校にはしなかった。


その日は6名の生徒と共に、難なく講義を終わらせた。

しかし、次の講義の日も、何故に生徒が増えている?

6人だけじゃ無かったの?

どうやらスカーレットは、

新しい生徒一人に付き、一人限定で紹介してもいいとお触れを出していたらしい。

ちょっと待って、それって毎回3人づつ生徒が増える可能性が有るって事?

3+3+3+3…………。

そして今日は、教室に15人もの生徒がいた。


「スカーレット勘弁して、

いくら何でも、15人は多すぎるわ。」


しかしスカーレットはシレッと言う。


「あら、私達が学生の時は、一クラス30人だったじゃない。

それに比べたら、半数の15人なんてまだまだよ。」


「私は本職の先生じゃないし、

そんなに一人一人目が行かない授業はしたく無いの。」


私達の頃は、先生の目を盗んで、

かなりやりたい放題している子もいた。


でも私は器用でもないし、そんなに手を抜いた事など教えたくない。

教えるのならば、しっかり、完璧にレディーに仕立て上げたい。

(男子は紳士か。)


「でも、皆には伝えちゃったし…。

そうね、上限は30人。

必要に応じてアシスタントを雇いましょう。」


「ダメッ、一回の授業に30人なんて無理。」


「でも……、実は予約も含めて既に30人の生徒が集まっているのよね。

それなら…クラスを2つに分けましょうか。一回の授業に15人づつ。

週3回だったから、週に6回となってしまうけどね。」


まさかと思うけど、スカーレットは最初からそのつもりじゃ無いでしょうね…。


しかし、既に集めてしまったのならそれが最善策だろう。

私は仕方なく、頷いた。

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