表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/77

脅迫

グレゴリー帝国。

我が国に隣接する強大な国。

今はその国と我が国は、表面上は友好関係を結んでいるけれど、

多分隙あらば取り込もうと、手ぐすねを引いているだろう。

おまけにそこは、私のお母様の母国でもある。


お父様と、やはり大恋愛の末結婚したお母様は、何もかも捨てお父様に嫁いだ。

でも私は知っているの。

グレゴリー帝国の伯爵であるおじい様は、未だにお母様を諦めていない事を。

だって時々私に、内緒でお手紙を下さいますもの。


いざとなれば、おじいさまに助けを求める事も出来た。

でも私はそんな事はしない。

自分の尻拭いは自分でやる。

ただ、グレゴリー帝国の名だけは借りるつもりよ。


「国王陛下、私は心の底から、お二人に幸せになっていただきたいのです。

その為には、私がこの国に留まればきっとお二人は心を痛めたまま……。

それでは私の気が済みません。

ですので、私はまずグレゴリー帝国のおじい様、エトワール伯爵家にお世話になり、

その後ゆっくり自分の身の振り方を考えるつもりでございます。」


「グレゴリー帝国のエトワール伯爵!?

それはいかん!

いや、そ、そうでは無く、この国にも良いところは沢山あるぞ。

そうだ!ミューズ湖の畔のクリュシナなどどうだ?

そこでしばらく静養したらどうだ。」


クリュシナ、そこは確か、王室の持つ特別に素晴らしいとされる保養所でしたわね。

でも、グレゴリー帝国と真逆の方向。

何を考えているかは見え見えですわ。


「ジュリエッタ。

もしあなたがグレゴリー帝国に行くなら、私も一緒に参りましょう。」


お母様…。


「ジュリエッタと、セリーナが行くなら、当然私も行こう。」


お父様。

お二方共、私を助ける為に……、でも大丈夫ですわ。


「お父様、お母様、ありがとうございます。

でも、私一人でも大丈夫ですわ。

グレゴリー帝国のお祖父様はとてもやさしい方と伺いました。」


「それは分かっています。

それにグレゴリーのお祖父様は、あなたにはこっそりお手紙を下さっていたでしょう?」


あら、バレていましたの?


「まだ、会った事の無い孫とは言え、あなたの事は大そう気に掛けているはず。

もしあなたがあちらに行くとなれば、それは喜んで迎えてくれますよ。

きっとあなたの為に、何でもしてくれるわ。

でもその場合、私たちがこちらに居ては、グレゴリーのお祖父様にとって、きっと都合が悪いはず。

ここは私達も一緒に行くべきなのです。」


お母様、そこまで大事にしなくても………。

ほら、傍で国王陛下が真っ青な顔をなさって、汗をだらだらと……。

少し見苦しいですわ。

私はそっと、手元に有ったハンカチを差し出した。


「これは…。

そなたは何と、気立てが良く、優しいのだ。」


国王陛下、これは常識の範囲内です。

ただあなたの状態が、見るに堪えなかったのでお貸しした迄。

あっ、いえ、それは返していただかなくて結構です。

出来ればお捨て下さい。


「まったくです。このように素晴らしいジュリエッタ嬢を、

何故兄上はこうも虐め倒すのか、不思議でなりません。」


そこに口を出したのは、スティール様。

ややこしくなるから、黙っていてほしいのですが……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ