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独り善がり

よく考えろだと?

はいそうですかと考えるのも、下に見られたようで悔しい。

だが、それでジュリエッタが取り戻せるなら、やるしかないだろう。

どうやら周りは俺がやっている事が間違いだと言っているらしい。

俺がやっている事。

ジュリエッタを取り戻す為、色々な情報を集め、いると思われる所に走る。

それがなぜダメなんだ。

私はジュリエッタの婚約者なんだぞ、

心配して当然だろう、それをなぜ批判する。


「このクソガキ、いいかよく聞け、

行動では無く、相手の気持ちを思いやれって言ってるんだ。

自分をジュリエッタ様の立場に置き換えてみやがれ。」


どうやら私のボヤキが漏れていたようだ。

クソガキだと、酷い言われようだな。

しかしジュリエッタの気持ちか。

んー、ジュリエッタの気持ち……。

ジュリエッタは私が好き。

グフフフ…、顔がにやけてくる。


と、ガツンと誰かに殴られた。


「なっ!」


「これほど言ってもまだ分からないようだな。

分かった、このままマリーベル様の所へ直行だな。」


ま、待て待て待て、私はまだ考えている途中だ。

もう少し時間をくれ。


よし、仕切り直しだ。

ジュリエッタは私を好き。

これはいったん置いて……。

しかし、私の事を好きなのに、なぜ逃げだしたんだ?

あ~、愛の有る結婚とか言っていたな。

しかし愛など、後から湧いて来る物ではないのか?

その時点では好きが有れば十分じゃないか。

それならジュリエッタは、何が不服なんだろう。

私が彼女の事を愛していて、自分が好き程度に収まっているのが不服なのか?

ならば彼女も私を愛すればすればいいのに。

そうすれば二人とも相思相愛問題なし。


ガコン、ボカッ!また打たれた。

男達の目が怖い。


ちょっと考えがそれただけだ。

ちゃんと考える。


確か男達はジュリエッタの立場に置き換えてみろと言っていたな。

つまり俺がジュリエッタになったとしたら…だな。

もし俺がジュリエッタとして、一緒になりたくない男と婚約破棄できた。

万々歳だな!

いや、もっと先の事か。そんなに睨むな。

ジュリエッタは自由を得たが、傷つき意識を失った。

これは俺の失態だな。

ジュリエッタを恩人に仕立てる為に、わざと手を抜いた。

お陰でジュリエッタが傷付くことになったのだから。

だが、俺はその間に自分が婚約者としての立場に成るべく交渉したのだから、

まあそれも致し方ないか。


ダコンッ!


痛いな、俺の頭をぼこぼこにする気か!

そうか、ジュリエッタの気持ちだったな。


目が覚めて、ジュリエッタは俺の事が好きだと告白した。


待て、それは事実だぞ、手を振り上げるな。


事実だけど、違うのか?

好きと愛だっけ。

好きはいつか愛になる。

違うのか?

ハマチだって、年を重ねればブリになるんだぞ。


どうやら違うらしい。


呆れかえった男が、俺に言った。


「例えば私がとても偉い人とします。

あなたは私より格下としましょう。

あなたは私を愛していますか?」


「そんな訳ないだろう。」


「ですね。

では私はあなたの事が好きだから結婚しろと言ったとします。

あなたは、それをどうを思いますか?」


「結婚などする筈無いだろう。」


「まあ、普通ならそうでしょう。

しかしここで問題が有ります。

先ほど言いましたよね。

貴方は私に逆らえない立場なんです。」


「ぐっ………。

そ、それがどうしたんだ。」


「ですから、あなたは私の言う事には、何が何でも従わなければならないのです。」


「だがジュリエッタは!」


「今はあなたと私の例え話です。

さあ、あなたは逆らえない相手から、結婚を強制されています。

了承しますか?お答えを。」


結婚なんてする訳無いだろうが、

俺はこいつの事なんて知らないし、何の感情も持っていない。

だがこんな話など、どの家にもある有る筈だ。

つまり、断り切れず強制されて結婚するとは、

こんな気持ちを持ちながら、嫁ぐと言う事か。

だけど、だけどジュリエッタは私の事を好きだと言ったんだ。

小さい頃から一緒にいたし、

何も知らない間柄じゃ無いんだ!


「あなたも気付いているのでしょう?

いい加減認めなさい。」


「好きじゃダメなのか?」


「そうですね。

ジュリエッタ様は愛の有る…。

結婚する時は、愛する人としたいと仰っていましたね。」


「私は、それにはなれないのか……?」


「さあ、それは何とも。」


ジュリエッタには、結婚を望むような男がいるのだろうか?

私から離れて行ってしまうのだろうか。


「それはあなた次第でしょうね。」




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