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吐露

「スカーレット様、

実は私自身も、自分の気持ちが整理し切れていないのです。」


「そうなの?」


「ええ、だらしの無い話ですが、流されるままに乗ってしまった…、

と言うような感じなんです。

ですからスカーレット様に、自信を持って答えを言う事が出来なくて…。」


「そうなんですか、私はてっきりマリーベル様と話が付いていて、

あなたもあの方と同意見だとばかり思っていました。」


なるほど。

私を逃がす為に、ひたすら突っ走っていたのには、そう言う訳だったんですね。


「ここでもう一度確認して良かったです。

そうで無ければ、あなたの気持ちを無視して、マリーベル様の言うまま、

グレゴリーに行く所でした。」


スカーレット様は、それを聞いてどうするつもりかしら。

おばあ様との話を反古するのでしょうか。

もし私が此処でグレゴリーに行きたくないと言ったら、

スカーレット様に多大なご迷惑が掛かるのではないのでしょうか。

私はあれこれ考え、それが先走ったり、他の方面に考え直したり、

自分の考えが一向にまとまりません。

分かっているのです。私の悪い癖です。


「あの、ジュリエッタ様。

先ほどから何かしらお考えのようですが、もし、助けがいるのであれば、

私でよければお話を聞きますよ。」


スカーレット様には私の心情がバレバレだった…。


「あの、スカーレット様、私の話を聞いてもらえますか?」


そう、一人で考えあぐねていても、どうしてもまとまらない。

ここは第三者の意見も必要なのかもしれない。


「よろしいですとも、独り言を言うつもりで話をしてみて下さい。」


「ありがとうございます。えっと、まず何から話したらいいのか……。」


今まで有った事、でもどこからどこまで話していい物か。

何と言っても、王室関係だならなぁ。


「どこからでもいいですよ。思いつくまま話してみて下さい。

もし内容で不味い事が有りましたら言って下さい、私は即座に忘れますから。」




それから私はつらつらと、

今まで有った事を抜粋しながらもスカーレット様に話をした。


「…………と言う訳なんです。

まあ私はスティール様の事は嫌いでは有りません。

年齢にそぐわず、頭も良く、回転も速い。

色々な事に興味を持たれ、分析力も有る。

その上、人を思いやる気持ちも持っている。そう思っていました。

そう、スティール様は、アンドレア様とは比べようもないほど、

この国の王に相応しいと何年も前から私は思っていたんです。

しかし習わし上、この国を継ぐのはアンドレア様と決まっておりました。

ですから私の我慢が出来なくなった時、アンドレア様から逃げるだけでは

自分が無責任な気がしたんです。

国の事を考えた時、一体我が国はどうなってしまうのか………。

ですから私は置き土産がてら、一計を案じたのです。」


スカーレット様は時々相槌を打ちながら、根気よく私の愚痴を聞いてくれる。


「…………でも、今までは弟ポジションでしたのよ。

それが私が目を覚ましたら、いきなり婚約者ですって。

それも周りの人が全員それを納得している。酷いと思いませんか!」


「分ります。それで?」


「…………でも、確かに私も認めていたスティール様でも、

やはり年齢のせいでしょうか、

時々覗かせる彼の幼稚さが気になるのです。

幼い頃から慕ってくれた私に対してだけかもしれません。

でも彼が望むこの結婚が、

自分の我儘だけで動いているような気がしてなりませんの。

相手の気持ちを無視するような、自分本位のその態度が気になるのです。

いずれスティール様がトップに立った時、

それが国政に影響しないかが心配なのです。」


「ふむふむ。」


「それならばいっそ、私が彼と結婚をして彼の傍に寄り添い、

それをいさめる事が出来るなら、それも吝かでは有りませんが、

それでは、私自身の気持ちを犠牲にしなければならないでしょう?

確かに一度は自分を犠牲にする覚悟はしました。

でも、でも私の正直な気持ちはスカーレット様やクララさんのように、

本当に愛し合う二人が夫婦となり、

おばあ様の様に障害が有ろうともそれを乗り越え、

そして穏やかに年をとって行く事が理想なのです。」


「分りますわ。

私と夫も、遠縁とは言え恋愛で結婚しました。

それぞれに仕事が有りますが、

しかし、近くにいればそれが当たり前の様に寄り添っています。

愛しているかと聞かれれば、

はっきりと迷い無く、愛していますと答えることが出来ます。」


「羨ましいですわ。

私もそう言う恋愛がしてみたい。」


「ふふ、そうですね。私は今とても幸せですもの。

でも、ジュリエッタ様のお立場なら、

強いられた結婚をしなければいけないと考えてしまうのも分かります。

それを当然と思い育ってきたのでしょう?女として悲しいお話ですよね。」


「立場有る女性は、やはりそのレールの上を歩まねばならないのでしょうか。

もし、私がスティール様の事を好意ではなく、愛していたならば、

立場など二の次で、いえ、その立場を利用してでも結婚を望んだかもしれません。

でも、今の私のスティール様に対する思いは、愛では無いのです。」


言った。言い切った。言ってさっぱりした。

そうよ、私はスティール様を好いているけど愛していない。

ようやく自分自身の気持ちを納得した。

しかし、今後の事を考えればまだ迷いはあるのだ。

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