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ピンクの指輪

おじ様は嬉しそうに私の右手の薬指に指輪をはめ、それに口づけた。

先ほどに石よりも小さいけれど、

透き通ってピンク色のきらきらした石がはまった指輪に。

もういいや……、

この人はヘイカさん、そうヘイカさん。

私にとって、この人はヘイカさん。


でも、指輪は外す時は有りますよ。

パン作る時には邪魔ですから。


確かに私だってこの人の事は好きだと思う。

だって、指輪をはめてもらった私の心はとても嬉しくて、

ホワホワと飛び跳ねているんだもの。


そしておじ様は、やはり財布など取りださずに、そのまま出口へ向かう。

店の扉の前まで店員さんに送られ、私たちは帰路に付いた。


「みんな私の事を陛下と呼ぶけれど、私はもう息子に位を譲ったんだ。

だからそんなに緊張せずに、付き合ってほしい。」


無理です。


「隠居した身だから、式などはそんなに派手にできないけど、やるべき事はキチンとするよ。」


要りません。


「一応家族に紹介したいんだけど、一度家に来てもらえないか?」


…家ってお城の事ですよね。

絶対行きません。

大体にして、私は指輪は有難くいただきましたが、結婚は了承していません。

それでもおじ様は一生懸命口説いているみたいだけど、身分が違いすぎます。

絶対に無理だから。



私達が店が近づくと、その前には数人の人が見受けられました。


「おやおや、迎えかな?」


ヘイカさんと私を見止めた人達が、バタバタと慌しくこちらに駆けてくる。


「陛下、あなたはまた勝手に……。」


側近さんが、額に青筋を立てて怒っているのがまるわかりです。


と、丁度そこに、食料品店の店長さんが、荷物と共に現れました。

何と間の悪い事でしょう。


「陛下、お戻りになったようでようございました。

ご依頼のお荷物をお持ちしました。

さ、お嬢様、どちらの方へ下ろしましょう。」


いったいどれほど持ってきたんだ?

小麦と思われる、でっかい袋が8つ。

その他いろいろ入っていると思われる箱が、大小合わせて11箱。

私にどれほどパンを焼けと………。


「こんなに置く所などありません……。」


すると、うちのパン屋をざっと眺めた店長さんは、


「これは大変失礼しました。

では、ひと月に1度、必要な分をお届けしましょう。」


「ソレハドウモアリガトウゴザイマス。」


ちゃんと心得ている店長さんは戸ても出来る人と見た。


「では、今月の分として、取り合えず小麦粉を1袋と、後これとこれと……。」


そして、それらを次々と、店員さんが店の中に運び込んでくれた。

人任せも申し訳ないから、私もお手伝いをと手を出した途端、

「お嬢様、それは私共の仕事ですから大丈夫でございますよ。

おや?さっそく兄の店に行っていただいた様ですね。ありがとうございます。

ピンクダイヤモンドですか、お嬢様に良くお似合いです。」


ピンクダイヤモンドーーーー!?


「指輪…ですか。

陛下、これは一体………。」


「見つかってしまったか。

実はね、彼女と婚約したんだ。」


「してません!」


「だったな…。

でも、一生私の為にパンを焼いてくれると約束はしたんだ。

後は私の誠意を見せるだけなんだ。」


「焼きますとも、焼かせていただきます、この先一生。

でもそれは単にパンの話ですよ。」


「うん、分かっている。」


そう言っておじ様はにっこり笑った。


「陛下、何の相談も無く、

そのような大切な事をお決めになっていただいては困ります。」


「だから、私は引退したんだ。

陛下と呼ばれるのは私ではない。」


「殿下は納得しておりません。

今は公務を行わないあなたの代わりに、

仕方なく代理をしているだけだと仰っています。

だいたいお二人の意見がバラバラで、こちらも困っているんです。

それを、今度は婚約ですか?

いい加減になさって下さい。」


「お前は、私が彼女を妻に迎える事が反対なのか?」


「そうですね。この方には申し訳ありませんが、正直賛成は出来かねます。

確かに妃殿下が身罷られてから大分経ちます。

殿下も成長なさいました。

時期的には宜しいかと思いますが、ただ………。」


そう言って私の店を見上げる側近さん。

ですよね…、無理ですよね……。

分かっているんです。だからおじ様に言って拒否しているんです。


でも、この人に否定された時、なぜか私の胸の奥がツキンッと痛んだ

訂正部分で完成しているのはここまでです。

後は随時更新していきます。

ご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした。

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