メイドIN魔女
私は再び目を覚ました。
両手には枷が付いており、身動きが取れない状況にあった。
足も鎖で縛られている。
そして、ここが何処なのかと辺りを見渡した。
そこは城のどこに当たるのかは分からなかったが、石造りのシンプルな間だと言う事は理解できた。
その時に私は夢なんかじゃあないんだ。と心の中で溜息を一つ吐いた。
私はただ、夢ならばいいのにと目をつむる。
「二度寝でございますか?」
と私の後頭部をガクンと軽く誰かが小突く。
私は前方に倒れて、地に倒れ伏せる。
そこで小突いた相手が誰なのかを見て思い出した。
「シュガー・ロックハート……」
「ええ、寝ても覚えていてくれましたか」
シュガーは嬉しそうにクールな顔を笑顔で崩す。
そしてシュガーは縛られた私を見て大きな溜息を吐く。
「あの人に幼い頃より仕えて10年。毎日が退屈ばかりでしたが……ええ、こんなに楽しい、日は今日が初めてでございます。とても良い気分です。いい気分なので……まあ、流石に全部は無理でございますが、出来る範囲でなら何でも聞いてあげましょう」
「……どういうことですか」
「出来る範囲でなら、何でもしてあげましょうと言っているのです」
シュガーはヒールを軽くコンと地面に打ち付けて言う。
「……じゃあ、その10年前になんでアリスさんに仕えようと思ったんですか?」
私がそう質問すると、シュガーさんは数秒間を開けて「意外」と言った後でコホンと咳をしてから言う。
「……この人に人生の全てを捧げようと誓ったからでしょう?」
シュガーはシンプルにそう語った。
シンプルだが深い愛を持って言う。
「……なんで、捧げようと思ったんです?」
私がそう質問をすると、シュガーは薄く笑いながら続きを語った。
「アリス様は私の為に魔女になる道を選んだのです。アリス様の前の魔女……先代の魔女ですね、彼女は次の魔女の候補に私とアリス様を選んでいたのです。魔女になれば人生を全て投げ打たなければならない。子供も大人の魔女もそれは変わらない……。アリス様は当時幼かった私を危惧して自分から魔女になるという茨の道を選んだのです。ならば……私はアリス様を孤独の魔女にするワケにはいきません、私はアリス様に人生を捧げるために、この城に居ついているのです」
「で、自分からメイドにですか……」
「いいえ、アリス様の趣味です。なんでも“メイドに興奮する”そうで」
さりげなく、自分の主人の性癖を暴露している気が……。
メイド好きだったんですね……。
「さて、ほっこりとしたこの時間ももう終わりです」
シュガーさんはそう言うと、後ろに振り向く。
「アリス様……」
振り向いた先にはいつの間にか魔女アリス・ブラッキアリが立っていた。
アリス・ブラッキアリは私の顎を掴んで静かに笑って言う。
「そろそろ、終わりにしましょうか」
そして魔女は私に淡々と告げる。
「夜葉ちゃん、君には魔女になってもらう」