木葉の魔女
黙示録の獣の事か?
ああ、知っている。
あの、なんか凄そうな獣の事だろう?
凄く話したいけど、今回黙示録の獣は凄く関係ないのでカット。
そう……まぁ……伝承のような話だ。
さて、気を取り直して……。
……おい知ってるか?
世界の終焉は大きく分けて3つ存在する。
人による終焉。
自然的なものによる終焉。
宇宙や異世界からの侵略による終焉
この三つだ
その終焉を何度か止めていたハンター……
彼は骸の貌と呼ばれたハンター。
そしてその友達の男の話だ。
木葉の国、某所、某日
一人の胡散臭い男がとある凄腕のハンターの家を訪ねて来た。
その男は何処かうずうずしている様子だった。
家に上がり込んだと思えば、ソファーに座らずに鼻歌交じりに厳つい顔のハンターに声を掛ける。
「よう、スカル。少し頼みがあるんだ」
「……頼み?お前が私に頼み事か?珍しい」
「言うほど珍しくもないだろう?この前だって君にお金貸してもらったし」
「そうだったな。で、何の用だ?」
ハンターはそう言うと太々しく胡散臭い男に鋭い目を向ける。
俺は、爽やかな青年ぽく糸目で後頭部を摩るようにして笑い、頼みごとを彼にコソコソと頼み込む。
「ごにょごにょ……」
「……ふむふむ。……え?それは本当か……?と言うか本当にやるのか?」
「ふふ、アリスの頼みさ……」
これは魔女の試練的な何かに挑む者の物語。
10月31日。
この日は確か、ハロウィンの日だった。
しかし、この国にはそんな文化は無いらしい。
だが一人、私以外に何故かハロウィンの文化を知っているこの国の住人は他にもう一人いた。
イージスさんだった。
イージスさんは何でも知っているかのようだ。
この国には近代的な文化が一切ない。
スマホも無ければパソコンも無い。それどころか、私の居た国の事さえみんな知らない。
何もかもがアナログで原始的……。
しかし、イージスさんだけは違ったのだ。
イージスさんはパソコンを知っていれば、スマートフォンさえ知っている。
そして、私の居た国の文化までも知っているのだ。
10月31日はこの国の人からすれば、ただの10月最後の日。その程度の認識だ。
そんな10月最後の日の事だ。
私はその日魔女に魅入られた。
木葉の魔女、アリス・ブラッキアリに……。
その日は偶々、プラチナさんとアンバーさんに街へ呼び出されており、街に向かう途中の事だった。
街を歩いている時だ。
「ねえ」
そう声を掛けて来たのは薄い金髪ロングの綺麗なお姉さんだった。
目の色は縹色で身長も普通の女性よりも少しだけ高い。
彼女は白いワイシャツを着ておりスカートは青い綺麗な物を履いていた。
白と青が似合う美人さんだ……。
男どころか女でも憧れるような綺麗な人だと私は感じた。
……綺麗な人だ。
私はその美貌に目をやられてしまった。
私はお姉さんに目をやったまま立ち尽くしてしまった。
なんだか頭がボゥーッとする。
お姉さんはそんなボゥーッとしている私に不意打ち気味に話しかけて来る。
「君、夜葉ちゃんでしょ」
その人は私の名前を何故か知っていた。
私は一瞬混乱するも、なるべく普通の態度を取る。
「なんで、私の名前を知っているんです?」
「なんでって……木葉の魔女だからに決まっているじゃない?」
彼女はくすくすと笑う。
そしてあろうことか彼女は木葉の魔女だと言うではないか……。
木葉の魔女と言うのは先日、イージスさんから聞いたはずだ。
可哀そうな魔女と……。
そんなお姉さんはどこからともなく魔女帽を取り出して被る。
美人に魔女帽……。
……鬼に金棒的な意味合いのことわざとして残すべきだろうか?
お姉さんは魔女らしく不敵に妖しく美しく私に笑顔を向ける。
「名乗らせてもらうわ。私はアリス・ブラッキアリ27歳です。よろしくね。」
アリス・ブラッキアリと名乗る彼女はフレンドリーに私に近づいて来た。
「……じゃあアリスさん、なんで私になんかに話しかけたんですか?」
「何故って……夜葉ちゃんを次の魔女にするために決まってるからじゃない」
「……え?」
私は耳を疑った。
次の瞬間、意識がフッと遠退いた。
そして、モヤモヤと視界が霞んでゆく。
「よろしくね、可愛い可愛い子猫ちゃん」
魔女は呪文を唱えるように耳元でそう囁く。
――――――これってマズいですよね……。
そして私は彼女の甘い呪文に囚われてしまい、彼女に拉致されてしまったようだ。