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記憶喪失の私が世界のどこかで頑張る話!  作者: 不治和
fantasticな道化師
22/107

取り戻した朝

その後の話だ。

サディストが死んで、朝になるころには機械と化していた街や人々はいつも通りの姿へ戻った。

勿論、スカルさん、アリスさん、ハクタイさんも元に戻った。

ボロボロのイージスさんの探偵事務所を除いてすべてが元に戻った。

私はその後、長い夜を経て就寝に着いた。

ぐっすりと。

いつも見る悲しい夢も見ずに私は落ち着いて寝ることが出来た。

……何時間寝ただろう。そろそろ、起きてもいい気がする。それに何だか騒がしい気がする。

私は目を開けた。

すると、一人のお姉さんと目が合う。

金のメッシュが入った綺麗な白髪のお姉さんとだ。

寝ぼけていても、そのお姉さんが昨日会ったエレスティアさんだと言うことには気づいたが……。エレスティアさんの周りには私の知らない人たちが二人ほど居た。

エレスティアさんによく似た白髪のお姉さんと迷彩柄のジャージを着たポニーテルの女の子だ。

「……何の用ですか?」

「あ、起きた?」

……あ、起きたじゃなくて……。

「……何で私の家に居るんですか?」

「え?暇だったからプラチナちゃんから鍵を貰って入って来ただけだけど?」

……あの腐れ淫乱ピンク女……勝手に他の女に鍵を渡しやがって……。

私はキレそうだった。

というか内心キレていた。

「夜葉ちゃんの寝顔可愛かったな~」

「分かります~」

奥でプラチナさんが合いの手を打つ。

私はすぐさま飛び起きて、プラチナさんに無言でビンタをくらわした。

強化魔法を用いた私の怒りの一撃だ。

「あいったい!!」

プラチナさんは凄まじい勢いで地に倒れる。

「酷いわ、夜葉ちゃん……。あの夜あんなに愛し合った仲だっていうのに……」

プラチナさんは腫れた頬をスリスリと撫でて涙目でそう語る。

「どんな回想ですか……というか、誤解されるような言い方をしないでください」

「なんでそんなことを言うの!?照れ隠しなの!?……違う?まさか……新しい女の事ね!!なんで?なんで目移りしたの!?なんでよ!!まさか……もう」

私はもう一回プラチナさんに無言でビンタを入れる。

「あいったい!!」

「なんで、なんでプラチナさんは私をそんな風に扱うんですかね……?と言うか、エレスティアさんは何でここに居るんですか?」

「それはね、俺の客だからさ」

そう、イージスさんが言った。

「イージスさんの客……?」

「ああ、そもそも僕がこの事件を調べていたのはエレスティアちゃん達に頼まれたからさ」

「我々もさっさと上に報告書を出して休みたかったですしね。この場合探偵に頼んで待つのが一番かと」

「無能十字軍とか呼ばれない為にもっす!!夜葉ちゃんはかなりの巻き込まれ体質っぽくもあるっぽいですし、これからもどんどん巻き込まれてくださいっす!!」

後ろでジャージの女の子も言う。

「……誰ですか?」

「これは申し訳ないっす!!私、ユルエ・ルノアールと言いますっす!!聖騎士十字軍見習いっす!!あと、こちらの……」

「イズルア・デュヴァリエ……」

“イズルア・デュヴァリエ”とエレスティアさんに非常によく似たお姉さんが答えた。

似た顔に、同じ白い髪。唯一の違いは髪の長さ程度の違いだった。

「イズルアさんですか」

イズルアさんはコクリと頷く。

「そう言えばエレスティアさんとよく似てますけど、もしかして姉妹ですか?」

私はイズルアさんにそう聞く。が、イズルアさんはオドオドとしたまま、何も答えない

「そうよ」

エレスティアさんが仕方なさそうにそう答えた。

「一応、イズルアも聖騎士十字軍よ。と言うワケで我々、十字軍は仕事に戻っちゃいます!!」

聖騎士十字軍たちは仕事へと戻って行った。

私は謎の疲れに溜息を吐き、ベットに倒れる。

……もう少しだけ寝ればよかった。

「そう言えばさー」

ふと、プラチナさんが言う。

「昨日、何か思い出したっぽい顔してたけど?」

「……はい」

昨日、サディストたちから身を守っている時。私は少しだけ、思い出した。

私の居た場所を。

草原と赤い屋根の家。

……多分、あそこに私は居たんだ。赤い屋根の家に……誰かと二人で.

「……プラチナさん、思い出したことがあります」

私は話すことにした。

「自分の元居た家を思い出した気がします。あと私には一人だけ家族が居たような気がします……多分」

「気がするとか多分ってフワフワとした物言いだなー」

アンバーさんは煽るように笑顔で言う。

「まあまあ、とりあえず夜葉ちゃんの記憶は気楽に探っていこうよ。焦ってもしょうがないし」

プラチナさんはアンバーさんをフォローするように柔らかに言った。

……確かに焦ってもしょうがない。

「かもしれませんね」

私は自分に言い聞かせるように言った。

……いつか記憶は戻るだろう。私は記憶が戻った時どんな事を思うのだろうか?

それにこうしている今がなんやかんやで好きだ。

そして私はあることが頭に過った。記憶を思い出した時、今の私の記憶とかはどうなってしまうのだろう……?





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