騎士の夜葉
二階の奥まで行くと本当に呪われてそうな部屋があった。
その部屋のドアは可愛い少女のイラストが描かれたポスターで覆われており、壁には呪文のように「働いたら負け」と書かれていた。
「……入りたくない」
絶対に入りたくない部屋だ。確かに入ったら呪われそうだ。
というか空気も嫌な感じだ。
「入るんだよ」
アンバーさんは躊躇もせずにドアを開ける。
部屋の中はパソコンなどの機械ものがズラリと並んでいた。
ノートパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、9画面のモニター。
パソコンを冷やすための冷房装置。
そして、イージスさんが座って待っていた。
「やあ」
イージスさんは気さくに手を振り笑顔で挨拶をした。
そんなイージスさんの目は何処か朧げに見える。気のせいだろうか?
「この部屋は……?」
何か……奇妙な感覚を覚える部屋だ。
パソコンとこの国は不釣り合いなほどに合わない……。そう思える。
「ハクタイ君が時間稼ぎをしてくれいるみたいだね。でも、まあ……あと数十秒ってところかな?時間が無いから、手短に話すよ。今のサディストは無敵だ。現実改変魔法を持っていして暴れている。あのアリスまでも動けなくしちゃうんなんて反則でしょ。だからチートにはメタチートをぶつける。……夜葉ちゃん、君にその仕事をしてもらう」
そう言うとイージスさんはニヤニヤと笑いながら、ポケットへと手を伸ばす。
「メタメタなボックス~」
……と新たなアーティファクトボックスを取り出す。
そのアーティファクトボックスは明るい黄色いカラーリングをしていた。
「コイツは丁度さっき作り終わった出来立てほやほやのアーティファクトさ!!まあそれは置いといて……あの野郎は現実を変える攻撃を見事に再現した。だが、あくまで再現だ。現実改変と言うよりは”現実が機能しなくなった”だね。魔女に攻撃が通じないという現実を通じなくした……まあ、それはどうでもいい。とにかくボックスをステッキに填めなよ」
私は言われるがまま、アーティファクトボックスをステッキに填めた。
すると。私に明らかな変化が起きた。
いつの間にか黄色と銀の甲冑が私の体に装備されていたのだ。
その甲冑は芸術的な装飾や文様が施されていた。
さらに私に力が溢れているのが分かる。
強化魔法以上の力を感じる。
「なにこれ……」
体を動かしていないと余計に疲れてしまう。
私は取り合えず腕を回す。
「俺の作ったアーティファクトボックス!!メタメタなボックスの能力を以ってして存分に暴れたまえ!!その名も夜葉ちゃん騎士モード!!さあ、夜葉ちゃんの快進撃が始まるんだぜ!!」