PROLOGUE:人
お風呂から出て、私はベッドの上に戻る。
「この生活には慣れた?」
ふと、プラチナさんが私に問う。
「そうですね……」
私は一瞬言葉に詰まる。
ここに来て2カ月ちょっと。この国の特色と自分の行動原理が少し分かっただけだ。
まだ慣れていないことばかりだ。
魔法の使い方とか魔獣のよく出る場所とか……。
「まだ、ですね」
「だよね」
プラチナは私に後ろから抱き着いて耳元でそう言った。
私はまだ分からないことだらけでとても苦労している。
「でも、何だか楽しそうだよ?」
プラチナはにんまりとした笑顔で私に言う。
「そうですか?」
「そうだよ~」
プラチナがそう言うのならそうなのかもしれない。
「なるほど?」と私は頷く。
確かに毎日が楽しいことだらけかもしれない。
学校も楽しいし、そして、この世界の一つ一つのことが美しい。
夢みたいで、自分が記憶喪失だってことすら忘れさせてくれる。
日常が真新しくて全く飽きない。
もう本当に毎日が楽しい。
学校で魔法を習って、みんなで遊んで。それが私の心の支えだ。
「そう言えば、今日スカルさんとイージスさんに会いに行くんでしょ?」
「そうですけど?」
スカルさん。
フルネームはスカル・アルファーノ。
この国の住人でハンターだ。
この家を提供してくれた本人。
かなりの強面だけど、性格は物静かでどことなくニヒル。
髪の毛が綺麗な金色でとても長い。始めは隈が凄くて怖い顔をした高身長のお姉さんかなと思っていたのは内緒の事だ。
スカルさんはいつも同じ中折れ帽を被っている。どうやらかなりのお気に入りらしい。
深緑の中折れ帽。中折れ帽のつばにはリングが2個通してあるオシャレな帽子だ。
そして、スカルさんは商人ギルド連盟のハンター組合と言う組織のトップハンターで、人類の中でも戦闘力はトップクラスの実力の持ち主。
狩場はアンバーさんとプラチナさんが私を拾った森だと言う。
イージスさん。
フルネームはイージス・リメンバ。
勿論、この国の住人。
職業は探偵でいつも人の調査をしている。
どこか掴み所の無い27歳。
口ぶりは胡散臭くて性格も飄々としているので最初こそは信用は出来なかったが、いざ知り合いになるととても信用できる大人だと認識できる。
それに腹が立つ程のイケメンであった。
彼は自分のイケメンな顔を利用して何かをしようとしているらしいがその行動は自分の部下とスカルさんに止められているらしい。
ちなみにイージスさんとスカルさんは昔からの知り合いで同級生らしい。
そんな個性的な二人に私は会いに行くのだ。
スカルさんはともかくイージスさんはかなりの変人だ。
さて、今回はどんな話をすることになるのだろうか。
と考えている私に「そういえば、なんでイージスさんたちの所に行くの?」とアンバーさんが私に聞いてきた。
私は率直に「ああ、それはですねアーティファクトを貰いに行くんですよ」と答えた。
するとアンバーさんは頭を横に傾けて頭の天辺に?マークを出した。