会議
私、スカルさん、イージスさん、ハクタイさん、プラチナさん、アンバーさん、アリスさんの計6名が小さな探偵事務所へ集まった。
ほぼ私の知り合い総動員状態。
ちなみにシュガーさんはお留守番だそうです。
私たちは円卓を作って椅子に座った。
みんなが個性的すぎるシリアスな表情を向け会う。
そしてイージスさんが話を切り始めた。
「チキチキ!!第一回夜葉ちゃんを殺人鬼から守ろう会議~!!え、スカル?多分助かるでしょ!!」
イージスさんは爽快感のある顔でそう題して叫んだ。
……あのスカルさんの扱いフワフワしてません?
「状況を軽くまとめると、“夜葉ちゃんがサディストに殺されるかも~スカルも殺されるかもだけど、スカルはまあ生きられるでしょう”って感じかな」
イージスさんは有能そうな余裕ぶった顔で適当にまとめたのだった。
それにしてもスカルさんの扱いが雑だ。
「なるほど……それにしてもだ。あの殺人鬼……どれだけ切っても死ななかったが……どう思う」
スカルさんは自分の扱いをスルーしつつ不可思議に思ったことをイージスさんにぶつける。
「それはね~、サディストが機械仕掛けで実質的な不老不死を手に入れたからさ。それにアイツの体の殆どが機械だ。自己修復能力も兼ね備えた最強の絡繰り人間。それがサディストさ!!」
イージスさんは得意げにそう語る。
「何故、そんなことを知っている」
ふと、訝し気にスカルさんが聞く。
「俺はこの国一の名探偵だぜ?一件くらい捜査依頼は来るでしょう?んで、サディストと一回交戦して分かった」
イージスさんはさらりと重大な事実を吐き出す。
「なにっ!?交戦していたのか!!」
スカルさんは驚きのあまりにポーカーフェイスを崩してしまう。
そしてみんながザワつく。
「勝てなかったけどね、悪いか!!」
イージスさんは威張って言う。
威張って言う事じゃない気が……。
「世界最強のアリスさんが戦えばいいのでは?一瞬で決着が付きますし」
私がそう言うとアリスさんは私の肩にポンと手を置き、首を横に振る。
「無理なのよ。それが」
「どうしてです?」
「私は世界最強よ、紛れもなくね。でもそれが故に私は人を殺すことが出来ないようにこの世と契約を取っているのよ。“私は人を殺すこともしませんし、世界も滅ぼしません”ってね。つまり、その契約を破るのは世界そのものに戦争を吹っ掛けるのと同じってことよ。バカみたいよね」
アリスさんは自虐的に言い、自分自身を嗤う。
「殺さなければ良いだけだから戦うのは一応セーフだぞ」
とイージスさんは付け足す。
「しかしだ……あの機械や無機物を操ると言う攻撃はかなり厄介だぞ、俺でも隙を突かれるかもしれん……それにああ言う機械物は苦手だ……。」
スカルさんはいつになく自信無さ気にそう言った。
「……取り合えずだ」
気まずい空気の中、イージスさんが話を切り出す。
「これ以上考えても無駄だ……とにかく夜葉は俺たちで守る。それで十分だろう?」
「……しかしだな」
そういうスカルさんを遮ってイージスさんが言う。
「とりあえず打つ手を作っておく……だからスカル、打つ手が完成するまでに時間がかかるんだ……」
「どれくらいかかる?」
「あと4時間くらい稼いでくれ……お前だけが頼りなんだ。」
イージスさんは偉く爽やかな顔でスカルさんを頼る。
恐らく乗せようとしているのだろう……。
流石にあざとすぎる……。
……流石にスカルさんはこんな乗せかたじゃ……。
「そうか俺だけが……頼りか……ならばやってやろう」
スカルさんはいつになくやる気を出して言って見せた。
見事に乗せた……。
スカルさんは結構、純粋なのだろうか?ニヒルそうな見た目をして純粋なのだろうか?
「じゃあ、方針はイージスの時間稼ぎと夜葉ちゃんの護衛で!!以上!!」
イージスさんは作戦をそうまとめてキメる。
ハクタイさんは「滅茶苦茶な方針だ……」とツッコミを入れるがイージスさんは「為せば成る」とゴリ押す。
そうして私の護衛作戦が始まった。