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記憶喪失の私が世界のどこかで頑張る話!  作者: 不治和
fantasticな道化師
15/107

獣と道化と

この森には見覚えがあった。

私が最初に彷徨って居た時の森だ。

プラチナさんとアンバーさんに拾われた森。

私が小屋からこの森に出た所で何となく見覚えはあった。

私は分かって居た。

スカルさんの狩猟時間は夜で狩場はここだと分かって居た。

そして、スカルさんの登場を待っていた。

狩人(ハンター)とは……私の邪魔をする職業なのでしょうかァ?」

「違うな……だがお前の邪魔はしてやるさ」

「ククク……ッ!!面白いですねェッ!!貴方はとても面白いッ!!一層ッ!!興奮してしまったではッ!!ありませんかァアアアッ!!」

サディストは腕から刃を生やして、上半身のままバッと飛び上がり。スカルさんに飛び掛かる。

しかしスカルさんはサディストの攻撃をあしらって、サディストの腕を掴む。

そして人間業とは思えないような凄まじい威力の拳をサディストの胸に放つ。

「ヌオオオッッッ!!!?」

サディストはそのまま勢い良く地面にめり込む。

めり込んだ衝撃で私の前髪までふわりと浮いてしまった。

「……サディスト、確かにお前は殺人鬼としては優秀だろう。先ほどの攻撃も一回の攻撃で3か所の急所を狙っていた……だが相手が悪かったな」

スカルさんはサディストに獣のような鋭い目を向ける。

その時のスカルさんは人には見えなかった。

姿は人であってもどこか、本能的な冷たさがあった。

その時だ。

サディストが叫んだ。

「あッ……!!貴方ッ!!貴方の魔力は何ですかァッ!!?」

サディストの様子が変だった。

サディストは驚いた様子でスカルさんに指を刺して叫んだ。

「あ……ッ貴方の魔力はッ!!」

「ああ、獣と人間の魔力回路を同時に回している」

スカルは冷ややかに言った。

「どういうことですか……?」

「……俺は獣と人の両方の魔力回路を持っている。野生児だったからな」

スカルさんはそう言うと大鎌から箱を取り出して、ポケットに入れてまた違う箱を取り出して大鎌に装填する。

「あれって……」

すると、大鎌から声がし始めた。

《アックスボォーックスッ!!レイケツムジヒ!!ゼツボウセンリツ!!残酷アックス!!》

……音声が流れるとは言ってはいたものの、あまりにもダサい。

ダサいとはいえ、大鎌の形が一瞬でカッコいい斧の形へと変わる。

「行くぞ、サディスト……」

スカルは斧のトリガーを押しながら、空中へ高く飛ぶ。

そして。

《ヒッサツワザァ!!グロスギィッ!!》

斧から音声が流れた。その瞬間、斧が朱く光り巨大な斧の幻影を出現させる。

その巨大な斧の幻影はサディストを真っ二つに両断する。

「ゲガアアアッ!!!!」

サディストは悲鳴を上げる。

「スカルゥッ!!スカルッ・アルファアアアノォッ!!私には貴方を殺すと言う目的が出来ましたッ!!ああッ!!愉しみですねェッ!!……そして夜葉さんッ!!貴方は素晴らしく素直で真っ直ぐな少女ですッ!!貴方もッ!!私の手でその命を奪って見せましょう!!……それまで……アデュー」

サディストは耳をつんざく叫びと共にふんわりと霧散して消えてしまう。

まるで最初からそこに居なかったかのように。

「……消えた」

私は今までずっと首元に突き付けていた剣を地面に力なく落とす。

なんだか、力が出ない。

足に力が入らなくなって、どさりと倒れてしまった。

……と言うか踏ん張りすぎてずっと首に剣を付けてたのか……私。

そうしてふと「死ぬかと思った……」と呟いた

けれども同時に「助かった」とも感じた。

「……殺し切れなかった」

スカルさんはため息を付きながらボックスとステッキをしまう。

「でも助かったんですよね……」

「ああ、だがこれからが大変なことになりそうだ……夜葉、これからイージスの所に行くがいいか?」

スカルさんは私にそう聞いてきた。

私は首を縦に振って行きましょうと呟いた。


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