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記憶喪失の私が世界のどこかで頑張る話!  作者: 不治和
夜葉の世界
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帰るべき場所 その5

――――――――――

藤原はオスカー・ロイエンタールからの電話を切った後でプラチナと百歌を呼んだ。

「百歌くーん、プラチナちゃーん?」

藤原のウザったるい呼び声に反応してプラチナと百歌が藤原の居る玄関まで二回から降りて来た。

「何ですか?さっきからドタバタと五月蠅いですが?」

プラチナはそう言いながら藤原の前に立った。

百歌も特に言う事も無くため息を吐いて藤原の前に立った。

そんな二人に藤原は軽く「アンバーちゃん外に出ちゃったんだって、しかも夜葉ちゃんの姉ちゃんと出会っちまったみたいなんだ。テヘペロ」と伝えた。

直後、藤原の顎に百歌の堅い拳が高速で飛んできたのだった。

百歌の拳は藤原の顎に直撃した。後に拳はコンボを決めるかのように腹、金的、脳天に飛んできた。

藤原は勿論、この酷い拳のコンボ攻撃に卒倒した。

……百歌さん怖い。

プラチナは藤原を容赦なく卒倒させた百歌に対して恐怖心を覚えた。

「ぐべっごお……」

情けない悲鳴を上げて気絶した藤原に百歌は馬乗りになって襟を掴んで、藤原をべチベチと叩き起こした。

藤原はすぐに「ハッ!?」と目を覚まして「ぐぐええ!?」痛みに悶絶した。

「うごごご!!殺す気かい……死ぬかと思ったよ?滅茶苦茶痛いぜ!?」

藤原は目を覚ましてすぐに百歌にそう言った。

「急所を狙ったけど殺そうとはしていなかったから平気な筈よ」

そんな抜けた藤原に対して百歌は黒い笑顔でそう言う。

「……と言うか何で殴ったのさ?」

「夜葉ちゃん達の安全を保障する只今の保護者であるにも拘らずアンバーちゃんを外に出したからよ」

「……納得」

藤原は立ち上がる。

立ち上がった藤原にプラチナは「これからどうするんですか?」と質問した。

「勿論、アンバーちゃんを姉ちゃんの所まで迎えに行く……その為には百歌君とプラチナちゃんの力が必要不可欠だ、俺一人で行ってもアンバーちゃん素直に話を聞いてくれない気がするからね」

そう言う藤原にプラチナは「夜葉ちゃんは連れて行かないんですか?」と続けて質問した。

藤原は「連れて行かないよ」とどこか冷たく答えた。

「なんでです?」

「だってこれ以上、危険に身を晒して欲しくないからね。大体何のためにあの世界から来させたのさ?」

藤原は最もな事を言った。

確かにこれ以上プラチナや夜葉達がこの世界の人間と、それも夜葉の家族たちとコネクションを持つのは危険な事だ。

「……この世界の科学者に何らかの形でパラレルワールドが実在することが知り渡れば、君たちは間違いなく研究対象となり二度と元の世界に帰れなくなってしまうだろうね」

そしてこの世界に飛ばされて来たのは魔女のアリスや未だに正体が不明かつ行動が謎の黒幕(仮)から身を護るためだった。

藤原としてはこれ以上、夜葉達が危険に晒されるのは避けたい事なのだ。

そんな妥当な説明を受けたプラチナだったが……。

「夜葉ちゃんも連れて行ってください」

プラチナは頭を下げてそう言った。

しかし藤原は「駄目だ」と頼みを一蹴した。

妥当だがどこと無く非常な藤原に百歌は「ケチ、薄情者」とブーイングをかます。

「えぇ……と言うか何の為に夜葉ちゃんを外に出すのさ、理解できないよ?」

「そりゃあ、夜葉ちゃんにお姉さんを会す為です」

「じゃあ尚更外には出せない、人はいつだって裏切って手玉に取って自分の功績にしようとする事が出来る……家族であってもね」

藤原はそう微笑んだ。

しかしプラチナは「そうとは限りませんよ?」と微笑み返した。

「どうしてそう思うんだい?」

「だって夜葉ちゃんのお姉さんは……」

そうだ、夜葉の姉でありミントの姉であった女、バニラ・ウォーターストンは夜葉、ミントの事を第一に考えて動いてくれていたのだ。

だからこそ……。

「夜葉ちゃんのお姉さんは夜葉ちゃんを絶対に危険に晒すような人じゃありませんでした」

バニラ・ウォーターストンは自分を売ってでも唯一の家族であり肉親であった夜葉を全力で護った。

その事をプラチナは前頭葉から海馬、骨の髄まで覚えていた。

プラチナがそう言い切ったその時だった、サディストが何処からともなく表れて藤原の肩を掴んで「良いんじゃないですかねェ?」と言って出て来たのだった。

「いつから居たし、と言うか盗み聞きとか趣味悪いぜ」

「最初からですよお?あと趣味が悪いは誉め言葉ですよォ!!……それに今回の件は実際藤原さんにも非があるですし、外出及び水嶋朝陽との邂逅を許してあげても良いじゃないですか……それにみんな夜葉ちゃんをお姉さんに会わせてあげたいと思ってるみたいですよ……アンバーさんもねェ!!」

サディストはそう言うと機械と化した体の一部にある17個程のボタンを操作し始めた。

そして操作し終わった所でだ、ザザザという砂嵐交じりの音が再生され始めたのだった。

サディストの体には再生機器が取り付けられていた。

『ねえ一度でいいからさ、夜葉のお母さんやお姉さんに会ってみない?』

アンバーの声だった。

アンバーは誰かにそう聞いて居た。

『いきなり何言ってるんですか、馬鹿ですか?』

アンバーの質問に夜葉の声がクールに答えた。

そして問答が続いた。

『……この世界に来ているんだぜ?このチャンスを逃したらきっともう二度と会えないぞ?』

『確かに私は会いたいですけれど…………今は会ってはいけません』

音声は以上だ。

それ切り会話再生されなかった。

そしてこの悪趣味な盗聴が再生し終わる頃には誰もが絶句していた。

「私、盗み聞きが趣味でもありましてねえ……あ、先程のメンテナンスの際はもっぱらこれを聞いて居ました……最高でした!!」

……あ、だから天井からそんな事が聞こえてきて居たんだ。

プラチナは納得した。

プラチナが納得したその時だった。

ポロロロンと木琴の音が辺りに響いた。

藤原のスマートフォンに着信が入った。

勿論連絡主はオスカー・ロイエンタールだ。

藤原はスピーカーモードにして電話に出た。

「何だい?」

と藤原が電話に出たその瞬間『残念なお知らせがあります』とスカルに似たオスカーの声が辺りに響く。

『……成り行きでアンバー・オールゲートが水嶋朝陽の実家に入りやがった』

(うせ)やろ!?」


夜葉「100話まで達成しましたね」


プラチナ「そうだね」


アンバー「100部分まで来たんだし特別編とか過去編とか作らないの?」


夜葉「作らないみたいですよ」


プラチナ「当たり前だよなあ?いつもの不定期投稿作者なわけだしやらないよ、やったらペースがさらに乱れるよ。それにこの小説は作者の趣味だし100部分やった所でめでたくも無い。」


アンバー「しかも修正まみれの追記塗れだったわ」


夜葉「小説の文面も年末年始を境に変わっちゃいましたしねえ」


プラチナ「でも100部分、それでも100部分……嬉しい事は変わりないわ」


アンバー「完結を目指して頑張ろうぜ」


夜葉「ですね、ここまで読んでくれた人の為にも」

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