33/45
11月29日
すずさんが香港に発って2か月がたった。
季節は秋も終わりに近づき、時折冬を感じさせるべく、色とりどりの葉っぱが散り始めていた。
僕はと言えば、良くも悪くも環境にすぐ慣れるタイプなためか、すずさんと出会う前の頃に戻ったみたいに普通に過ごしていた。
その点はすずさんは不満なようで、本来もっと寂しがるものよ、等とよく電話で憤慨していた。
寂しくないというわけでは決してないものの、適当な表現方法を持ち合わせておらず、彼女もそれは重々承知しているものの、お互い顔が見えないため、意思の疎通がうまくできないもどかしさがあった。
結局のところ、僕は相手を大切に思う心を伝えるという大切なことが相変わらずへたくそなままだった。
それは僕が何者であるかということ以前の問題だといえる。




