9月19日
「ちょっとあんたたち、いつまでそんな状況なのよ」
佐々木さんが席で昼食を食べている僕を見つけて近くにやってきた。
「いつまでそんな状況?」
質問の意味は分かっているものの、気にしていないという気持ちを少しでも出そうとして、僕は聞き返した。
「そんな風だから、すずも怒るのよ」
佐々木さんはまっとうなことを正面切って言う。
「僕は風邪をうつさないようにしただけですから」
「もうすぐ、すずは香港に行ってしまうんだから、早く謝りなよ。こんな状況じゃ、気持ちよく見送れないでしょ」
「謝るっていうのも変だと思うんですけど」
「変か変じゃないかは私とすずが判断することだから」
ある意味、佐々木さんの方がすずさんよりも強引なところがある。
「今日、ちゃんとすずに電話しなよ」
「時間があったら」
「時間は作るものなのよ」
さすがにこのままではよくないと僕もわかっていたので、佐々木さんの提案にのせられた形で電話することを約束した。
「もしもし、何か用?」
なんだかんだ言ってもちゃんと電話には出るようだ。
「いや、風邪も治ったし、この前薬とかもらったお礼を言おうと思って」
「それだけ?」
「まあ、それだけだけど」
「そう」
電話が切れた。
思った以上に手ごわい感じだった。
気にはなったが、とりあえずやるべきことはやったと自分に言い聞かせ、後ろ髪をひかれながらも寝床についた。




