9月16日
朝起きてみると喉が痛く、少し体がだるかった。
昼過ぎにはどうも熱が出始めたようで、傍目から見ても調子の悪さがわかるようだった。
すずさんも調子が悪そうなことに気づき、様子を見に来てくれたが、うつすのが嫌であまりちゃんと話はしなかった。
「体調悪そうだね」
夕方佐々木さんがやってきて、柄にもなく少し心配そうに話しかけてきた。
「ちょっと風邪ですかね。寝てれば治るんでしょうけど、そうそう休んでもいられないし」
「しゅんちゃんがいなくても仕事は回るよ」
「傷つく言い方しますね。病人をいたわってくださいよ」
「まあ、現実なんてそんなもんだって。そういや、すずが怒っていたわよ。心配してもしゅんちゃんが無視するって」
「さすがにうつすとまずいと思うので、あまり話さないようにしているんですけど」
「ちゃんと言わないと伝わらないと思うよ。世話の焼ける人たちだわ」
そういいながら、そそくさと佐々木さんは自分の仕事場に戻って行った。
さすがに残業はほどほどにして帰宅すると、すずさんが家の前で買い物袋を持って待っていた。
「体調悪いのに遅いわね」
「そんなことないよ。いつもより早く切り上げてきたよ」
「ほら、これで風邪を治して」
すずさんが買い物袋を渡してきた。
「ありがとう。でもうつすと悪いから」
僕が家に入れるのをためらっていると、
「またそんなこと言って。人が心配しているのに」
ずずさんは昼時あまり話さなかったこともよほど気に食わなかったのか、買い物袋を僕に渡して、帰って行ってしまった。
僕は体のだるさが本格的にせまってきたこともあり、早歩きのすずさんを見送るしかなかった。
すずさんを追いかけるのはあきらめて、買い物袋を開けてみると、そこには野菜たっぷりの弁当、栄養剤、風邪薬が入っていた。
食欲がない中、ちょうどよいくらいの量が大変ありがたく、すずさんの愛情が身に染みた。




