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結果が出ました。

司祭様からいただいた魔力紙。

半分に折ってある紙を、大事に両手で持って歩きます。

部屋の出口 (入ってきた扉とは別の扉がありました) から出ると、教会の中庭? みたいな場所でした。

母様や、他の保護者の方達がお茶を楽しんでいます。

テーブルと椅子がそこかしこに配置されていて、教会とは思えないほど立派なお庭です。


「母様」

「カイン、無事に終わったみたいですね。良かったわ」


母様の側まで歩いて行けば、にっこり笑ってお帰りなさい。と言われました。

どうやら保護者の待ち合い的な場所のようです。

母様はすぐに立ち上がりました。

ティーセットはそのままで良いんですか? あ、見習いさん達のお仕事なのですね。ではそのまま帰りましょう。


検査の結果については、公にしても良いことと、公開しないようにしないといけないこと、各家によって問題になる場合や弱味になる場合。

さまざまな事態が考えられるので、教会で検査の紙を開くのは禁止されています。

洗礼をする司祭様すら、個人の結果を見ないようにしているのだとか。

家に帰ったら、家族で検査結果を見るのです。ドキドキします。


「母様、頂いた検査の紙は、どうすれば良いのですか?」

「それはカインの魔力について書かれている大切なものです。魔力検査の紙は特殊なので、そのまま置いておいても劣化‐悪くはなりませんが、専用の入れ物が有りますから、そちらにいれておきましょうね」


馬車の中で母様に保管場所や、何時使うのかなど詳しく聞いていれば、すぐに家につきました。


「お帰りなさい、カイン、母様」

「お帰りなさいカイン、お母様。無事に終わったみたいね、良かったわ」

「ただいま帰りました。ルーベンス兄様、マーラ姉様」

「ただいま。二人とも、出迎えてくれるなんて、そんなに待ち遠しかったのですね」


使用人さんが玄関扉を開けてくれたのですが、エントランスには兄様と姉様が揃って待っていてくれました。

約一時間ほど、エントランスで待っていたのだと、侍女長さんがこっそり教えてくれました。


何時までもエントランスでお話ししているのも、ということで皆で移動します。

リビングへ行けば、侍従さんから報告が行っていたらしく、父様が待っていました。


「お帰り、カイン、アンシィ」

「ただいま帰りました、父様」

「ただいま戻りました、旦那様」


父様の座っているソファに近付いて行けば、頭を撫でられてから抱き上げられ、父様の隣へ下ろされました。

母様とルーベンス兄様はテーブルを挟んだ向かい側のソファに、マーラ姉様は僕とは反対側の父様の隣へ座ります。


侍女さん達がお茶とお菓子を持ってきてくれたので、お礼を言って早速食べます。

僕には軽食として小さく切ったサンドイッチが用意されました。

緊張していて朝御飯はあまり食べられなかったので、サンドイッチの匂いを嗅いだら、お腹が鳴ってしまいました。


「さ、カイン。検査の結果を見せてくれるかい?」

「はい父様」


皆、僕が食べ終わるまで待っていてくれました。

手を拭いて紅茶を飲んで落ち着いてから、父様に検査の紙を渡します。

父様は紙を開いて結果を見ると、ふむ、と頷いてテーブルに検査の紙を広げておきました。



――――――


カイン・ロンガヴィル


火 △

水 ◎

風 △

土 ○

光 ◎

闇 △


――――――



「……? これはどんな意味ですか?」


紙には丸や三角の記号が並んでいるだけで、何も説明の言葉がありません。

父様を見上げれば、微笑みながら頭を撫でられました。


「左に書かれている単語は、属性を表す。火なら火・炎属性の魔法への適性、水ならば水・氷属性。そしてその右側にある記号が、カインの適性の有無、使えるかどうかの印だ」


火 → 火 < 炎 < 焔

水 → 水 < 氷 < 雪

風 → 風 < 嵐 (暴風)

土 → 土 < 石 < 岩

光 → 光 < 癒 < 再生

闇 → 闇 < 干渉 < 操作


と、それぞれの属性の初級魔法の単語で表されているのだそうです。


焔の意味がよく解らないのですが、火を大規模にするのではなく、熱操作? によって炎以上の熱さを瞬時に作り出したり、陽炎のようなもので蜃気楼‐幻覚を造り出すものになるため、焔としたのだとか。


闇属性は、中級以上は精神に作用してしまうものらしいです。

なので、闇属性の方はどんなに才能があったとしても、初級以上は使えないようにするらしいです。

よく分かりませんが、そういった魔法具があるらしいです。


「水属性と光属性に二重の丸がついているだろう? これらが、カインの最も扱える属性ということだ。一重の丸の土属性も使おうと思えば使えるが、水と光よりも扱いが難しくなり、魔力消費が数倍、数十倍も多くなってしまう」

「練習すれば、良くなりますか?」

「いや、適性というものはそんなに簡単に変えることは出来ないのだよ」


父様の話を聞いているうちに用意されたのか、侍従さんが羊皮紙とペンを机に置きました。

父様が、判りやすく図で説明してくださるみたいです。


「まず、人の保有する魔力は有限であり、だがその保有量は人それぞれに違いがある。魔力は魔法を使用する時に消費をする。そこまでは解るか?」

「はい、兄様に頂いたご本に書いてありました。自分の魔力を使って、空気中にある魔力を引き寄せて、混ぜ合わせることで魔法が使えるのですよね?」


絵本だったので簡略して描かれていましたが、己の魔力を手のひらに集めて、大気中に絶えず存在する魔力の素、魔素を魔力と混ぜ合わせることで魔法を発現させるのです。

魔法の威力、属性、かたちは魔力と魔素の割合や多さなどで変わるのです。


「そう。そして魔力には、人の体内に在る時点で微々たるものではあるが、属性の指向が決まってしまっているんだ。だから適性という概念がある」

「では、一重丸や三角の属性は、使うことは出来ないのですか?」


ファイヤーボールとか、誰もが知ってるテンプレ魔法を使ってみたかったのですが。

しょんぼりしてしまいながらも父様に聞けば、微笑みながら羊皮紙に円を描き、五等分になるよう線を引きました。

そして、そのとなりに数字を書き込んでから、適性と魔法について教えてくれました。

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