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ザッハ君から謝罪を受けますが、まだ学生ですし、マナー違反だと気付けていますので、軽く流して終わりとしました。

気付けているのなら、今後は同じ失敗はしないでしょうし、学生のうちは勉強ですから。


こちらに来たのはザッハ君だけではありませんでした。

ザッハ君の左右に三人、騎士科の学生でしょうか、皆さん背が高いです。


「久しぶりザッハ。カイン、ザッハは知っているな、左側にいるのがシュスト、ザッハの右隣がハルジ・トラッシュ、その右側がアルフォンス・ルキーニだ。こちらは俺の友人のカイン・ロンガヴィル」

「初めまして、カイン・ロンガヴィルです」

「「「ヨロシクお願いします! 」」」


皆さん声が大きいですね。騎士の礼をしていただきました。揃っていてとても綺麗な礼です。


一人ずつ、一歩前へ歩み出て挨拶をしていただきました。

騎士としてならば、合格の挨拶です。

シュスト君は平民、ハルジ様はトラッシュ子爵様の四男、アルフォンス様はルキーニ騎士団団長様の次男だそうです。


(……ん? アルフォンス・ルキーニ? …騎士団団長……はっ! こ、攻略対象様です!? )


わ、忘れていました!

騎士様枠の攻略対象様ではないですか。

お休みの間にいろいろありましたから、すっかりここが乙女ゲームの世界だということが頭から抜けていました。


そうですそうです。

攻略対象様………はっ、もしかしなくても、今日全ての攻略対象様が……このお茶会に揃って……?


「…………い、おい、どうかしたか、カイン? 」

「っ、あ、いえすみません。少しぼぅっとしてしまいました」


いけません。何だかミーハーな心が芽生えてしまいそうになりました。


少しだけ雑談をしてから別れを告げ、姉様を探しに庭園へ向かいます。

庭園には季節の花が咲き誇り、ですが広葉樹も多くて緑が目に優しいです。

彼方此方に、圧迫感がない程度にテーブルやベンチが配置されて、目に楽しいお料理が並んでいます。


「女子生徒のドレスも相まって、なんと言うか……ぁ、色の洪水、的な? 」


ドレスの原色が入ると、途端に華美になりますね。

まぁ、ともかく姉様を探しましょう。


失礼にならない程度に周囲を見渡しながら歩いていくと、庭園の端の方のテーブルに姉様を見付けました。

バーナード義兄様もご一緒です。


「マーラ姉様、バーナード義兄様。此方にいらっしゃったのですね」

「カイン」

「カイン君、こんにちは」

「こんにちは。バーナード義兄様、素敵です」


近付いて声を掛けると、バーナード義兄様がスッと立ち上がって貴族の礼をされました。

僕も倣って礼を返しますが、バーナード義兄様の所作は完璧です。格好良いです。

思わず声に出してしまいましたが、笑ってお礼を言われてしまいました。

スマートです、素敵です。


姉様とも形式的な礼を取り交わして、立ったままなのも無粋なのでと、近くのテーブル席へ移動しました。

給仕の方に軽く摘まめるものと飲み物を頼んで、お話をします。


「今の給仕は、二年生かな。まだ少しぎこちない」

「そうですわね。何を用意して持ってくるか、というのも気になりますわ」

「? どうしてですか? 姉様」

「バード様は、軽く摘まめるもの。としかおっしゃいませんでしたもの。どんなものを、どれくらい、更に私とカインの分も持って来るのか。一人で用意出来るか、どうやって運んでくるか。時間はどれだけ掛かってしまうか。というのを、先生方が見ていますわ」


最後の方に、姉様がチラリと庭園の花壇の方へ視線を向けました。

其方をチラと見れば、何か書類に書き込んでいる先生がいました。


「今回、給仕の仕事をしている生徒には、先生方が評価を付けているのは知らされてはいないが、学園内の催しだからね。解っている生徒が殆どだろう。カイン君も、給仕が学園の生徒だからと、遠慮してはいけないよ」

「はい、解りました」


抜き打ちテストみたいなものでしょうか?


ほんの少しの間、二、三分程で、先程の給仕の方が戻って来られました。


「お二人、連れて来られましたね」

「なかなか良い判断だ」


先程の方の後に、お二人給仕の方が一緒に来られました。

三人で少しずつ運んで来たようです。


まず、先程の方がお皿やカトラリー、ティーカップ等を配置しました。

テーブルの中央の辺りに、もう一人が品良く盛り付けられた小さめのサンドイッチや焼き菓子、フルーツの盛り合わせ等のお皿を置きました。

最後の一人は、すぐ近くのテーブルへポットを下ろして、別のティーポットからお湯を注いで紅茶を淹れています。


三人は手早くテーブルセッティングをすると、一礼して離れて行きました。


「まぁ、及第点、かな? 」

「そうですわね。難を言えば、カトラリーとカップの音がしてしまったのと、足音、かしら」

「……アレルギーの有無を、聞かれませんでした」

「それもあったか」


姉様達と、思ったことを少し大きな声で呟けば、近くの先生が何か書き取りをして離れて行きました。




暫く姉様達とお話をしていたら、チラとシシィが見えた気がします。

そちらを向けば、やはりシシィです。


「シシィと、リリーナ様……と、王子殿下です……」


何故王子殿下まで一緒に要るのでしょう?

あ、もうひと方現れました。

あれは……誰でしたっけ?

あぁ、サイナス・カンツァー様です。王子殿下の側近に近しいと、以前兄様が言っていましたね。


「あら、ジルベルト殿下ったら、お目が高いですわ」

「あらでも、確かサルグリッド公爵様は、縁談をお断りされたのではなくて? 」

「それが、公爵様お一人の判断だったとかで、奥方様は何も聞かされていなくて大層お怒りだったとか…」

「まぁ、ではサルグリッド公爵令嬢様がお心を決められれば……」

「あるいは、ですわね」


さわさわと女子生徒達のざわめきが聞こえてきます。

思わず姉様を振り返ったら、にこりと微笑まれてしまいました。

どんな意味でしょうか?


「……公爵様にお手紙をだします」

「ふふ、そうなさいな。カインったら、本当にシシィが好きねぇ」

「大事な従妹ですから」


僕の感情に恋愛の意味合いがないことは、姉様は十二分に理解しています。

それでもあえてこう仰るのは、過保護も程々にしておきなさい。という意味でしょう。

まぁ、止める気はないのですけどね。



給仕云々は、適当です。


マーラ姉様の話も書きたいなぁ……

(現実逃避)



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