入学式は、サクッと終わりました
学園の入学式は、学園長の挨拶と、主席さんの挨拶。というとてもシンプルなものでした。
今年の主席はジルベルト王子でした。
挨拶のために壇上に上がった瞬間、会場が静寂に包まれ、一瞬後には黄色い悲鳴に包まれました。
耳が壊れるかと思ってしまうほどの声量でしたよ。凄くびっくりしました。
ジルベルト王子は終始笑顔を浮かべていて、学園内では身分に囚われず友人を作りたいと、だけど矜持は忘れず国民の手本になるような行動をすると、穏やかに仰られました。
女子生徒さん達はうっとりした表情で聞き入っていましたね。これがカリスマというものでしょうか?
式が終われば、教室へ移動となります。
今日はクラスでの自己紹介くらいで解散となります。
クラス担任の先生は女性でした。
サリー先生は平民の出らしく、話し方が砕けていましたが気さくそうな良い方のようです。
笑顔の可愛らしい女性でした。
明日からオリエンテーリング? がはじまるのだそうです。
どんなことをするのかは、明日からのお楽しみだそうで教えていただけませんでした。
この学園には一学年ごとに四クラスあり、S・A・B・Cクラスとなっています。
まず、Sクラス。
このクラスは王族も在籍するクラスになるため、特に上流層の貴族、その中でも魔力や武力、知力に優れた生徒のみが所属します。
授業も高度になるため、家庭教師から習うような基礎は飛ばして、最初から応用や実践をするらしいです。
Sクラスには、ゲームの攻略対象であるジルベルト王子や、サイナス・カンツァー様、ケビン・マクヴェル様が在籍されます。
シシィもこのクラスですし、ゲームのヒロインの子もSクラスになります。
ヒロインがSクラスになるのは、魔力量が凄まじく多いため。とかだった気がします。
確か……『とある理由で突然魔法に目覚めたヒロインが、魔法を学ぶために入った学園で様々なタイプの男の子に出会い、様々な障害を乗り越えて愛を育む物語』……とか、書いてあったような?
魔法を学ぶためって言いながら色んな人と恋愛するって、少し不謹慎な気がしてしまうのは、なぜでしょう?
次に、Aクラスですが、こちらは別名騎士クラスと言い、剣術や体術、集団行動や野営など、騎士団に必要な技量と知識を中心に勉強するクラスとなります。
主に貴族の次男三男、平民の騎士団希望者が在籍されるようです。
Aクラスには攻略対象の最後のお一人、アルフォンス・ルキーニ様が在籍されます。
アルフォンス様の家は代々騎士団の上層部に在籍しており、今代の当主、エリック・ルキーニ様は勲功爵を賜っておいでだそうです。
ちなみにルーベンス兄様もAクラスでした。
長男でしたが、家格はそれほど高くありませんし、Sクラスに入るほど魔力もありません。何より、兄様本人が魔法を学ぶよりも領地経営を学ぶことに重きをおいていたため、Aクラスに入っていたそうです。
次の、Bクラスは別名侍女クラスとなり、貴族の御息女達が在籍されます。
自分よりも身分の高い方に仕えるためや、言い方は悪いですが、結婚相手を探すため、基本的なマナーの復習と侍女としての知識や作法などを中心に勉強するクラスとなります。
マーラ姉様もBクラスにおりますが、将来どうされるかはまだ決まっていないと言っていました。
何件かお見合いの申込みもあるようですし、結婚も視野に入れつつ勉強しているそうです。
最後に、Cクラス。このクラスは、何といえば良いでしょう?
騎士でも侍女でもない、己の道を極める、または探すためのクラス、でしょうか?
在籍するのは貴族の三男四男、魔力または学力の高い平民の男女です。
Cクラスは他のクラスと違い、クラス単位での授業は最初の一年だけで、あとは各々目指す分野や得意分野を伸ばすためにそれぞれの先生だったり親方だったりに付いて勉強をするのです。
僕はこのCクラスになります。
僕の適性魔法は水と聖でした。なので、聖属性をしっかりと学んで神父様や、薬学を理解して薬師様のように、色々な方を手助け出来る人になりたいのです。
実は、同室のクリス君も、同じCクラスでした。
どうやら同クラスで部屋割りをされているようです。
「クリス君は、どうしてCクラスへ?」
「僕、魔力が多いからって学園へ入れられたのですけど、そんなに頭良くないし…かといって武術も出来ないし…」
クリス君のお家は小さな八百屋さんなのだそうです。
お店はお姉さんが旦那さんと一緒に手伝っていて、将来は姉夫婦が継ぐのだそうで、そうすると長男であるはずのクリス君はお店に関わることが出来なくなるのだそうです。
なので、手に職をつけられれば、と学園行きを了承したそうです。
「? ですが、クリス君がご長男ならば、お店はクリス君が継ぐのではないのですか?」
「それが…姉さんも義兄さんも商売上手で…。長男ってだけで僕が店に関わると、義兄さんを悪く言う人がいるかもしれないし…」
長男のクリス君がお店にいれば、当然周りの方達はクリス君がお店を継いだと考えるのですが、実際は姉夫婦が継いで経営をしている。
端から見れば、お姉さんの旦那さんが、お店を乗っ取ろうとしているように見えてしまう。
………かもしれないのを、危惧しているのだそうです。
お家が商売をしているのって、色々と周囲に気を使わなければならないのですね。大変そうです。
「そうなのですか。あ、クリス君の適性は何か、お聞きしても良いですか?」
「はい。僕は風と火です」
「僕は水と聖です。やはり皆さんバラバラのようですね」
クリス君としばらくお話を楽しみ、明日のために早めに休むことにしました。
オリエンテーリングで何をするのか、少しワクワクします。
寝坊はしないように気を付けないといけません。




