婚約破棄されましたわ
「ミリアリア・クロフィールド。貴様との婚約を破棄する。」
そう目の前の婚約者は大きい声で言った。その隣には、可憐で庇護欲をそそられるような令嬢が居た。その令嬢は、私と目が合うと怯えたように婚約者に縋り付いた。
「どういう事ですの?ジョセフ様。そして、その隣にいるご令嬢はどなたかしら?」
すると婚約者もとい、ジョセフ様は声高々に言い放った。
「貴様はこのマデリンを身分を盾にし虐めた。よって貴様との婚約は破棄する。貴様のようなクズの婚約者であった事が俺の人生の汚点だ!!今すぐにここから立ち去れ!!」
凄い早口で捲し立ててきた。でも、虐めるとは何のことかしら?私この方とは面識がなく今日はじめて会ったのですが。
「ジョセフ様、私は虐めてなどおりませんわ。それに私この方とはお会いしたことがありませんの。」
するとジョセフ様は怒ってまた捲し立ててきた。
「嘘をつくなこのクズが!!貴様がしてきたことはマデリンから聞いている!!」
一体なんの茶番でしょう。全く疲れますわ。
「ですから、私は何もしておりませんわ。何か証拠がございまして?」
すると、マデリン様が話に割り込んできた。
「ミリアリア様お願いです。ご自分の罪を認めてください。私は貴方にされてきたことを許して差し上げますから。」
な、なんですのこの方?意味が分かりませんわ。しかも、許して差し上げる?上から目線で何をおっしゃるのかと思えばそんなこと、呆れるを通り越して哀れみすら覚えますわ。
「何度やっていないと言えば気が済むのですか?そうやってはっきりとお言いになるのですから勿論証拠はあるのでしょう?」
するとジョセフ様が、
「マデリンがそう言っているのだ。そうに決まっているだろう」
そう言った。
この人は馬鹿ですの?証拠もないのにそんな馬鹿げたことを言ったのですか。あぁこの方の婚約者であった事が恥ずかしいですわ。こんな方とは早く別れたいので、婚約破棄させていただきましょう。
「わかりましたわ。では、国王陛下の所へ向かい婚約破棄するとお伝えしましょう。・・・ですが、私はそのマデリン様に何もしておりません。でもあなた方はしたとおっしゃる。では、国家裁判で、やったか否かを判断していただきましょう。」
ジョセフ様が言う。
「そんな事をしても無駄だとも分からないのか貴様は。まぁいいだろう裁判で負けたお前は晒し者になるのだからな。」
そう言ったジョセフ様はマデリン様を連れて引っ込んで行った。
はじめまして。アルファポリスで自分の小説を読んでいただいている方は、お久しぶりです。
どうぞこの作品をよろしくおねがいします。