表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/101

モイライ始動とか、マジ?

対決勝負はうやむやになってしまったけど、宣伝効果は抜群だ。

アッチラの街でのモイライの知名度は飛躍的に跳ね上がった。


それまでは街中を自由にぷらぷら歩き出来ていたけれど、今では『あれって、もしかして?』なんてひそひそ話をされた挙句に『握手してください!』と言われるまでになった。


とはいえ人気は、まだまだ、これから、といった感じだ。


ライブコンサートのチケットも売れ始めはしたけれど、半分は残っているような状況。


それが変わったのは、ラジオでモイライの楽曲が流されてからだった。

アポロスターとの対決を聴いていたラジオ局の人が、モイライの歌を放送スケジュールの隙間にねじ込んでくれたのだ。


これが切っ掛けとなった。


ラジオではモイライの歌がどんどこ流れるようになって、それにあわせてチケットも加速度的に売れ始めた。


そうして遂に。


「おめでとう! チケット完売だよ!」


リリジさんが満面の笑顔でそう報告してくれた。


それがライブコンサート開催初日の9日前。

スタッフさんからしたら気をもんだ挙句のギリギリで間に合った、て感想だろう。


よかった、よかった。

あとは練習を繰り返して、本番で最高のパフォーマンスを披露しようね!


といけば良かったんだけど。


「マズいことになった…」


昨日は笑顔だったリリジさんが、眉をハの字に下げて遣って来た。


「チケットをもっと売ってくれって、人が引きも切らないんだ」


ちなみにチケットの販売は代理店とかがないので、アポロ・プロのビルで売っている。

そうなるとビルに人が押し寄せるわけで、業務に支障がでているらしい。


「コンサートの期間を延長してもいいかな?」


と問われて、こばめるほど私たちは恩知らずじゃない。


結局、コンサートの開催期間を延長して、それでチケットを購入できずにいた人たちも買えることになった。







ライブコンサートの初日。


アッチラの街でいちばん大きな建物である音楽堂は満員だった。


っても、収容人数は1000人弱なんだけどさ。

これでも建物は大きいほうなんだぞ。


控え室で、私たち……モイライは呼び出しを今か今かと待っていた。


私は椅子に座って鼻歌を口遊くちずさんでいる。前世なら乙女ゲーでリラックスできたんだけど、こっちにはないからさ。


レイは、タップダンスをしている。本人曰く、動いてないとプレッシャーでおかしくなってしまうらしい。

んでも、本番の前にそんな運動して平気なの? そう思うでしょ? 私もそう思った。

けど、ここで意外な真実が!

私の歌声には癒しの効果がある。それは勝手に発動してしまうからどうしようもないんだけど、そんな癒しの効果を最もそばで受けているレイとユウは、ステージで幾らダンスをしても疲れ知らずなんだってさ! しかも、お肌もツルツルらしい。


マジ!?


私は疲れるしお腹は空くしで、毎日が限界への挑戦だったていうのに!

道理で、レイもユウも余裕のある様子だったわけだよ。お肌が赤ちゃんみたいなわけだよ!


で、もう1人のユウはといえば。

チビ狼のクリスを膝に乗せて、毛並みを撫でている。


うんうん、絵になるなぁ。


「ふふふ、あたしの魅力で男も女も屈服させてやるんだから」


…………。黒い。


なんでロッカはユウになると黒さが倍以上になるんだろう?


不意にクリスが顔を上げた。


コンコン、とドアがノックされて、スタッフの女性が顔を覗かせた。


「出番です」


言い置いて、忙しいのか直ぐに引っ込んでしまう。


私たちは、ほとんど同時に立ち上がった。


「いよいよだね」


「遂にですわね」


「ようやくね」


同じような意味のことを、これまたほとんど同時に口にしてしまい、私たちは小さく笑った。


手を出す。


レイの手の平が重なった。


ユウの手の平がのった。


うなずく。


「行こう!」


「「 おう! 」」


私たちは気合いを入れて、楽屋を出た。


モイライは、ココから今日から始動するのだ。

アポロスターとの対決でライブの描写はしたし、コンサートの様子は割愛しようかな…。

同じような感じになっちゃうだろうし。


あと、先に告知しておきます。

11月の25・26日は法事があるので投稿できません。ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ