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アポロスターの底力とか、マジ?

時は来た!


とカッコよく言ってみました。


あっというまに時間は流れて、遂にアポロ・プロ新旧アーティスト対決の日になったのです。


場所は、誰でも観ることができるようにとアッチラの街の中央公園。


私たちは簡易ステージの後ろの控え室にいるんだけど、チラっと見た感じだと、すんごい人出だ。

公園は人で埋まってるし、公園周りの高層建築物からもコチラを覗く人の頭が見える。


「どうしよう。あたし、ドキドキしてきちゃった」


ロッカならぬ、アイドル名『ユウ』漢字で書くなら『優』てところかな? が、胸に手を当てて憂い顔をする。


「わたくしも、もう…」


サシャはアイドル名を『レイ』漢字だと『麗』だろうか。はふぅはふぅ変な呼吸をしてる。


「2人とも、そんなに緊張しなさんなって。お客さんのことは野菜だと思えばいいんだって」


「「そんなこと言っても」言われましても」


2人が異口同音に不満を口にして私を見る。


でもさ。私だって、本心は不安なんだよ。前世を含めてこんなに注目されたことなんてないし。

2人の不安をこれ以上にさせないよう、虚勢を張ってるだけだもん。


あ、ちなみに私の『モイライ』での名称は『リン』だよ。前にも言ったけど、一応ね? 

そんで、いまのところは男装の麗人というよりは、まんま少年として売り出すことになってる。これはマダム・キャラのおかげで『リン』が男性として認知されていたことも理由のひとつだけど、加えて、私の『悪辣令嬢』としての素顔を隠すためでもある。いきなり王子たちに捕まるわけにはいかないからさ。


取り合えず、レイとユウとの関係は、姉弟妹ということになってる。

サシャは姉で、ロッカが妹ね。妥当だと思うんだけど、これに関してはロッカがすごいごねた。


「あたしがリリンの妹とか納得がいかない!」


うん。ディスられたのは分かる。


でも、結局は童顔なロッカ=ユウが妹ということで落ち着いた。でも、プロフィールには『姉弟きょうだいのなかで1番のしっかり者』と記載されている。さすがだ…。


わああああ!


歓声があがった。ほとんど嵐だ。あまりの声に、空気が震えているようにさえ感じる。


いよいよ、アポロスター達が登場したのだろう。


そう。


達、だ。


今回、彼等彼女等は全力で小生意気な小娘どもと、そんな何処の馬の骨とも知れないのに肩入れをするスタッフとリリジさんを打倒しにかかってきた。


まさしく全力全開! 豪華! オールスターで向かってきたのだ。


今、ステージにはアポロスターが揃い踏みしているはずだ。


まさしく夢の共演! これが無料で観れるとあって、アッチラの街は大賑わいだった。


というか、既に私たち『モイライ』のことは忘れられていたりする。

お客さんからしたら、対戦、というよりも自分が贔屓ひいきにしているスターを応援しに来た感じなんだろう。


楽曲が始まった。


楽屋を同じにしている、モイライのバックバンドの皆さんが固唾をのむようにして耳を傾けている。


彼等もまた緊張しているのだ。


なんせアポロスターのバンドマンは、彼等からしたら別格の存在だ。もしかしたら、アポロスターのバンドマンに憧れて楽器を手にしたバックバンドの人だっているかも知れない。


わああああああ!


再び観客の大声が沸き起こる。


これじゃあ、歌なんて聴こえやしない。


アポロスターの楽曲は基本的にJAZZとか大人しめのものだ。

観客も落ち着いて耳を傾けるような音楽なんだけど、これだけ人が集まるとテンションも高くなってしまうのか、大声を張り上げている。


これにはアポロスターの面々も困惑しているだろう。


それにしても、なんて声援だろう。


勝負の判定方法はお客さんの反応という曖昧あいまいな形式をとっているけど、これは……くつがえすのは容易じゃない。


しかもアポロスターの演奏は始まったばかり。


お客さんのこのハンパない熱量が、後半…つまり私たちの出番まで持つとは思えないわけで。


下手したら、モイライがステージに上がった頃には帰り支度する人だっているかも知れない。


こりゃーしくじったかなぁ…。


私は緊張とは違う汗を背中にかいていた。

余裕を見せていたら、とんでもないことになりました!


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